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功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『ハイボルテージ』

2008-07-14 22:20:02 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ハイボルテージ」
HIGH VOLTAGE
1997

●監督がアイザック・フロレンティーンなので格闘アクション的なものを期待してしまいがちだが、本作は主なスタントがガンアクションに終始している。そのため、そっち方面の過剰な期待は禁物である。
主人公のアントニオ・サバト・Jrは仲間と徒党を組んで暗躍する強盗グループのリーダー。今日が最後の仕事と言って李香凝(シャノン・リー)の経営する小規模の銀行に押し入ったのだが、そこはマフィアの息が掛かった銀行だった。そのためアントニオたちは一銭の儲けもないままトンズラをこくハメになってしまったのだが、自分たちの顔に泥を塗られたマフィアたちはアントニオ一行を追って動き始めた…。
要するに本作はアントニオたちが追われるだけの内容だ。途中で李香凝が合流し、マフィアたちの追っ手と闘う道中記に徹しているため、ストーリーは『ブラック・ソルジャー』の時よりも薄くなってしまっている。とはいえ、作中で繰り広げられるガンアクションは気合いが入っててそれなりに見られる。格闘アクションは中盤とクライマックスで二度ほど行われるだけだが、こちらもアントニオや李香凝らが華麗な動きを見せてくれている。
惜しむらくは、途中で出てくる無法者夫婦が余計なキャラだったことと、ジェームス・リューがあんまり目立っていなかった事だろうか。ちなみにマフィアの親分を演じていたアジア系のおっさんは、確か『リーサル・ウェポン4』で李連杰(ジェット・リー)の手下を、『ラッシュ・アワー』でスーヤンを送っていた運転手を演じていた人(だと思う)だ。
このおっさんが同じ『リーサル・ウェポン4』で活躍したジェームスを従えているという構図に、なんとなく運命めいたものを感じたりしちゃいました(笑

『アベンジャー』

2008-06-21 22:08:55 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「アベンジャー」
原題:RECOIL
製作:1997年

●何というか、色々とくどいんだよなぁ…この映画。
ロスのど真ん中で凶悪な銀行襲撃事件が発生し、犯人たちは派手に撃ちまくりながら警官たちと銃撃戦を繰り広げた(客を人質に取ればそんな事をしなくてもいい気がするのだが)。その際、犯人の1人がバイクで逃走を図り、激しい逃走劇の末に射殺された。この死んだ犯人は大物マフィア一家の末っ子で、ドンのリチャード・フォロンジーは、息子を殺したゲイリー・ダニエルズら警官たちに報復を開始した。
次々と仲間が殺され、ついにはゲイリーの友人や自分の妻と子供までもが犠牲となった。1人生き残ったゲイリーは、リチャードらマフィア一家と裏切り者の署長にリベンジすべく、銃を手に取り死出の旅路に出立するのだった…。
例によってまたPMエンターテイメント作品なのだが、本作はアクションの80%をカーアクションで締めている。冒頭から激しいカースタントが炸裂するが、同じ映像を使い回していたりと怪しいところがチラホラ(映像の使いまわしはこの後もちょくちょく登場)。最初の1時間は主なアクションシーンがカーアクションだけなので、見ていてかなり退屈しました。これでは格闘シーン目当ての人もかなり辛いかと思います。
で、その格闘アクションだが、中盤に最初の息子を仕留める場面とクライマックスぐらいしか披露されないので、ボリューム的には期待外れでした。しかし、本作でゲイリーが見せるファイトはスピーディーで見ごたえ十分。マーシャルアーツ映画では、香港映画のような丁々発止のバトルはなかなか見られないのだが、本作に限っては頑張っていたと言えるだろう(だからこそ、本作の格闘シーンがこれだけしか無いというのがすごく残念なのだが)。
ストーリーは復讐されて復讐するだけという薄い内容で、ラストもブツ切りで終幕してしまっている。結局生き残ったのはゲイリーだけという陰惨な物語なので、そっちに関しては特に注目するべきものはないだろう。標的となるマフィア一家の息子たちがそれぞれ格闘技の使い手で、ゲイリーが連中を次々と破っていく…みたいな話だとなお良かったんだけどなぁ。

『仁義なき闘いインL.A./エンジェル・タウン』

2008-06-19 21:30:52 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「仁義なき闘いインL.A./エンジェル・タウン」
原題:ANGEL TOWN
製作:1989年(91年?)

●本作は異境の地に来た異邦人が逆境にもめげず巨悪を倒すという、『キス・オブ・ザ・ドラゴン』『レッド・サン・ライジング』等と同じ感じの映画だ。
主人公のオリビエ・グルナーはフランスから来た留学生。しかし留学先の大学院ではお偉いさんに色眼鏡で見られ、同級生にも偏見に満ちた目で見られるわと散々。大学の近くで下宿先を探したが、こちらも門前払いにされるなどいいとこなしで、仕方なく危ない地区のある家へ暫定的に下宿させてもらえることになった。
ところがこの地区、ギャング共が横行していて治安は下の下な上に、警察もあまり役に立たない最悪の場所だったのだ。下宿先のおばさんの息子はギャングから「仲間になれ」と脅され、それに従おうとするが、オリビエは「立ち向かうべきだ!」と力強く主張し、彼自身もギャングたちと幾度と無く戦いを繰り広げた。
懲りずにちょっかいを出しに現れるギャングどもと何度も激突するオリビエ。しかし下宿先のおばあちゃんが発作で死に、おばさんも重傷を負った。怒りに燃えるオリビエだったが、相手は下宿している家へ火を点けようと群がり始めていた…。
主演のオリビエさんは本ブログ初登場だが、ビデオのジャケ裏にある解説によると、キックボクシングのチャンピオンだという。
確かに劇中で披露する技は近距離での回し蹴りなど、それなりにキレはいい。ただ、本作で彼が一番いい動きをするのは中盤のカンフー道場でのスパーリングくらいで、その他はぼちぼちのレベルに落ち着いてしまっている。できたらこのテンションを全編に渡って保ってもらいたかったのだが…(武術指導はジェフ・イマダ)。
ストーリーは凡庸なもので、やられたやりかえしたの繰り返しで、正直言って面白いものではない。が、終盤でオリビエを筆頭に、自ら行動を起こす下宿先の息子、それまで見ているだけで何も出来なかった車椅子の男、オリビエの友人で当初は事なかれ主義に徹していたカンフー道場の師範といった面々が立ち上がって、結集しギャングたちと決戦を向かえるくだりはちょっと燃えました。
ちなみにこの作品にはマーク・ダカスコスが脇に出演しているそうなんですが、私の見る限りではちょっとよくわかりませんでした…って、ダカスコスいたならもうちょい大きな役でもよかったのでは?(涙

『地獄のアレクサ/殺人捜査網』

2008-06-07 20:47:44 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「地獄のアレクサ/殺人捜査網」
「殺人捜査網/地獄のアレクサ」
原題:C.I.A. CODENAME: ALEXA
製作:1992年

●それにしても最近、マーシャルアーツ映画のレビューでPMエンターテイメントの作品に遭遇する確率が高い気がする。『ファイヤー・パワー』も『ストリート・クライム』もそうだったけど、これからはPMエンターテイメント系の作品を集めてみようと思うが、本作はPMエンターテイメントが製作した女ドラゴン映画ともいうべき作品である。
とある篭城事件が発生。現場は政府のビル内で、すぐさまCIAエージェントのロレンツォ・ラマスが犯人を全員始末した。実はこの犯人一味は、在米大使のアレックス・コード(『ハードブロー』に引き続きまたアンタかよ!)の差し金によるもので、核兵器をコントロール可能なマイクロチップの奪取が目的だったのだ。
結局マイクロチップを奪う事は出来なかったが、犯人の1人がチップを飲み込んでそのまま死亡。アレックスの部下であるキャスリーン・キンモントらが遺体の強奪に向かうが、仲間の先走った行動でキャスリーンは警察に捕まるのだった。
一方、この事件のことが気になっていた刑事のO・J・シンプソンはCIAの関与に気付くが、再び死体奪還に現れたアレックスの部下に仲間を殺されてしまった。CIAへと身柄を引き渡されたキャスリーンは、ラマスから「マイクロチップを奪い返してくれ…君の協力が必要なんだ」と迫られるが…。
ここまでのストーリーを見ていくと、これからキャスリーンがアレックスの元に帰り、緊迫した状況下でマイクロチップの奪還を…という潜入捜査モノっぽい筋書きが予想できるが、キャスリーンは真正面からアレックスの屋敷を襲撃!かつての仲間を大勢に殺害し、マイクロチップを華麗に奪い去っていくのだ…ってオイ!
主演のキャスリーンはラブシーンやガンアクションはもちろんのこと、格闘アクションもこなしたりと中々の活躍ぶりを見せてくれる。特に中盤のCIA内部での格闘シーンや剣の演舞はそれなりにキレが良く、クライマックスの活躍を期待させるものになっているのだが…この作品、クライマックスの格闘アクションなどといった派手な見せ場は全部ラマスとシンプソンが奪っていきます(爆
結局、本来一番活躍しなければならないキャスリーンがまったく目立たないまま話が終わるので、正直初見時はかなり肩透かしを食らった気がしました。また、劇中には大使館で白人と黒人の格闘シーンがあり、勝った方の黒人がこのあと物語に関わっていくのかと思いきや、この格闘シーン自体ストーリーと何の関係も無い場面だったりと、本作はいろんな意味でムラの多い仕上がりとなっていました。
これには続編となる『アレクサ・リターンズ』とかいう作品もあるようですが…う~ん、これは微妙かなぁ(苦笑

『ストリート・クライム』

2008-05-28 21:21:53 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ストリート・クライム」
原題:Street Crimes
製作:1992年

●警察官のマイケル・ワースと相棒のデニス・ファリナ(定年間近)は、あるとき街のチンピラから果し合いを申し込まれ、古惚けたリングの上で雌雄を決した。このことがきっかけで他の警官もチンピラに勝負を挑まれる機会が多くなり、いつしか警官VSチンピラによる格闘イベントのようなものへと発展していった。
これによりチンピラたちに団結心が芽生え始め、なんとなくいい雰囲気になっていく。だが、マイケルの旧友で暗黒街の顔役であるジェームズ・T・モリスは、このイベントによって麻薬の売り上げが落ちている事に渋い顔をしていた。
 非情なジェームズは、マイケルたちのイベントにプロ格闘家を送り込んだりと揺さぶりを仕掛け、ついにはマイケルの友人となっていたチンピラたちのリーダーが殺されてしまった。全てを支配しようとするジェームズはマイケルの動きを抑えるべく、彼の恋人(パトリシア・ゼヘントマイル)を誘拐する。
なんとか彼女を助け出したマイケルは、全ての決着をつけようとジェームズに対決を挑むが…。

 マーシャルアーツ映画で主人公が警察官だと、アンダーカバー(潜入捜査)的な展開になりやすい傾向があります。ちょっと前にレビューした『ファイア・パワー』しかり、傑作の『アンダー・カバー/炎の復讐』しかり…。
そして本作もロス市警の警官が主人公なんですが、今回は他と違ってドラマ部分が強化されています。同僚との確執、マイケルとパトリシアの恋愛模様、娘であるパトリシアの恋路を見つめるデニス、アングラな事件などが本筋に絡んでくるのです。
こうしたドラマ部分の強化に加え、イベントを通じてワルたちと警官が仲良くなっていくユニークさもあり、本作は凡百のポリスアクションとは趣を異にしていました。また、この手の作品だとヒロインが邪魔だったりしますが、そうしたエピソードも本筋に無理なく融合されています。

 こうなると気になるのが格闘描写ですが、カメラワークに難のあった『ハードブロー』(同じマイケルの主演作)に対し、本作では視点を揺らさずアクションをしっかりとキャプチャー。殺陣もなかなか面白く、マイケルの伸びやかな蹴り技は本作でも健在でした。
ただ、立ち回りの感覚が少し間延びしていて、何よりもラスボスのジェームズが格闘映画にありがちな“マッチョなパワーファイターだが動きが遅い”キャラだったのにはガッカリ。とはいえ、全体的な格闘アクションのレベルは悪くなかったと思います。
 なお、本作でマイケルは時おり甲高い怪鳥音を発し、李小龍(ブルース・リー)っぽい仕草をしつつ闘っています。それもそのはず、本作では何とジークンドー指導という肩書きでジェリー・ポティート氏が関わっているのです。
彼は李小龍から実際に指導を受けた截拳道のインストラクターで、あの『ドラゴン/ブルース・リー物語』などにも参加しているようです。でも、本作でジークンドーが有機的に機能していたかと言うと…う~ん(苦笑

『ドルフ・ラングレン ストーム・キャッチャー』

2008-05-24 21:00:49 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ドルフ・ラングレン ストーム・キャッチャー」
原題:STORM CATCHER
製作:1999年

●本作はドルフ・ラングレン主演のゆるーいスカイアクションである。
主人公のドルフは最新鋭ステルス戦闘機"ストーム・キャッチャー"のテストパイロットで、仲間にも上司にも家族にも恵まれた生活を送っており、休暇を家族や友人でステルスのオペレーターであるマイストロ・クラークと共に過ごしていた。ところが、ドルフの仲間である副パイロットがドルフの名を騙って"ストーム・キャッチャー"を強奪。ドルフは一時的に拉致られてステルス機強奪犯の汚名を着せられてしまった。
ところが、護送中のドルフを何者かが襲った。どうにか脱出したドルフはクラークに自分を襲った連中の正体を究明するよう頼むと、家族を避難させようといったん家へと戻った。が、敵はすぐさま襲撃に現れ、妻が傷付いてしまう。数少ない証拠から真実に迫っていくドルフとクラークはアメリカ軍内に潜む暗部へと辿り着くのだが、そこには思わぬ黒幕が待ち構えていた…。
本作はあまりにもお約束なストーリーで成り立っている。
クラークと上官が敵の正体について会話する場面でもう誰が黒幕なのか解ってしまうし(笑)、取ってつけたような国家・軍部批判もあからさまだ。また、そのせいなのか"お約束"以外の部分がスカスカなのである。思わせぶりに登場していたCIAの連中はほとんど意味の無いキャラだったし、逃亡犯になっているはずのドルフが普通に病院や飛行場にポンポン現れたりと、肝心なところでこの作品は詰めが甘いのだ。
特に気になったポイントは2点ある。まず事件の黒幕である組織も千人の構成員がいるというのに、始末されたのは親玉と手下が数人だけ(それほどの規模の組織なら、ボスがいなくなってもある程度やっていけそうな気がする)という点。そしてドルフは結局自分の汚名を晴らしていない(登場する悪党や真実に近付いた人間はほぼ全員死んでいるので、生き証人がいない)点だ。
特に後者に関しては、ラストのオチで台無しにしてしまっているのが気がかりだ。あんな最新鋭のステルス戦闘機なんだから、弁償するとなると幾らになるやら…。
アクションではクライマックスにドルフVS副パイロットのバトルがあるが、そこでドルフはなんと長椅子を武器にするのだ。ジャッキー映画ではよく椅子が武器として使用されるが、本作のような長椅子の使い方は、まずジャッキーにはできまい(苦笑
スカイ・アクションというだけあってステルス戦闘機の出番は沢山あり、こちらもこちらでそれなりに迫力がある。最新技術の結晶ということで、"ストーム・キャッチャー"は様々な機能を披露してくれる…が、最終的に劇中で破壊したのはボロっちい車1台というのは、いささか悲惨ではなかろうか(爆)。私は広大な敵の基地を派手に空爆するのかと思っていたので、これにはかなりガッカリさせられてしまいました。
なお、本作でドルフの声を担当したのは、セガールの声優でお馴染みの大塚明夫氏。なのでドルフがセガールに見えて仕方が無かったが、このほかにビッグネームがもうひとり出演している。それが『勇者王ガオガイガー』の獅子王凱役などで知られる檜山修之だ。彼は本作では敵の一味の1人で、ドルフを監視するため一緒にステルスに乗り込む男の役で出ているのだが、いやぁこれが目立つ目立つ(笑)。洋画だとこういうことがあるから面白いです。

『ハードブロー』

2008-05-13 22:22:44 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ハードブロー」
原題:TO BE THE BEST
製作:1993年

●原題を見ると『ベスト・オブ・ザ・ベスト』のパクリっぽいタイトルだが、確かにそれっぽい内容のマーシャルアーツ映画である。
喧嘩っ早い青年マイケル・ワースは、兄のフィリップ・トロイらと共にキックボクサーのアメリカ代表団として、ラスベガスでトーナメントに参加することとなった。様々な強豪がひしめくこの大会の中で、マイケルたちの前に連続優勝を果たしているタイのチームが立ちはだかる。更に、悪党のアレックス・コードがマイケルの恋人であるブリタニー・パウエルを人質に八百長を要求。数々の思いが交錯する中、マイケルは決戦の舞台に立つが…。
『ベスト・オブ・ザ・ベスト』のようにチームを組ませ、マイケルとブリタニーの恋愛模様、タイのチームとの確執、黒社会からの揺さぶり等々…本作は多くの要素を欲張っているが、結局どれも簡潔に描ききれておらず、全てにおいて中途半端な作品になってしまっている。
まず、作中の舞台となるトーナメントのルールが不明瞭(チームで出場しているが団体戦というワケではないらしく、非常にゴチャゴチャしている)である事、タイのチームを悪役にしたいのかそうでないのか描き方がどっちつかずである事、アレックスの計画にアラが多すぎる事など、欠点を上げればキリが無いのだ。
そのしわ寄せがアクション面にも影響しており、そこそこイイ感じのキッキングバトルを繰り広げてはいるが、カメラワークが単調なのですぐに退屈してしまった。そんな中途半端だらけの本作で一番凄いアクションをしていたのはやはりこの男、スティーブ・ヴィンセント・リーだ。
『ブレード/妖剣伝説』でも見事なアクションを見せていたスティーブだが、本作ではタイのチーム最強の男としてマイケルを翻弄。優しい顔立ちのスティーブが強面な役というのはミスマッチな気もするが、作品に程良くスパイスを効かせている点は評価できるだろう。
だが、事実上のクライマックスであるマイケルVSスティーブのバトルの後もグダグダと戦いが続き、中途半端さを引きずったまま物語は幕を下ろすこととなる。こうも中途半端になるのであれば、ありきたりな内容になるけど、普通に悪の興行主と主人公たちのチームが闘うという話でも良かったと思うのだが…。

『ファイヤー・パワー』

2008-05-05 21:41:06 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ファイヤー・パワー」
原題:FIREPOWER
製作:1993年

●この作品、ビデオのパッケージを見ると近未来ポリスアクションにしか見えないが、チャド・マックィーンとゲイリー・ダニエルズという2大格闘スターを起用した、バリバリのマーシャルアーツ映画である。近未来(と言っても、設定では2006年なので2年前の話になるのだが・笑)のロスは、警察も手出しができない無法地帯・ヘルゾーンから来る犯罪者によって危機に晒されていた。
チャドとゲイリーはロス分署の警官だったが、ある日無法者たちの間でカリスマ的存在感を誇る最強の男、ジェームス・ヘルウィッグが収監されてきた。ジェームスを奪還しようと悪党どもが押し寄せ、チャドたちの警察署はたちまち戦場と化してしまう。
ジェームスを追いかけてヘルゾーンまで来た2人は、そこでデスリングという殺人も許容される格闘ゲームと出会う。彼らは、そのデスリングでジェームスが絶対的な王者として君臨していることと、そこを仕切っている男こそがヘルゾーンの元締めだということを知った。
ジェームスらを一網打尽にしようと潜入捜査を開始した2人だが、彼らの前には次々と強敵が立ちふさがる!
本作は近未来という設定だが、特にこれといってSF的な要素はなく、ストーリー自体も近未来SFにしなくても成り立ってしまう薄い内容である。気合いの入ったカークラッシュシーンなどがあるので低予算なのかどうか判断しかねる作品だが、メインディッシュはやはりアクションシーンにある。
今回はマーシャルアーツ映画によくある"黒社会が牛耳るアンダーワールドのコロシアム"が舞台となるのだが、このコロシアムでは戦いの中盤から武器がそれぞれの選手に支給されるようになっている。その種類も様々で、棍・ヌンチャク・三節棍・カリスティック・日本刀・剣・果ては竹刀と種類も豊富。おかげで劇中繰り広げられる格闘シーンもマンネリに陥らず、一気に見ることができた。
格闘アクションは全体的な出来としてはまあまあ。最大の難点は、ラスボスとなるジェームスがただのデカいマッチョで動きが鈍い点である。この手の作品ではマッチョなキャラがラスボスとして立ちはだかることが多いが、怪力系のキャラも撮り方を間違えるとただの木偶の坊となってしまう場合があるのだ。
本作もその例に漏れず、ラストバトルのチャドVSジェームスのバトルはハッキリ言ってショボいの一言に尽きる。この直前にゲイリーがジェームスに殺されて退場してしまうため、折角のラストバトルがヒートダウンしてしまうという、本末転倒な結果を生んでしまったのは皮肉である。
ストーリーに関しても疑問符は多く、ドラマ部分の担当がチャドにばかり集中しているのでゲイリーの見せ場はアクションのみとなっている。ここは家族とのドラマ部分をそのままチャドに、敵ボスの女との話をゲイリーに担当させればスッキリしたと思うのだが…。

『カンフー・ボーイ/最後の騎士』

2008-04-15 21:11:45 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「カンフー・ボーイ/最後の騎士」
原題:Sidekicks/Last Electric Knight
製作:1986年

●『ラッシュ・アワー2』の中盤で、ジャッキーとクリス・タッカーに窓口で話しかけらるや否や、章子怡(チャン・ツィイー)のところまで走っていったナイナイの岡村に似た男を覚えているだろうか。
実は彼はアーニー・レイズJrという人で、いくつかアクション映画に出演しているスター。『ミュータント・ニンジャ・タートルズ2』『ランダウン』など、日本でも彼の出演作を見ることができる。また、子役時代の姿をタイマック主演のブラックスムービー『ラスト・ドラゴン』でも見られるのだが、本作は彼がその『ラスト・ドラゴン』と同時期に主演した作品である。
製作はディズニーで、アメリカではTVドラマとして作られたらしい(詳しくは不明)。物語はアメリカを舞台に異邦人のカンフー少年・アーニー君が、死期が近いと悟った祖父の予見に従い、中年刑事に親となってもらおうとする…という、ちょっぴり切実な話。ここに親権問題や麻薬組織との対決、そして祖父とアーニー君の別れなどが挟まれる。ディズニーらしくまったりとした作品だが、たぶんこれがドラマでは第1話ぐらいのものだと思われる。
さて肝心のアクションだが、子供向け作品のせいか劇中ではたった2回しかアーニー君の見せ場は無い(作品自体も50分弱と短め)。だが、その僅かなシーンで見せる棒術アクションやアクロバティックなファイトは、以前紹介した『クロオビ・キッズ』も霞んでしまうほどの見事なものだ。好小子特集の際に語ることはできなかったが、アメリカ系の好小子としてはまず『クロオビ・キッズ』の面々よりもアーニー君が先んじていたことが解る。
個人的にはドラマとして放送されたバージョンも気になるが、その後のアーニー君は成長するにしたがって様々なアクション映画に出演していく。日本では『マッハ!』の公開に便乗されてリリースされた『ガチンコ!』なる作品があり、彼の日本リリースされた出演作の中では数少ない主演作だ。現在も活躍中のアーニー君だが、その他の日本未公開の出演作もいつかは見てみたいものである。
なお、いくつかのサイトでは本作のタイトルを『カンフー・ボーイ/最後の旗士』としているが、正しくは上記の通りです。

『ビバリーヒルズ・ニンジャ』

2008-04-12 23:28:34 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ビバリーヒルズ・ニンジャ」
原題:Beverly Hills Ninja
中文題:比佛利武士/笑林忍者
製作:1997年

●主人公のクリス・ファーレイは一人前のニンジャになることを夢見るおデブ君。しかしドジばかりで素質はゼロに等しく、ニンジャ学校の試験にも落ちてしまう。そんな時、彼のもとに謎の美女ニコレット・シェリダンが尋ねてきて、彼氏について調べてほしいと頼まれた。クリスはニンジャでもないのにはりきって任務を引き受けるが、偽札をめぐるヤクザの事件に巻き込まれてしまう。
どうしてもニコレットの事を信じたいクリスは、師匠に懇願してニコレットがいるはずのビバリーヒルズへと向かう。師匠はこっそりクリスの兄弟子をバックアップに同行させるが、果たしてクリスは一人前のニンジャになることができるのであろうか?
主演のクリス・ファーレィは『コーンヘッズ』や『トミーボーイ』などでおなじみのコメディ俳優だが、この同年にコカイン中毒で帰らぬ人となってしまっている。コメディとしてはヌルい本作だが、この作品を取り上げたのには理由がある。というのも、本作にはクリスの兄弟子役で仇雲波(ロビン・ショウ…別名は「威龍」)が出演しているのだ。
仇雲波はいずれこのカテゴリでも紹介するであろう『モータル・コンバット』での出演が有名だが、香港映画では『タイガー・コネクション』におけるドニーとの死闘、戴徹(ロバート・タイ)と組んだ『戰龍』、皇家師姐シリーズに噛みついた『地下兵工廠』などで印象深い活躍を残している。本作でもクリスのアシストとして貧乏クジを引く事も数多ではあるが(苦笑)、クリスとの友情などの見せ場もあって見逃せない。
アクションに関して言うと、本作はコメディであるため格闘シーンが沢山あるという訳ではなく、ボリューム不足の感は否めない。だが終盤のバトルでは仇雲波もバリバリ動いており、クリスもピンチに陥った仇雲波を助ける場面で、比較的ノンスタントのアクションで頑張っている。
なお、他にも敵役で『チャイナ・オブライエン』のキース・クックも登場している。こちらも仇雲波と同様に活躍を予感させるが、すぐに倒されてしまうので期待はずれもいいとこ。また、劇中に見られる間違った日本像はご愛敬だが、クリスが日本で育ったのに英語が話せたり車が運転できたりするなど、不自然でツメの甘い箇所が散見される。もう少ししっかりした作りならもっと面白くなったと思うのだが…。