猫じじいのブログ

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なぜハンナ・アーレントはイスラエル国の暴走を止められなかったのか

2024-03-07 20:46:37 | 思想

なぜ、イスラエル国はあれほどパレスチナ人を迫害するのか。ガザにしろ、ヨルダン川西岸にしろ、パレスチナ人を高い塀で囲って狭い領域に閉じこめている。ガザでは空爆だけでなく戦車がすみずみまで家を破壊しつくしている。いま、ガザ保健所が発表しているイスラエルの侵攻による死者数は3万800人だが、餓死者数や病死を含めて、パレスチナ人の死者は いずれ10万人を超えるだろう。

ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』を読み続けると、彼女を含めたユダヤ人のもっている欠点が見えてくる。自分あるいは自分たちを優秀だと思い、東ヨーロッパやアフリカやアジアの人々を劣ったものと見くだしている。そして人々を敵か味方に分けて考えるのが政治だと思っている。

これに加え、イスラエル政府はイスラエル国民以外はすべて敵だと考えている。欧米諸国を、潜在的敵だとし、利用すべきで対象であると、イスラエル政府は考えている。

これが、現在までのイスラエル国である。ジェノサイドの罪をおかしている。

アーレントは、『全体主義の起源』の中で、全体的支配の暴力性を暴いているが、全体主義であろうが なかろうが、他の集団を劣った弱い集団と見くだし、自分の集団以外は敵だと考えるようになると、良心の痛みを感じずに他の集団の人々を計画的に殺すようになる。アーレントはこれに気づいていない。

私は、イスラエル国に怒りを感じているが、日本もイスラエルと同様な過ちを行う可能性があると考える。そもそも日本国憲法の人権に関する条文の多くは、「国民は」となっていて、「何人も」となっているのはわずかである。労働力として外国から呼び寄せた外国人の人権を無視している。政治家は良心の痛みを感じずに「国益」という言葉を使う。

アーレントは『全体主義の起源』で、国民国家と階級社会の崩壊が全体主義運動と全体的支配をまねいたとするが、ドイツ史を調べると、「国民国家」というプロイセンの実態は、絶対制君主のもとに、軍人と官僚とブルジョアとが産業・農業労働者(workers)を抑え込んでいたのだ。貴族は軍人や官僚として生き残っていたのだ。国民運動はそれを隠すために機能していた。第1次世界大戦におけるドイツの敗北で、君主は逃亡したが、軍人、官僚、ブルジョアによる支配は、ヴァイマール体制でも生き残ったのである。階級社会は維持されたのだ。アーレントの言う「全体主義運動」とは「国民運動」の後継にすぎない。

いま、阿部謹也の『物語 ドイツの歴史』、メアリー・フルブロックの『ケンブリッジ版世界史 ドイツの歴史』、フリードリヒ・マイネッケの『ドイツの悲劇』を読んで、ドイツの本当の歴史を探っている。

今後、日本人も、誰かが『日本の悲劇』を書く必要がないよう、現在の政治家、官僚、ブルジョアによる支配体制(政官財の支配体制)を覆さないといけない。



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