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功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

特集・好小子たちの戦い(06) 『クロオビキッズ』

2008-03-26 18:33:42 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「クロオビキッズ」
原題:3 Ninjas
中文題:忍者小英雄
製作:1992年

▼70年代、80年代、キョンシー系と、好小子たちを追いかけていよいよ90年代へと突入するわけだが、ここでちょっと寄り道だ(なんか最近こんなのばっかでスミマセン(爆))。
この本作はアメリカ産の好小子作品…言わば、『カンフーキッド/好小子』のアメリカ版である。けっこうヒットした作品のようで、シリーズ化されて『クロオビキッズ/日本参上!』『クロオビキッズ/夏休み決戦!』『クロオビキッズ/メガ・マウンテン奪回作戦』などが作られている。
この作品、『カンフーキッド』とは年代的に開きがあり、どちらかというと『ホーム・アローン』の影響下にある。しかし『カンフーキッド』と似通った要素をいくつか持っており、好小子系列の作品としてここに紹介する次第である。

■夏休みにニンジャであるおじいちゃん(ビクター・ウォン)の元で修行に励んでいたマイケル・トリーナー、マックス・エリオット・スレイド、チャド・パワーの三人は、ニンジャとして実力をつけていた。
夏休みが終って学校が始まったが、父親のアラン・マクレーはFBIの仕事であまりかまってくれず、学校ではいじめっ子が幅をきかせていた。そんな時、彼らの父親が追っている麻薬ディーラーのランド・キングスレーは、邪魔なアランを脅そうと3人の息子の誘拐を計画する。
ランドはビクターとはかつての同門であり、マイケルたちはおじいちゃんが悪人ではないかと疑うようになってしまう。結局、彼らは乗り込んできたランド一味に捕らえられるが、果敢にも脱出しておじいちゃんと共に逆転へと転じるのだった…。

▲本作には『カンフーキッド』と類似するポイントがいくつかある。
3人の好小子が主役で、うち2人はあまりキャラ立ちができておらず、残った1人がその2人によく弄られるという構図(『カンフーキッド』でいえば陳崇榮が、本作ではチャド・パワーがそれに当たる)。ヌンチャクの多用やクライマックスでの連戦、祖父に修行を受けた等々…『カンフーキッド』から影響を受けているのではないかと思われる一致が散見されるのだ。
個人的には『ホーム・アローン』的な作品はあまり好きではない。というのも、やられ役となるマヌケなコソ泥(本作でそれに相当するキャラが登場するのは中盤のみ)よりも、それとは別個に登場する悪ガキが胸糞悪く、倒されるべき悪が倒されてもその悪ガキがのさばったままというのが好きではなかった。
『ホーム・アローン』だと上の兄貴たちがヤな感じだったし、同シリーズの『3』は散々主人公をケナしていた姉と兄が、終盤で手のひらを返したかのように「よくやった!」と言うのにも違和感を感じた。だからと言って「悪ガキもいっしょに逮捕されちまえ!」とまでは言うつもりではないのだが(爆)、本作はそこらへんの決着をきっちり付けていたので好印象を持つことができた。
また、アクションに関しては色々とうるさそうなハリウッド作品にもかかわらず、作中で子供たちが繰り広げる格闘アクションはなかなかのもの。さすがに『カンフーキッド』にまでは及ばないが、ノンスタントでアクロバティックなアクションを見せたりして頑張っている。
そして、それとは別に大人たちが披露するアクションは、マーシャルアーツ映画として見ても楽しめる出来だ。クライマックスのビクターVSランドの一騎打ちは(ビクターはさすがにスタントを多用していたが)、結構いいバトルだったので意外に思ったほどである。
ちなみに本作は『カンフーキッド』と同様に日本で劇場公開されたのが第1作のみで、それ以降の続編はビデオスルーとなり、現在ではレンタルショップの片隅でホコリをかぶって置いてある。そこまで符合してもらわなくてもよかったと思うのだが…(苦笑

『ブラック・ソルジャー』

2008-03-05 22:34:03 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ブラック・ソルジャー」
BRIDGE OF DRAGONS
1999

●香港映画には様々なジャンルをごちゃ混ぜにした闇鍋映画が多い。その最たるものが王晶(バリー・ウォン)作品で、とにかく流行ってるものならおかまいなしに自分の作品にぶち込むその精神はいろんな意味で凄いものがある。
本作もそういった面では闇鍋映画に該当するが、王晶は闇鍋を自分の味付けで無理矢理仕上げていたのに対し、本作は煮込み具合が足りずに脂が浮いたような出来になっている(なんのこっちゃ)。
ある国の将軍ケイリー・ヒロユキ・タガワに仕えていたドルフ・ラングレンは、ケイリーの求婚から逃げ出した若き王女を連れ戻すよう命令を受ける。実は、ケイリーはかつて王女の父を殺した悪人で、王女からその話を聞いたドルフは、常々疑問を抱いていたケイリーに対し、反逆の狼煙を上げていく。
この作品、舞台設定は未来でも昔でもない架空の時代という事になっている。が、実際はかなりメチャクチャな世界観となっている。主人公のドルフ以下、登場する軍人はみんな最新鋭の装備をしているのにもかかわらず、王女の辺りはヒロイックファンタジーのようで、かなり違和感がある。恐らくは狙ってやっているものと思われるが、単にツギハギの映画を見ているようで落ち着かないのだ。
他にも、クライマックスの展開がおもいっきり『ルパン三世・カリオストロの城』で爆笑したが(笑)、ことアクションに関しては良好だ。本作の監督は『パワーレンジャー』のアイザック・フロレンティーンだが、その流れか本作のアクション指導を担当したのは野口勇次らアルファスタント系の面々。おかげで格闘アクションのみならず、爆破スタントなどの場面も、退屈しないで見る事ができた。個人的には、序盤に出てくる梅花椿バトル(!)が好みだったりします。
また、本作のヒロインである王女は、この手の作品にはありがちな「キャーキャー騒いでるだけのお姫様」ではなく、銃を手に取り悪党を蹴り飛ばす活発なキャラなのも好感が持てる。どうせなら最後のドルフVSケイリーの『リトルトウキョー』リターンマッチにも参加して欲しかった所だが、後半以降は普通のヒロイン格になってしまったのが惜しいところである。

『フォース』

2008-03-04 23:57:52 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「フォース」
IRRESISTIBLE FORCE
1993

●引退を考えているおっさん刑事が、職場復帰に際して新しい相棒を迎え入れるが、そこへやって来たのは警察学校の問題児だったシンシア・ラスロックであった。さっそくコンビを組んだ最日に強盗事件でムチャをやらかし、2人は停職処分になってしまう。帰り道、ふと落成式をしている大型デパートに立ち寄った2人だが、そこでマイケル・バコール率いる白人至上主義のテロリスト集団と遭遇する。
マイケルらは落成式に出席していた知事などの要人を人質に取り、デパートに残っていたラスロックは孤軍奮闘を強いられる事になる。外に出いていたおっさん刑事は無能な特殊部隊に頭を抱えるが、我慢ならずにこちらもデパートへと侵入する。テロリストは拘留されている同胞の解放などを要求してきたが、実は彼らの目的はそれだけではなかった…。
要するにこの作品、ラスロック版『ダイ・ハード』である。目新しさのない展開やほったらかしになる伏線などはTVMなので仕方がないかもしれないが、この手の作品にしては小道具を使ったアクションが豊富で、デパートが舞台なだけに、様々なアイディアを駆使した格闘戦がみられるのもポイント。ラスロック主演のマーシャルアーツ映画はただ単に大振りの蹴りを放っているだけの単調なアクションが多いが、本作ではそこらへんにひと工夫なされており、評価できる。
おっさん刑事も体格のわりには頑張っていたけど、本作で問題だったのはラスボスのマイケル・バコールだ。だってこの人、全然動けてないんだもん(爆)!これなら動けないが迫力はあるマシアス・ヒューズみたいなパワーファイター系の人の方がよっぽどマシだ。やっぱりこの手の映画は、ラスボスがきちんとしていないと面白いものも面白くなくなってしまいますね。
のんびり休日の昼下がりにでも見るのが最適な小品。とりあえずラスロック迷は見ておいて損はないと思います。

『ユニバーサル・ソルジャー/ザ・リターン』

2008-03-02 23:25:01 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ユニバーサル・ソルジャー/ザ・リターン」
UNIVERSAL SOLDIER: THE RETURN
1999

●ジャン=クロード・ヴァン・ダムとドルフ・ラングレンという世紀の対決を実現させた『ユニバーサル・ソルジャー』の続編…ということなのだが、『ユニバーサル・ソルジャー』との繋がりはヴァンダムの役柄ぐらいで、ほとんど別物といっても良い作品だ。
話は単純明快で、新しいユニバーサル・ソルジャーの計画が破棄される事になり、それを知った電子頭脳が反乱を起こす。それに対してヴァンダムが新型ユニバーサル・ソルジャーの軍団と孤軍奮闘していく…といったものだ。
本作の肝はやはりこの人、マイケル・J・ホワイトだろう。彼は本作以外にもいくつかのアクション映画に参加。『DENGEKI電撃』ではセガールと共演し、『シルバー・ホーク』では香港映画にも出演している。マイケルは本作で人間となった電子頭脳としてヴァンダムと対峙するのだが、いい動きでなかなか見せてくれるのだ。
作品としては前作よりもミニマム。キャラもあんまり魅力はない(特にうるさいだけのヒロインは邪魔でしかない)。最後は電子頭脳がヴァンダムの娘を前にして心を動かされ、ビル・ゴールドバーグを道連れに炎の中に消える…みたいな展開だと思いきや、まさかマイケルの後にビルとのバトルがあるとは思いませんでした(苦笑
彼はビデオのジャケ裏によると有名なプロレスラーとのことだが、どうせならラスボスなんだし、最後はヴァンダムVSマイケルのバトルを思いっきりやって欲しかったので、これは残念でした。
ところでこの作品、いろんなところにジャッキー映画のオマージュが見え隠れしているような気がするのだ。序盤の模擬戦では新型ユニバーサル・ソルジャーが『レッド・ブロンクス』っぽい水上スキーをかますし、ガラスをぶち割りまくるクライマックスは『ポリス・ストーリー』っぽい雰囲気だ。ヴァンダム自身、ジャッキーを意識していたのかは解らないが、興味深いシーンではある。
それと、エンドクレジットのスタント欄でYuen Takという名前があったが…もしかしなくてもこれって、やっぱり元徳の事?

『ブレード/妖剣伝説』

2008-02-17 21:36:27 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ブレード/妖剣伝説」
原題:Sword of Honor
製作:1995年

スティーブ・ヴィンセント・リージェフ・プルートはやり手の警官コンビだが、ある組織との銃撃戦でジェフが殉職。敵は元の時代から伝わる伝説の妖剣を盗み出し、それをエサに甘い蜜を吸おうと企んでいた。
相棒を殺されたスティーブは上司から休めと言われるが、ジェフの妹であるソフィ・クロフォードと共に巨悪へ立ち向かっていく決意を固めた。やがて2人は組織が妖剣を利用して取引相手を殺害した事や、その際に使用された銃がジェフの殺害にも使われていたことを掴んだ。
 しかし相手も黙ってはおらず、組織の差し金によってソフィが重傷を負ってしまう。組織と通じていたスティーブの上司も利用された挙句に殺されるが、上司を殺した犯人に気付いたスティーブは同僚と捜査を再開する。
一方、組織では下克上を狙っていた幹部(上司を殺した男)がボスを殺害。スティーブは仲間と共に敵のアジトへと潜り込むが…?

 いくつもの香港映画で活躍した白人女ドラゴンことソフィ・クロフォード。本作はそんな彼女が出演したマーシャルアーツ映画で、主演はスティーブ・ヴィンセント・リーが務めています。彼は本作以外にも『カジノ・ファイター』『ハードブロー』等に参加。そのアクション・センスはなかなかのものです。
作品としては凡庸なポリスアクションですが、主人公の相棒に扮したジェフが武術指導を担当していることもあってか、アクションシーンは及第点以上の出来となっていました(坂本浩一らもスタント等で参加)。
 劇中では格闘戦だけでなく、銃撃戦や爆破アクションを加えることでテンションをキープ。ドラマについても悪くなく、最初は険悪だったスティーブとその同僚が後半で和解するなど、ほんの少しですがストーリーに捻りが加えられています。
そして本作で最も印象に残ったのがジェフの見事な立ち回りです。彼の出番は序盤だけですが、アクションシーンでの動作は他のキャストの誰よりも素早く、さすが本職の殺陣師だけはあるなぁ…と唸らされました。
 他にもソフィの見せる香港仕込みのバトルなど、見どころはあるんですが…残念ながらラストバトルはあまり面白くなかったですね。ここで達人クラスの格闘俳優と絡んでくれていたら、本作は傑作に昇華していたかもしれません。
ところで本作は妖剣が主題となっていますが、別に霊が憑りついていたりするようなことはなく、SFチックな邦題とは裏腹にただの小道具として扱われます。この妖剣は最終的にスティーブの手に渡るのですが、あの保管方法(見てのお楽しみ)だと剣がダメになってしまうのでは?(笑

『タイガークロー』

2008-01-29 17:15:53 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「タイガークロー」
TIGER CLAWS
1992

●かつて、香港映画界に彗星の如く現れ、その卓越した技量で香港中を圧巻せしめた1人の白き女ドラゴンがいた。それがかのシンシア・ラスロックである。『レディ・ハード/香港大捜査線』でD&Bの旗揚げ作品を楊紫瓊(ミシェール・ヨー)と共に華々しく彩り、その後もいくつかの作品で活躍していたラスロックだが、のちに彼女はアメリカへ凱旋する事となる。
だが、武術指導・スタントの技術などの土壌がしっかりしていた香港映画とアメリカ映画とでは、その見せ方に関しての差は歴然としていた。その点ではもう少し香港にいて欲しかった向きもあるが…本作も香港時代を知るファンから見れば、今ひとつといった印象を感じる事だろう(事実、私も最初はそうでした)。
内容はありきたりな刑事アクションで、ラスロックとジャラル・メーリが組んで、謎の連続格闘家殺人事件を追うといった物語だ。その犯人が楊斯(ヤン・スェ)で、タイトルにもある"タイガークロー(タダのひっかき技)"を使って暴れ回っている。
アクションはもっさりとしていて派手ではなく、武術指導のせいか楊斯も含めてあまりいい動きをしていないが、マーシャルアーツ映画ではこれくらいで及第点。ラスロックVS楊斯という対戦カードも興味深い物があり、一概に切って捨てられない作品でもあると言えよう。
ところで、最近の彼女はどうした?と思う方もいるだろうが、実は今でも第一線で活躍中なのだ。主にドン・ウィルソン、リチャード・ノートンらとの仕事が多い様で、何を隠そうこの作品もシリーズ化されていたりするから驚きだ(笑)。本作の続編である『Tiger Claws 2』には再び楊斯が、『Tiger Claws 3』には黄家達(カーター・ワン)まで出演しているとの事。う~ん、見たいような見たくないような…(苦笑

『ダーク・エンジェル』

2007-12-08 21:33:35 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ダーク・エンジェル」
Dark Angel
1991

●セガールやヴァンダムと比較するとイマイチ知名度の低いドルフ・ラングレン。彼については『リトルトウキョー・殺人課』でも少し触れたが、今回は彼の完全主演作だ。話としては刑事アクションにエイリアンをブチ込んだ意欲的な内容で、刑事のドルフがFBIのチビや検死官のヒロインと共に謎の殺人事件に首を突っ込むが、それは宇宙から来た麻薬ディーラーのマシアス・ヒューズによるものだった。マシアスは人間からエンドルフィン(脳内麻薬)を抽出してドラッグに精製しており、それを追って別のエイリアンも現れる。ドルフは次第に人であらざる存在を確信していく…というもの。
残念ながら格闘アクションはそれほど登場しない。しかし所構わず繰り広げられる爆破スタントは圧巻で、特にマシアス扮する悪のエイリアンが警官エイリアンに追われる場面がスゴい。このシーンでマシアスは車を踏み越えて逃げていくのだが、警官エイリアンが銃を発砲し、車がマシアスの背後で次々と爆発していくのだ。これ、マシアス本人が演じているかどうかを抜きにしてもかなり危ないスタントである。
感想としてはエイリアンの存在に気付くまでにもう少し描写が欲しかったのと、当初対立していた麻薬組織との決着が尻すぼみになってしまった事がちょっと不満だ。後はヤな感じだった上司が何の制裁も受けていない(FBIの悪上司はドルフに片付けられたのに)ぐらいだが、危険なスタントとテンポ良く進む話のおかげでそれなりに見られる作品となっている。ただ、やはりマーシャルアーツ映画としては最後のドルフVSマシアスのバトルをもっと派手にしてほしかったかな。
先述したセガール・ヴァンダムらは印象に残る作品や代表作を打ち立てているが、ドルフは特にこれといった作品が思い当たらない。個人的には呉宇森(ジョン・ウー)と組んでいる『ブラック・ジャック』なる作品が気になる所。果たして、彼の代表作に巡り会えるのはいつの日か…?

『キックボクサー5』

2007-11-27 22:26:34 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「キックボクサー5」
KICKBOXER 5/KICKBOXER 5: THE REDEMPTION
搏撃之王第五集
1995

●かつてヴァンダムが主演した『キックボクサー』という映画があった。この作品は後にサシャ・ミッチェルが主演を引き継ぎ、『キックボクサー2』『キックボクサー3』『キックボクサー4』まで製作された。そして本作ではマーシャルアーツ映画きってのアクションスター、マーク・ダカスコスが主演を務めている。とは言ってもシリーズ的な繋がりは薄く、ミッチェルが演じたキャラが冒頭殺され(ミッチェルは登場せずシルエットのみ)、その友人だったダカスコスが立ち上がるので、シリーズを通して見ていなくても大丈夫です(かくいう私もまだ未見…)。
ダカスコスは若くしてキックボクサーを引退した男。その友人がキックボクサーのチャンピオンとなるのだが、ジェームズ・ライアン率いる組織の要求を跳ね除けた友人は殺されてしまう。ダカスコスは敵の本拠地がある南アメリカへと向かい、組織に雇われたが反発して共に逃亡者の身となったジェフ・ミードと闘っていく。
本作の注目すべき箇所はズバリ、マーク・ダカスコスVSジェームズ・ライアンという、マーシャルアーツ映画夢の対決である。
ジェームズ・ライアンは日本でもリリースされている『サンダー・ウォリアーズ』などで主演を張ったひと昔前のアクションスター。そのアクションの基礎は空手がベースで、『サンダー・ウォリアーズ』では制作年代の割には結構いい動きをしていた。そんなライアンとダカスコスの対決!…なのだが、そのラストバトルはナイトシーンの上に途中から取っ組み合いになってしまうというお粗末なものとなっている(途中までは良かったのだが…)。
これはちょっと残念だったが、ダカスコスは全編に渡ってアクロバティックな足技を披露。タイトルがキックボクサーなのにダカスコスは棒術や中国拳法みたいなアクションを見せていて面白い。ジャケを見るとジェフ・ミードがラスボスっぽく見えるが、彼も彼でそれなりに頑張っている(なお、ジャケ裏にジェフが丸太を持ち上げたりファイティングポーズをキメているスチールがあるが、本編中にこんな場面はありません)。
マーシャルアーツ映画としては佳作ですが、なかなかの拾い物といった感じでした。

『レッド・サン・ライジング』

2007-11-26 21:57:46 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「レッド・サン・ライジング」
原題:Red Sun Rising
製作:1993年

●京都府警の刑事であるドン・ザ・ドラゴン・ウィルソンは、悪党のスーン・テック・オーと仲間の殺し屋であるジェームス・リューを追っていたが、相棒のユージ・オクモトを殺されてしまう。
その後、ロサンゼルスで捕まったスーンの身柄を預かるべく渡米したドンだが、現地ではギャング同士による抗争の真っ最中。ロス市警は身柄引き渡しなどに構っているヒマなど無く、日本人だからとドンを差別しまくる有様だった。
 ところがその矢先、リューの手によってスーンが殺されてしまう。このまま帰るわけにいかなくなったドンは、叔父のマコ岩松の元へと身を寄せ、独断で捜査を開始。よそ者に暴れて欲しくないロス市警は、お目付け役に女刑事のテリー・ファレルを押し付けた。
ところがスーンはリューの特殊な拳によって仮死状態にされたにすぎず、2人は秘かに逃亡。ドンはスーンたちがギャング相手に武器密輸を企んでいることを突き止めるも、独断専行が行き過ぎてテリーが謹慎処分を食らってしまう。
やがて警察内部や財務省にも敵が潜り込んでいた事が発覚し、ドンを毛嫌いしていた警察署長(マイケル・アイアンサイド)がスパイを調査していたというご都合的な展開へ。やがてドンは対立するギャングの一方と手を組み、リューとの決戦に挑むのだが…。

 本作はおなじみドン・ザ・ドラゴン・ウィルソン主演のポリスアクションですが、本作で彼は日本人(正確にはハーフ)の刑事を演じ、アメリカで大暴れするという風変わりなストーリーとなっています。
ヘンテコな日本描写も多く、オープニングで道頓堀が映ったと思ったら直後に「TOKYO JAPAN」と表示され、そこで京都府警のドンが暴れるというデタラメっぷりです(笑)。しかし話のほうは主人公に対して批判的なキャラクターが多く、かなりの苦境に立たされていました。
 なにしろ日本では厄介者として偏見に満ちた目で見られ、ロス市警からは疫病神扱いされ、事件の証人は次々と殺されていくのです。協力的なのはテリーとマコ岩松しかおらず、これでは息苦しくて見ていられません。
恐らく、本作は逆境に立たされるドンの姿を通して人種的偏見に訴えようと試みたようですが、残念ながら逆境過ぎてあまり面白くなかった…というのが正直な感想でした。
 ただ、アクションシーンでは絡み役も動ける連中が揃っており、特にジェームス・リューが大悪役を演じているのがポイント。彼は『リーサル・ウェポン4』で李連杰(ジェット・リー)に制裁を受け、チャイナタウンで殺される脇役などで知られています。
そのせいか香港映画ファンにはいまいち知られていませんが、格闘映画ではメインの悪役を務める事も多く、本作では堂々のラスボス役を好演。『リーサル~』では見せる暇もなかったアクロバットな動作を披露し、その実力を見せています。
惜しむらくは殺陣が大味で、ドンの動作がもっさり気味な点なんですが…(ちなみに武術指導はドン本人)。あと、作中で彼が日本語を喋る場面があるんですが、案の定カタコトで発音も滅茶苦茶。その後、テリーが「日本語って壊れた無線機みたいね」国辱級の毒を吐くシーンがあり、危うく同意しかけてしまいました(爆

『ハード・ターゲット』

2007-11-08 22:58:56 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ハード・ターゲット」
終極標[革巴]
HARD TARGET
1993

●ここのところ、あまり話題を聞かない呉宇森(ジョン・ウー)が心配だ。最近では何故か『エクスマキナ』というジャパニメーション作品をプロデュースしたりと、なんだか変な方向へ行ってる気がする。また呉宇森的な熱い男たちの物語を見たいのだが…。そんな彼がハリウッド進出した記念すべき第一作が本作である。主演にジャン=クロード・ヴァン・ダムを配し、制作にはサム・ライミが関わっている。
行方不明の父親を捜してホームレスが吹き溜まっているニューオリンズへやって来た弁護士のヤンシー・バトラー。だが、どうも父親はホームレスになっているらしく、警察は当てにならない。そこで偶然知り合った元警官のヴァンダムと共に父を捜すが、父は廃墟で焼死体となって発見される。
自殺として片付けられたこの一件に疑問を持ったヴァンダムが調べてみると、本当の死因は他殺だった。実はこの街の裏では殺人ゲームが行われ、ヴァンダムの友人の黒人も殺されてしまう。事実に近づいたヤンシーとヴァンダムは狙われるが、ヴァンダムの父の協力により廃工場で敵一同を迎え打つこととなる。
初進出だけあって呉宇森はかなり苦労したらしく、特にヴァンダムが「俺が目立たなくてどうする!」とヴァンダム節(爆)を炸裂させた為、呉宇森も四苦八苦したようだ。なお、敵に扮するランス・ヘンリクセン&アーノルド・ヴォスルーだが、前者は『エイリアン2』で真っ二つになってたアンドロイドで、後者は『ハムナプトラ』でイムホテップ役をやっていた、意外に有名な人だったりする(笑
本作を一言で形容するなら"呉宇森ファンが作ったような呉宇森作品"である。呉宇森作品のいつもの魅力が、悉く殺されてしまっている感が強いのだ。序盤からスローモーション連発し、鳩が舞い飛びラストは二丁拳銃と、完全に呉宇森的な要素をちりばめている。が、それらが全て呉宇森作品を「倣った」ようで、彼の作品特有の迫力が感じられないのである。
とは言っても、ハリウッド初顔見せということもあるので、いきなり『ワイルド・ブリッド』みたいな濃い内容を見せつけるよりも、可もなく不可もなしな作風にしたのは無難と言える。それにその後のハリウッドでの呉宇森作品を感じさせるシーンも少なからずあり、向かってくる車にバイクの上で立ってショットガンをぶっ放すとこは『M:I-2』を髣髴とさせる無茶なスタントだった。
ヴァンダム作品では呉宇森との作品がコレ一本というのが惜しい。とりあえずヴァンダム作品としてはあまり格闘シーンが控えめだが出来は並みといったところか。しかし呉宇森…ジャッキーみたいにまた香港に戻ってハメを外した作品でも作ってくれないかなぁ…?