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ぽかぽか春庭「モネからリヒター in ポーラ美術館」

2022-09-03 00:00:01 | エッセイ、コラム

20220903
ぽかぽか春庭アート散歩>2022アート散歩夏箱根(2)モネからリヒターへ in ポーラ美術館

 箱根美術館巡り2館目は、ポーラ美術館です。
 2021年秋に渋谷文化村ギャラリーで「散歩>2021アート散歩拾遺(2)甘美なるフランス展 」が開催されたおり娘と見にいき、充実した展示を堪能しました。
 https://blog.goo.ne.jp/hal-niwa/e/80b941489b4b351ca0ba238462114168

 が、これは、収蔵品の一部だろうから、いつかポーラ美術館も全部みておかなくちゃ、と話していました。今回は、その「収蔵品の別の部分」を見るべく参上。
 いくつかの作品は写真撮影OKで、作品といっしょの記念撮影もOKでした。

 モネのジベルニーの庭シリーズの「日本の橋」の絵の前で。

 ベルト・モリゾ「ベランダにて」1884


 ポール・セザンヌ「ラム酒瓶のある静物」1890頃
 アンリ・まてぃす「オリーブの木のある散歩道」1906

 アンリ・マティス「ギターを弾く女性のいる室内」

松本俊介「街」1949

 クリス・ウイン・エヴァンス「光の彫刻」


 難波田龍起「生命体の集合」1970
 

 文化村で見ることが出来なかった作品もたくさん見ることが出来て、お気に入りの作品とツーショットもできて、ミーハー美術ファンとしては、大満足。



 箱根は美術ファンじゃなくても足を運ぶ土地ですから、絵に関心なかった人も、お気に入りの作品を見つけて、それをきっかけに美術館巡りも楽しめるようになるなら、箱根の山中に美術館を建てた買いもあるというものでしょう。
 わたしはめったにポーラの化粧品など買わないけれど、ポーラさんに感謝。

<つづく>
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ぽかぽか春庭「岡田美術館」

2022-09-01 00:00:01 | エッセイ、コラム

 喜多川歌麿「深川の雪」

20220901
ぽかぽか春庭アート散歩>2022アート散歩夏箱根(1)岡田美術館

 岡田美術館は、ユニバーサルエンターテインメント創業者の岡田和生が 収集したコレクションを2013年に公開した美術館です。
 テレビ修理屋から身を立てた岡田和生が、1967年にエンタメ系企業を創業しました。パチンコ台機販売で巨利を得て、美術品収集につぎ込みました。立志伝中の人ですが、取り締役解任騒動やら逮捕状発行されるやら、賑やかな経歴です。フィリピンにカジノを作ろうとしましたが、贈収賄の逮捕状がでました。が、おそらくお金の力で解決し、逮捕状は取り消されました。フィリピンの司法警察の仕組みをよく知っているわけじゃないのに、かってな憶測です。

 私は「熱海MOA美術館創立者」の世界救世教教祖岡田茂吉とごちゃまぜに覚えていて、世界救世教の岡田教祖が建てた美術館だとばかり思い込んでいました。ユニバーサル美術館という名にしたほうが区別がわかりやすかったかも。そういやMOA美術館ってのもなんでMOAなのか知らなかったけれど、Mokichi Okada Associationの略だそう。
 PTAのParent-Teacher AssociationのAssociationは「保護者教職員組合」でも「親と教師連合」でもいいけれど、Mokichi Okada Associationは、岡田茂吉組合?   

 娘は、1948年以降に所在不明となった喜多川歌麿の肉筆大作「深川の雪」が2012年に発見され岡田美術館が所蔵して2014年に66年ぶりに一般公開された、というニュースを聞いて以来10年の思いを遂げての観覧となりました。



 入口で「深川の雪」に登場する姐さんたちと写真を撮る。

 館内はセキュリティチェックが空港並み。厳しい手荷物検査が行われています。カメラスマホの持ち込み禁止はわからないでもないが、ペットボトル水筒などの飲み物も不可。のどが乾いたら5階エレベーターホールに飲用水が用意してあるから飲みに行けと。
 娘は1階を見たら5階へ行って水を飲み、2階を見たら5階へ。というように、ワンフロアごとに飲み水補給していました。猛暑日だから、館内は冷房効いていても、熱中症対策に飲み水は必要。水筒不可というなら各階にドリンクコーナーを設けるべきです。入館料2800円も取るのだから。

 2800円だけあって、1階から5階までで、ワンフロアでひとつの美術館くらい展示品が並んでいます。常時450点の展示。
 埴輪から仏像、江戸期浮世絵や肉筆画、近代洋画まで、いったいどんな美術館にしたかったのか、と思うくらい多種多様な、とにかく手に入るものはなんでも集めた、という印象。
 江戸時代からの富豪、明治期にのし上がった財閥などは、だいたい茶の湯の名物を集めることから収集を開始することが多いようです。上層階級の人脈が茶会などで築かれることが多かったので。戦後の人脈作りはゴルフでしょうか。金持ちの人脈作りに縁がないのでわかりませんが。 

 岡田和生一族、2009年の日本富豪番付で1位になったあと、娘息子と財産分与でもめているようです。お金持ちはたいへんだなあ。
 ともあれ、岡田和生のコレクションを、1階から5階までめぐったHALは、2800円は高いんだから、「なんだかようわからんが、元とらなきゃ」と、全部見ました。
 娘は「深川の雪」はしっかり見たけれど、埴輪や仏像はパス、と言っていました。

 花鳥風月 名画で見る日本の四季 琳派・浮世絵から御舟・一村まで
 2022年7月16日(土)~12月18日(日)秋冬編 ―光琳・歌麿・春草など― 
 
 喜多川歌麿の肉筆画「雪月花」3部作。いずれも他の歌麿肉筆画にないほどの大画面です。なかでも「深川の雪」は、最大の掛け軸で、198.8cm×341.1cm もあり、目の前で見ると大迫力です。

 「 吉原の花」は複製画で


 「雪月花三部作」の最も古い記録は、明治12年(1879)11月23日、栃木の定願寺における売り立て展観の展示。栃木の豪商・善野家が出品しました。
 「雪」と「花」は明治20年以前に美術商S.ビングが、「月」は明治24~5年頃に画商林忠正が購入、パリへと渡り、「品川の月」は、フリーア美術館蔵、「吉原の花」はワズワース・アセーニアム美術館蔵。

 戦前、フランス滞在中の浮世絵収集家・長瀬武郎が、パリ在住の日本人美術商から「雪」を買い求め、昭和14年(1939)に日本へ持ち帰りました。「月」と「花」はアメリカの美術館へ収蔵されましたが、「雪」は昭和23年(1948)4月15日から銀座松坂屋で開催された「第二回浮世絵名作展覧会」にわずか3日間展示されたのち、半世紀以上、所在不明となっていました。再び世にあらわれたのは、2012年2月。あまり大事にされてこなかったのか、表装部分に傷みあり、2年余りの修復期間を経て、2014年春ようやく公開されました。

 深川の雪と並んで「花」「月」複製画が展示されていました。娘は「本物が花と雪2つそろった展覧会が2017年にあったのに、行けなかったのが、今でも後悔」といいます。
 私は高精細複製画でも3つ揃いで十分満足。なにせ本物の肉筆画なのか、高精細複製画なのか、区別つかない眼なので。
 雪月花、実に見事でした。

 複製画の「吉原の花」


 江戸時代、幕府公認の遊郭があった吉原、飯盛女のサービスが黙認されていた品川、そして深川は粋な芸者町と、三カ所とも江戸を代表する遊興の場。
 「雪」には、深川の料亭の二階座敷に27人の人物が描かれています。(幼い子どもや女中も含む、芸者衆。



 なぜ、「深川」という地名も書かれていないのに、この絵が深川だとわかるのか。
 深川は吉原とことなり、遊郭ではありません。しかし、そこはそれ、旦那衆のなかには芸者の芸と酒を楽しんだあと、泊まりたと申し出る人も、遊郭ではないので、部屋に寝具を常備するのはご法度。そこで、臨時に布団を運び入れることになります。画面上部右に女中さんが前屈みで大きな袋を担いでいます。芸者と客が一夜を過ごす閨の寝具を芸者の抱主の置屋に運ぶ「通い夜具」です。深川では、芸妓置屋は「子供屋」と呼ばれていました。抱主が親、芸妓は子供という間柄とみなしているからです。
 吉原には幕府公認の、品川は黙認の遊女がいて、当然のこととして寝具付きの部屋が常備されています。表向きには遊女ではない芸妓が客とすごすために、布団を運び入れるのであって、他の遊郭にはない深川独特の風習です。

 布団を運ぶ女中の前にいて振り返っている女は、「箱屋」です。画面には描かれていませんが、黒塗りの三味線箱を持つの役割。遊郭では共に男衆(おとこし)の役割です。
 画面の中央で芸妓が化粧しています。当時最先端の笹色紅をぜいたくに使った化粧法。
 
 岡田美術館の画面解説では、画面に見える食器が詳しく述べられていました。左上の芸妓たちは、お膳を前にしており、画面下にはお膳を運ぶ女中がいます。どんな食器であったか、解説がありました。陶器や塗り物のお椀など。

 そのほか、酒井抱一、小栢光琳などん作品やガラス製品などがずらりと。

 いいな、と見入った烏図。
 葛飾北斎「雪中烏図」


 尾形乾山 色絵竜田川文透彫反鉢(重要文化財)


 次にいつ来られるかわからないので、展示されている作品は残さず見ておこうという「元とる」精神の観覧なので、少々疲れましたが、たくさんの作品、見ることができました。

<つづく>
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