猫じじいのブログ

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メルケル首相がいう、新型コロナ感染症対策が「人口の60から70%が感染する」こと……

2020-03-19 22:30:20 | 新型コロナウイルス

きょう、3月19日10時50分から、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の発表があった。静かに都市部で感染が蔓延しており、これから爆発的に患者数が増加するとのことだった。国民の80%が感染すると予測されるという。

下記は、この発表の前に書いたもので、ちょっと色褪せしたが、読んでいただきたい。

1週間前の3月12日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が「免疫も療法もない中、ドイツ人口の60から70%が新型コロナウイルスに感染する可能性がある」と語った。

これに対し、一部の報道で、メルケルは物理学出身だから、政治家として言うべきでないことを言ったとの批判があった。「60から70%が感染する」と言ったことへである。

私は、出てくる対策の理由として、政府がどのような予測をしているのか、明確に述べることは良いと思う。

この報道の後、ウイルス学者の岡田晴恵をはじめ、テレビを出てくる多くの感染症研究者や医者が、「流行が収まるには人口の60から70%が感染する必要がある」と言い出すようになった。どうも、これが、感染症の専門家や医療従事者の共通理解らしい。「集団免疫」というらしい。

私は専門家でないので、どうして60から70%なのか、どうして100%でないのか、疑問をもつ。もしかした、普通の風邪のコロナウイルスへの免疫力を持つ人のなかに、新型コロナウイルスに抵抗力を持つ人がいるから、100%でなくても良いのかもしれない。かかっても無症状の人がいるのも、この普通のコロナウイルスへの免疫力のおかげかもしれない。

イギリスのボリス・ジョンソン首相も「人口の60%が新型コロナウイルスに感染する」と言っている。

   ☆    ☆    ☆
メルケル首相は、「ウイルス対策は医療システムに過度の負担を掛けるのではなく、感染を遅らせることに軸足を置くべき」と言っている。日本政府が、「医療崩壊をまねかないように」と言っているのに通じる。

残念ながら、報道では、「分散的な方策で今回の危機に対処する」以外、どのようにしてドイツ政府が「感染を遅らせる」のかが欠けている。

その後の報道はつぎのようである。

「メルケル首相は3月16日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全国に適用する行動制限措置を発表した。大半の商店やバーなどを閉鎖。休暇目的での国内外の旅行の自粛も求めた。」
「食料品店や銀行、薬局、ガソリンスタンド、新聞販売所、レストランなど生活に必要な店舗を除き、大半の商店が閉鎖される。レストランの営業も午後6時まで。宿泊施設は観光目的では利用できない。すでに学校や保育所は大半が閉鎖されている。」
「このほか、人が多く集まる劇場や映画館、博物館、バー、クラブなどが閉鎖されるほか、教会やスポーツ・教育施設などでの会合も禁止される。」
「16日から、国境を接するフランスなど5カ国との間で国境管理を始め、物資の移動や通勤を除き、移動の自由を制限している。」

「行動制限」と言っているが、かなりの制限にみえる。とくに、「教会やスポーツ・教育施設などでの会合も禁止」というが、この「会合」は「集会」の翻訳ミスではないか。小規模なミーティングの禁止は「感染を遅らせる」に不要だと思う。

人口の60から70%を新型コロナウイルスに感染させるには、逆に、無症状や軽症の感染者を増やす必要があるのではないか。老人は知恵があるはずだから、死にいたる危険を政府が明言すれば、自分から「教会やスポーツ・教育施設などでの会合」に参加しないはずである。

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3月18日、立憲民主党の山尾志桜里衆院議員が、自身のツイッターで離党届をだしたことを明らかにした。

山尾は、3月12日の衆院本会議での新型コロナウイルス対策のための特別措置法改正案の採決で、賛成の党方針に従わずに反対した。彼女は「国会の承認を盛り込むべきだ」と主張し、与党と妥協した党執行部を公然と批判した。彼女の処分を執行部が検討していたらしい。

どうも政治家の主流は、新型コロナウイルス対策に、「個人の権利や自由の制限」が必要と考えているようだ。もしかしたらそうかもしれない。しかし、本当にどこまで必要なのか、緊張感をもって、具体的に、おおやけに、議論されるべきである。

立憲民主党執行部にその考えがないとは、私もがっかりする。

   ☆    ☆    ☆
3月18日の朝日新聞に『新型コロナ 緊急事態 宣言は必要か』という見出しで、新型コロナウイルス感染症専門家メンバーの岡部信彦へのインタビューがのっていた。

この特別措置法に基づく「宣言」は単に危機を述べるということではなく、都道県知事や行政機関の長に「個人の権利や自由の制限」をもった対策をとる法的権限を与えるものだ。

そこで、岡部は「新型コロナはそこまでのものではない」と言っている。私も同感である。フランスではエマニュエル・マクロン大統領が軍隊まで主導させて外出を制限しているが、やりすぎだと思う。

岡部は言う。
「医療がある程度保たれていれば、致死率はそんなに高くならい」「日本での致死率は1%前後でおさまるのではないでしょうか」

この「1%」は、インフルエンザの0.1%より十分高いのではないか。

インフルエンザの公式の死亡者数は数百人で、推定される死亡者数はその10倍ほどで、推定される患者数はその1000倍と言われている。インフルエンザの死亡者数が1万人といわれているのは、多いときの推定値である。

収束するまでに日本の人口の60%、8千万人が新型コロナに感染すると、致死率1%で80万人が死ぬことになる。ぜひ、0.1%に下げてほしいものだ。

岡部は言う。

「各地の衛生研究所は一生懸命検査しています。こうした高精度の検査とは別に、スクリーニング的な検査は民間とは別に、スクリーニング的な検査は民間でもっともひろく実施すべきと言ってきました」
「今回はウイルスが早く見つかり、すぐに公開された塩基配列を使ってPCR検査もすみやかにできるようになりました」

1月28日に地方衛生研究所に出したPCR検査の通知では、集団感染の1例目では、シーケンサーで塩基配列を決定し、公開塩基配列と95%の一致で陽性と判断し、2例目から電気泳動のバンドのパタンで陰性か陽性か判断して良いとなっている。

すると、どうしてPCR検査がなかなか行われていないのか。

厚労省と国立感染症研究所の利権かと私は思っていたが、ワクチン開発ではいつもこの利権が表に出るが、これに加え、新型コロナを法定感染症としたため、検査の結果、陽性となった患者の隔離先がないからであるらしい。省令で、隔離先をその症状に応じ、一般病棟、民間宿泊施設、自宅待機とするしかないだろう。

どうも、事実を究めないで、国民の60から70%を新型コロナに感染させようとは、医療として不都合を生じるのではないか。熱がでるのは、別に新型コロナだけではない。早く検査して救える命を救って、感染の流行を収束させるべきではないか。

医学、医療の専門家は事実にもとづいて発言し、政治的な配慮を優先させるべきではない。

[追記]
3月19日、ドイツの感染者数は1万千人弱で、死亡者数は23人である。致死率は0.2%弱となる。
いっぽう、厚労省の発表では、日本では、クルーズ船を除くと、感染者数は924人で、死亡者数は33人で、致死率は3%強である。日本の医療技術がとくに遅れていると思えないから、新型コロナの検査をしないからではないか。日本の感染者数は、報告の10倍の可能性がある。

[追記]
19日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の記者会見は非常に真摯なもので、その説明は科学的で私にとって納得できるものだった。記者質問は深夜の12時になってもまだ続いているが、どの局も放映していない。非常に残念だ。この記者会見の内容を、政治家や役人に尊重してほしい。