功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『デイ・オブ・ザ・ディシジョン3』

2012-09-17 23:09:12 | マーシャルアーツ映画:下
「デイ・オブ・ザ・ディシジョン3」
原題:THE VAUIT
製作:2005年

●古くから格闘映画では、格闘技のチャンピオンを起用するケースが相次いできました。これまでも何度か触れてきましたが、この起用による一番の利点はネームバリューの大きさと本物の迫力にあります。「リング上で戦ってきた闘士たちが、どのような暴れっぷりを見せてくれるのか?」…観客の期待はその一点に注がれるのです。
しかし、映画と実戦では勝手が違います。抜群の素材を周囲が生かし切れず、ヘボくなった作品は大量に存在します。現在も格闘家を主演にした映画は世界各地で作られていますが、その出来は一様に安定していないのが実情です。
 さて、本作はパンクラスに在籍していた総合格闘家のバス・ルッテンをピックアップしています。彼は映画出演を積極的にこなしており、『シャドー・フューリー』では同じパンクラス出身の船木誠勝と戦い、『バトル・サバイバー』では主演を担当しています。
彼の見せるアクションはスピーディーかつ力強く、単なるパワーファイターではないのがポイント。今年公開されるコメディ映画『Here Comes the Boom』(さえない大学教師がなんと総合格闘技に挑むというお話)にも出演していて、今後の活躍を期待せずにはいられません。

 そんな彼が強盗団のリーダーに扮し、配下にダイアナ・リー・イノサント(ダン・イノサントの娘)を従えて出演したのが本作です。タイトルに「3」とありますが、これは日本で勝手にナンバリングされただけのもので、何かの続編というわけではありません。
ストーリーは不仲の父娘が美術館で強盗団に遭遇し、金庫室に閉じ込められた娘を父親が救うという、いわゆる亜流『ダイ・ハード』。一応、金庫室の空気が無くなっていく(同時に強盗団が金庫室を爆破しようとしている)という時間制限を設けるなど、そこそこ工夫が凝らされていました。

 しかし本作は演出も脚本もグダグダで、タイムリミットが刻一刻と迫ろうとも緊迫感は皆無!また、唐突な裏切り・優柔不断な主人公・安いラブストーリー・事件の黒幕が逮捕されるシーンに一切説明が無い・計画破綻しまくりの強盗団などなど…杜撰すぎる描写がそこかしこで見られます。
アクションについても壊滅的で、動ける面子(主人公のラシー氏も実際にナイフの名手)を揃えておきながら、それらが全く作品に生かせていないのです。そもそも全編出ずっぱりのバスに格闘戦をほとんどやらせないという点からして大間違い。肝心のラストバトルも迫力に欠けていて、寒々しさすら感じます。
親父直伝のスティック捌きを見せておきながら情けない最期を迎えるイノサント嬢といい、素材の使い方を間違いすぎている本作。ちなみに『デイ・オブ・ザ・ディシジョン2』には格闘俳優のオリビエ・グラナーが出演してますが、予告編を見る限りでは本作を上回る凄まじい作品のようなので、見るのはだいぶ先になりそうです(爆

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