指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

アーサー・キット死す

2008年12月29日 | 音楽
アメリカの女性歌手アーサー・キットが26日に死んだことが報じられた。
彼女は、白人ではなくインディアンの血を引いていることは、おぼろげながら憶えいていた。
だが、彼女がいくつかの黒人ミュージカル出て、「最もセクシーな歌手」と言われたこと、さらに人種差別反対運動に大きく関わっていたことは、今回の訃報で初めて知った。

だが、訃報に「ショ、ショ、ショウジョウジ」の『狸囃子』のことが一切書かれていなかった。この曲は、日本では江利チエミが歌ったが、テレビのコマーシャルで、長くマルコメ味噌が使っていたので、憶えている方も多いだろう。
なぜ、今回の訃報にそのことが書いてないかったかと言えば、記事を書いた記者が若い方で、外電をそのまま翻訳し、彼女が日本語で歌った『狸囃子』のことなど知らないからだろう。
だが、日本でアーサー・キットと言えば、なんと言っても『しょうじょう寺の狸囃子』である。
さらに、『ウスク・ダラ』も大ヒットした曲で、これも江利チエミがカバーした。
おそらくアーサー・キットは、外人が日本の歌を歌ってヒットさせた最初の歌手だろう。
この後、西ドイツの女性歌手カテリーナ・バレンテも、日本の曲を上手に歌ってヒットさせた。
もっとも、外国人が日本語の歌を歌ったなら、戦前にバートン・クレインという変な外人がいて、『家に帰りたい』というジャズ・ソングを歌ったが、それはコロンビアのLP『日本のジャズ・ソング』に収録されている。
意外にもかなりヒットしたそうで、なかなかユーモアのある内容と歌い方である。


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