猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

汚染水を汚染水と言って何が悪い、農林水産相の「汚染水」発言

2023-09-01 13:08:04 | 原発を考える

農林水産相の野村哲郎がきのう記者団に福島第1原発の「処理水」を「汚染水」と言ったとテレビや新聞のマスメディアが責めている。「汚染水」を「汚染水」とつい本音を言ったからといって、なぜマスメディアは大臣を責めるのか。言論統制ではないか。

「処理水」という言葉は昔はなかった。私の手もとの小学館新解国語辞典にも岩波国語辞典にもない。自民党と経産省の役人が、放射線物質を含む水、汚染水を海洋に放出するために「処理水」という言葉を作っただけである。東芝のALPSに入るのが「汚染水」でALPSから出てくるのを「処理水」と呼ぶと、役人が考案しただけである。

首相の岸田文雄は野村の発言について「遺憾なことであり、全面的に謝罪するとともに撤回することを指示した」と語った。「福島第1原発の汚染水はアンダーコントロールだ」と言って東京五輪を招致した安倍晋三以来の自公民政権の虚構を破ったから「遺憾」なのだ。

放射性物質は不安定な原子核をもつ物質を言う。不安定な原子核は中性子線、ガンマ線、ベター線、アルファ線などの放射線を出して、安定な原子核に転換する。これが原子核の崩壊である。1秒間に1個の原子核が崩壊する原子の個数を1Bq(ベクレル)という。

ALPSからでてくる「処理水」は平均で14万Bq/リットルのトリチウム(3重水素)を含むという。EUの飲料水の規制は100Bq/リットルである。当面は「処理水」を海水で約100倍に薄めて1500Bq/リットルにして、1年に約22兆Bqのトリチウムを海洋に放出するのが東電と日本政府の方針である。

  22兆=22,000,000,000,000

東電のサイトには「当面」という単語がすべてつけられているので、国民の反応如何では、1500Bq/リットルすら、今後守られるかどうかわからない。8月28日は、800倍の海水で薄め、200Bq/リットルにして放出したが、約束していないから、これを 今だけ と思った方が良い。

とにかく、ALPSから出てくるのは、「汚染水」であるのは厳然たる事実である。

原発が生産する放射性物質の原子核は、中性子の数が多いだけで、原子の大きさや化学的性質で他の同位体から選別できない。同位体とは陽子の数が同じ原子核のことである。すなわち、東芝のALPSはもともと無理なことである。たとえば放射性セシウムをとり除くと言って、放射性でないセシウムをも除去しているのである。放射性物質だけを除去するとなると、「拡散」という物理的性質を使うことになるが、それは高価な装置になる。ウラン238を同位体のウランから取り出すときしか、これまで「拡散法」が使われていない。

放射性物質だけを汚染水から除去する装置はもともと科学の原理に反するウソである。

原発事故が起きたとき、科学的に正しい処置は、これ以上放射性物質が漏れ出ないようにし、漏れ出た放射性物質を閉じ込め、人間の生活空間から隔離することである。

いまだに、福島第1原発で放射能汚染水が発生するのは異常である。

汚染水の発生は、地下水が原子炉建屋に流れ込まないようにし、デブリの冷却を循環水型にすれば、防げるのだ。

「処理水」を閉じ込めるタンクが足りないというが、埋設型の大きなタンクに閉じ込めるか、地中深く、砂礫層に圧力を加えて注入すれば、問題が解決する。もちろん、周囲の土地を買収して、いまのタンクを増設してもよい。

これらは私の思い付きでなく、事故直後から技術者や科学者が言っていたことである。

日本政府は、原発の安全性のウソ、安倍晋三の「アンダーコントロール」のウソ、東芝のALPSのウソ、海洋放出が科学的判断だというウソを守るため、事態をこじらせている。

日本政府が人類共有の海洋に汚染水を放出することを、中国人や中国政府が非難することは理に適う。マスメディアは、もう少し、科学的に問題を見ることができないのか、と情けなく思う。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿