グッドぐんま 2

ぐんま大好き! 群馬のちょっとイイものや身近な自然を再発見

ヤリタナゴ観察会 (藤岡市)

2009年05月25日 18時59分11秒 | 
昨日の日曜日、藤岡市でヤリタナゴ観察会が開催されました。
群馬県内には、かつてミヤコタナゴをはじめ5種類の在来タナゴ類が生息していましたが、ヤリタナゴ以外はすべて県内から姿を消し、ヤリタナゴも藤岡市の一部だけに細々と生息iしているだけとなっています。

藤岡市では、ヤリタナゴを市の天然記念物に指定しており、地元の人たちが中心となって貴重なヤリタナゴの保護活動を行っています。

藤岡市でヤリタナゴを捕獲することは法令で禁止されていますが、観察会では特別の許可をとり、水路に生息するヤリタナゴを捕獲し、間近で観察できます。

昨日は朝のうちは小雨模様だったのですが、観察会には幼児から大人まで約120人が集まりました。

水路で魚採り

ヤリタナゴはいたかな?

ヤリタナゴ

繁殖期を迎えたオスは婚姻色がきれいです。

ヨシノボリ


ドジョウ


ヨシノボリやドジョウなど、一見ヤリタナゴとは何の関係もなさそうですが、実はこれらの魚はヤリタナゴの繁殖に大きな関わりがあります。

タナゴ類は淡水産二枚貝に卵を産み付けるという、ユニークな繁殖生態をもっています。
ふ化した仔魚は、1㎝くらいの大きさになるまで貝の中で過ごします。
このようにタナゴ類は、ライフサイクルの中で一番弱い卵と仔魚の時期を貝の硬い殻によって守ってもらうのです。

卵と仔魚を貝に守ってもらうという生態は優れた繁殖戦略のように思えます。しかし、タナゴは常に二枚貝が生息しなければ、自らも子孫を残すことができないというリスクも背負い込みました。

近年、全国的に在来タナゴ類が減少していますが、その主な原因は二枚貝の減少です。
二枚貝は魚よりも環境の変化に敏感です。タナゴ類は淡水産二枚貝の減少によって、繁殖することが困難になっているのです。

ヤリタナゴが卵を産み付ける産卵母貝はマツカサガイです。
マツカサガイ


マツカサガイは春から夏にかけて、グロキディウム幼生を放出します。放出された幼生はヨシノボリやドジョウなどに付着して成長し、その後、稚貝となって着底します。
このように、マツカサガイの繁殖には、魚が重要な役割を果たします。

つまり、ヤリタナゴなど在来タナゴ類の繁殖のためには、タナゴだけを保護してもダメで、産卵母貝となる二枚貝や周辺に生息する魚類など、すべてを視野に入れなければなりません。

ヤリタナゴの棲む用水路で捕れた虫など
ハグロトンボのヤゴ(幼虫)


サナエトンボの仲間のヤゴ


コオニヤンマのヤゴ

コオニヤンマの成虫は脚が長いですが、幼虫も脚長ですね。
ちなみに、コオニヤンマはヤンマの仲間ではなく、サナエトンボの仲間です。

アメリカザリガニ

これは水路にいて欲しくない外来種。

1時間ほど水路で魚採りをした後は、捕れた魚や生き物を水槽に入れて観察と勉強会。
ヤリタナゴを見つめる子供たちの目は真剣でした。


捕獲したヤリタナゴは、観察会終了後に、元の水路に戻されました。

ヤリタナゴと仲間たち 藤岡市