猫じじいのブログ

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党利党略のため 自衛隊輸送機3機 アフガニスタンへ派遣

2021-08-30 23:00:47 | 戦争を考える

日本では、8月16日のタリバンのカブール制圧による首都の混乱ばかりが、大げさに報道されている。20年近く、アメリカ軍と援助物資で守られていた砂上の楼閣、カブールの日常が、その日に崩壊しただけで、これから、アフガニスタン人によって、もう一度、国が再建されることだろう。

アフガニスタンは何度もイギリスの侵略をうけ、そのたびに、独立を勝ちとった国である。共和国時代もあり、社会主義国時代もあり、ソビエト侵攻を跳ね返しこともある。

国際社会の総意なんてあるはずがない。タリバン非難の合唱は、単に超大国の一部の人たちがメディアを操っているだけである。ジョー・バイデン米大統領は、正しくも、アフガニスタンの将来をアフガニスタン人に託しただけである。

きょう、朝、国際政治学の高橋和夫がテレビにでてきたが、これからは、彼の指摘するように、タリバン対アメリカではなく、IS対タリバンと国際政治という見方をしていかざるをえないだろう。アメリカは、アフガニスタンから撤退したが、タリバンとの外交をもちつづけ、ISとタリバンとの対立を利用し、ISの抑え込みのためにタリバンを利用していくだろうと、高橋はみる。

指摘されてみると、これまで、アメリカは、ISとタリバンとの戦闘で、タリバンを助けるために、ISを爆撃しており、また、タリバンはアメリカやNATO諸国の撤退が無事に完了するよう、ISから守っている。ただ、アメリカが育てた傀儡政権を効率的でないと見捨てただけで、その点で、バイデンはトランプの外交路線を継承している。

きょうの報道では、日本以外は撤退を完了している。この日本だけが完了していないと、政府がしているこをうさん臭く感じる。

首都カブールにある日本大使館は、8月15日に閉館され、大使館員12人は17日に英国軍機でアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに退避した。

ところが、8月23日になって、突然、自衛隊輸送機を3機カブール空港に送ることになった。国家安全保障会議(NSC)を開いて、現地に残留する「日本人ら」退避させるために、C-130輸送機2機と、C-2輸送機1機の計3機を送ることを決め、その日の夕方に、C-2型機1機を飛び立たせ、ついで、翌日に残りの2機を飛び立たせた。どさくさに、武器を身につけて、自衛隊員が飛び立ったのである。

国家安全保障会議とは、なんであるのか。閣僚のうちの9大臣から構成され、別にアフガニスタン情勢の専門家が参加しているわけでない。つぎの9名である。

  • 菅義偉(内閣総理大臣)
  • 麻生太郎(副総理兼財務大臣)
  • 武田良太(総務大臣)
  • 茂木敏充(外務大臣)
  • 岸信夫(防衛大臣)、安倍晋三の弟
  • 梶山弘志(経済産業大臣)
  • 赤羽一嘉(国土交通大臣)
  • 加藤勝信(内閣官房長官)
  • 棚橋泰文(国家公安委員会委員長)

ひとり公明党がいるが、あとは自民党政治家の一部だけが集まって、ほんとうに、どさくさに紛れて、自衛輸送機の首都カブール空港への派遣を決めたのである。自衛隊内の議論、外務省内の議論がなく、派遣をきめたのである。また、アメリカ政府から派遣の要請があったと思えない。誰がアフガニスタン情勢を把握していたのだろうか。

各自衛隊輸送機の定員からすると、一度に300人を輸送できる規模である。しかし、本当に、アフガニスタン脱出の意思表示者が、政府関係者のいうように、500人もいたのか。日本大使館員12人が、すべて、8月17日に退避して、どうして、500人のアフガニスタン人が脱出を希望していると、わかるのだろうか。

自民党政治家の8人と公明党政治家1人が自衛隊輸送機を派遣を決めてから、すべての口実が作られたのではないか。本当の目的は武装兵をカブールに送ったという実績ではないか。

じっさいに起きたことは、8月27日に日本人を1人脱出させたこと、その前日、8月26日、アメリカの要請でアフガニスタン人14人を隣国パキスタンに退避させていたことである。アメリカの要請というが、現地で頼まれたのか、外交ルートをとおしてなのか、はっきりしない。すべて、その場しのぎである。

8月28日の新聞記事によれば、

《外務省は現地に残る日本人は「ごく少数」と説明。今回は退避を希望していなかった、としている。》

NGOはアフガニスタンの再建のために、覚悟の上、アフガニスタンの地に降りたのである。かってに自衛隊輸送機の派遣の口実に使われて迷惑に思っているだろう。

じつは、いまから6年前の2015年、安倍晋三は、安保法制案を強行採決し、自衛隊法を改正し、「邦人等の生命と財産を守るため」に、自衛隊を派遣できるようにしたのである。

そのとき、安倍は、朝鮮戦争が起こり、日本人の救出のために、派遣が必要と言いながら、法律では「邦人等」になっている。今回は、その予行演習といえよう。「日本人ら」と言いながら、自衛隊輸送機3機送った結果、日本人を1人、良く分からない経緯のアフガニスタン人を14人脱出させただけである。

アメリカ政府のほうがずっと冷静に国際情勢を分析している。自民党の安倍と菅は、アフガニスタン問題を選挙対策に利用しているだけである。

[補足]

テレビのキャスターやコメンテーターが、これ以上、イスラムに対する偏見を広めるのは、やめて欲しい。聞いていて、とても、心苦しい。



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