功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『怪客』

2008-04-05 20:47:39 | カンフー映画:傑作
怪客
英題:The Karate Killers/Stranger from Canton/Stone Cold Wu Tang
製作:1973年

▼B級功夫スター、白彪(バイ・ピョウ)の主演作である。白彪はいろんなところに顔を出している人で、日本でも『Gメン75』の香港ロケに楊斯と共に参加したり、主演作の『アムステルダム・コネクション』がリリースされている。
そんな彼の初期の主演作がこの作品で、当時大ヒットを記録していた『ドラゴン怒りの鉄拳』の影響を受けた作りになっている。だが、脚本を倪匡(イ・クオン)が担当しただけあって、それなりにオリジナリティのある作品に仕上がっているところは評価できる。

■本作は抗日作品ではなく、『ワンチャイ/天地大乱』みたいに清朝が敵として登場する。革命派を一網打尽にしようと、清朝はしつこくメンバーを追っていた。アメリカ帰りの風来坊・白彪は、功夫道場を隠れ蓑にしている革命派の魯俊谷たちと出会うが、次々と革命派のアジトを襲撃され、メンバーはほとんど全滅してしまう。残された白彪と魯俊谷は誤解からぶつかり合うが、のちに協力して高岡たちと闘っていく事となった。
その後、白彪&魯俊谷は高岡との激しい戦いの末に満身創痍となり、いったんは引き分けで終わる。ところが高岡は用心棒として新たに馮毅(フォン・イー…思いっきり『怒りの鉄拳』な格好で登場)を呼び寄せ、まだ傷の癒えていない魯俊谷を倒してしまった。
高岡は殺害した魯俊谷の遺体を白彪に送りつけ、ヒロインを人質に取って挑発。怒りに燃える白彪はこの圧倒的に不利な条件の下、最後の闘いのに望むのだった…。

▲物語は革命派と清朝との戦いという一点に集中しており、緊迫感溢れる攻防戦が繰り広げられている。ほとんどノンスター作品であり、主演から敵役から脇役に至るまで派手なキャストではないものの、全体的に演出もアクションもすこぶる頑張っていて、無名の作品にしてはなかなか面白い。特に功夫アクションについては迫力満点であり、どちらかというと呉思遠作品っぽい肉弾戦に終始しているのがポイントだ(武術指導は陳少鵬)。
また、本作は『巡捕房』『龍虎門』などの監督である魯俊谷が重要な登場人物として活躍している。彼自身も役者としての出演作は多いのだが、羅維(ロー・ウェイ)や黄楓(ファン・フェン)などの役者としても活動している監督とは違い、きっちりとアクションもこなしている。彼は時に武術指導も担当する事があるらしく、そういう点ではジャッキーやサモハンの大先輩と言えなくもない。
単なる『怒りの鉄拳』フォロワーではない渋めの作品。こうなると同キャスト・スタッフで製作された姉妹作の『戦北國』も気になるところだが…?