80歳まで働くつもりだったが、今年の2月半ばで、体調不良のため、NPOの放デイでの仕事を中断している。
1日だけ休むつもりだったつもりが、寝ているとどっと疲れがでた。立ち上がれなくなった。自力でトイレに行けなくなった。妻が手伝ってくれたが、立ち上がれなかった。オムツをされた。それ以来、NPOの仕事を休んでいる。
これまで、NPOでいろいろな子どもを担当したが、親もいろいろである。
子どもがテレビのアニメを見ることを一切禁じる母親がいた。夕方からの「ドラえもん」も「ちびまる子」も「クレヨンしんちゃん」も見てはだめなのだ。
母親に理由を聞くと、いじめの場面があるからだと言う。ジャイアントは暴力的で、スネ夫はズルくて意地悪だと言う。
私はだからこそ見せた方が良いと思う。人間社会は決して善意に満ちていない。いじめにも遭う。子どもは悪意から身を守ることを学んでいかなければならない。作者の藤子・F・不二雄の子ども時代の実体験が、勉強も運動もだめなのび太を通して、再現されていると思う。
公文の読解問題をいくら解いても人間社会を生きる手ほどきを得られない。
私自身ものび太のように気の弱いタイプで、子どもの親に意見するのが苦手である。時間がかかったが、なんとか通じて、いまは禁じられていない。子どもは二十歳をすぎていた。
残念ながら、作者の藤子・F・不二雄も死んで、テレビのドラえもんがつまらなくなった。脚本家は毒のある人間社会を物語に反映していない。ドラえもんのお腹の袋から出てくる道具に焦点があたって、後は良い子たちの物語になってしまっている。子どもには、弱い人間が生きていくすべを学ぶ手引きが必要である。それをソーシャルスキルと言う。