功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『六合千手』

2010-12-24 23:26:34 | カンフー映画:傑作
六合千手
英題:Duel of the Seven Tigers/Return of the Scorpion
製作:1979年

●皆さんメリークリスマス!何だかあっという間の12月でしたが、当ブログは今回が今年最後の作品レビューとなります。ラスト更新は今月の更新履歴とベスト&ワーストで〆にするつもりですが、コメントおよびメールについては順次返信していく予定です。そして、前々から勧めていたあるプランを来年以降に実施していきたいと思っていますが、こちらは更新履歴の項で触れたいと思います。

 そんなわけで今年最後の作品紹介は、質の高い功夫片を撮る事で知られる協利電影作品でフィニッシュです。同社は、ワンパターンに陥りがちな功夫片というジャンルにおいて、ひと捻りを加えることによって新しい方向性を模索し続けた"野心家"ともいうべき存在であった。
大手プロダクションと違い、後ろ盾も予算も無い独立プロであった彼らは、出来る限りの範囲で最大限の努力を尽くした。その成果は既に日本発売されている作品群からも見て取れるが、国内未発売の作品にもレベルの高い物が多々ある。本作もそんなタイトルのうちの1つで、協利電影の花形スターだった金童(クリフ・ロク)と高飛(コー・フェイ)が、善悪分かれての真っ向勝負を繰り広げている。
 物語は実に潔い内容で、中国拳法と日本空手の総力戦をジックリと描いている。かつて少林寺での戦いに負けた師の仇討ちを目論み、日本から最強の空手家・高飛がやって来た。高飛は恐ろしく強く、中国武術界は短期間で甚大な被害を受けてしまう。武術界のお偉方から「高飛をなんとかしてくれ」と頼まれた[ン先]林は、各地で仲間を募って闘いを挑むこととなった。
集められたメンバーは韓英傑・楊[目分][目分]・林文偉・趙志凌・李冠雄・陳耀林の6人。更に[上下]薩伐(カサノヴァ・ウォン)に負けて隠遁していた金童も加え、一行は高飛に挑戦状を叩き付けた。数の暴力に訴えた中国拳法連合であったが(笑)、高飛は予想以上に強かった。メンバーはもれなく重症を負い、最後まで踏ん張った韓英傑も命を落としてしまう。
分散して闘っては勝ち目が無いと悟った彼らは、軽症だった金童に全員の奥義を伝授。特訓を終えた金童は高飛とのリベンジマッチに挑むのだが…。

 特にドラマチックな物語があるわけでもないが、高度な功夫アクションに彩られた満貫全席のような作品である。いつも協利作品は高水準の功夫アクションを提供しているが、本作はその功夫アクションを重視した内容となっており、これまでの同社作品と比較しても功夫シーンの密度は非常に高い。
オープニングと呼ぶには余りにも長い演舞で幕を開け、いきなり本作武術指導家の陳少鵬VS大聖劈掛門の陳秀中という本格派同士の対決でスタート。続いて高飛が登場し、突き刺さるような蹴りと堂々たる悪役っぷりで作品の全てをかっさらう。『七人の侍』チックな連合結成の流れを経て、中盤のクライマックスとなる連合VS高飛では各々のポテンシャルが最大限に発揮されており、とりわけ韓英傑VS高飛の対決は印象深い。
 ラストでは全員の拳法を叩き込まれた金童が、海沿いの岩場で高飛との最終対決に挑んでいく。真新しいシチュエーションでの一戦だが、地の利を生かしたバトルにもなっているところが上手い。金童は『天才カンフー』に続き、再び複数の拳法を操るという難しい役柄にチャレンジしていて、先の乱戦で他メンバーが使用した技で高飛に肉迫。都合9分にも及ぶこの死闘は、金童にとって『龍形摩橋』のVS黄正利に並ぶベストバウトと言えるだろう。
…さて、重複しますが今年の功夫映画レビューはこれにて終了。来年はどんな功夫片や動作片、或いはマーシャルアーツや邦画作品に出会えるのか、今から実に楽しみです。ところで先頃、行きつけのレンタルビデオ屋が閉店し、とうとう近所でVHSソフトがレンタルできるショップが全滅してしまいました(涙)。これからはショップ通いからネット巡りにチェンジしていくので、更新模様もかなり様変わりするかもしれません。それでは皆さん、また来年!(※更新はまだ続きます)

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