日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 今回は当ブログとしては異例中の異例ともいうべきビジュアルメインのエントリーです(笑)。

 すでに既報していますけど、来日中の李登輝・前台湾総統がきのう(5月31日)、東京都江東区の松尾芭蕉記念館を訪れました。近くには芭蕉庵の跡地もあり、今回の訪日の主題である「奥の細道」をたどる旅の振り出しには恰好の場所。……かつ拙宅からも遠くないので、取材許可をもらってプレスの一員として働いてきました。

 以下にそのときに撮影した写真の一部を並べておきますが、一見してわかるように私は写真の素人。レタッチとかも普段は美術部隊に任せているので何もしませんから今回は素のまんまです。

 しかも失態をやらかしております。ふだん仕事で私がカメラを使う機会はそう多くはなく、せいぜい展示会とか室内でのインタビューくらいしか出番がありません。そこでカメラも幕張メッセ向きの設定にしてあるのですが、今回は晴れた屋外での撮影でしたから露出オーバーで白っぽい写真ばかり。せっかく得難い機会を捉えたというのに粗末な仕事しかできず申し訳ありません。

 それでも写真は転載厳禁です。念のため。

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 さて、ここが芭蕉記念館の入り口です。こじんまりとしていますけど、静かでゆっくりと展示を観て回れるので私は好きな場所です。もっとも今回、取材陣の立ち入りは歓迎式典が行われる玄関脇の会議室限定。2階から上の展示スペースや小部屋やトイレなどは、万一に備えてSPがしっかりチェックしていた模様。李登輝さんが要人であることを再認識しました。思えば私の人生で歴史に名を残すような人を間近で目にするのはこれが初めて。温家宝1000人+胡錦涛1000人でもはるかに及ばぬ偉人です。わくわく。


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 会議室で場所を確保して待つこと15分ばかりで予定通り李登輝さん来着の報が入り、こちらは一斉に戦闘態勢。江東区長に先導されSPに囲まれた李登輝さんが夫人を伴い、あの独特の笑顔で会議室に入ってきました。おおお。本物だ本物。……なんてことは全く念頭にありませんでした。縦に横にとカメラを構えつつ押し続けるシャッター。絶え間なく閃光を放ち続けるストロボ(ゲルニカ調)。ファンではなく取材者として臨んでいるので感動するよりも狩猟に熱中しているような心持ちでした。

 李登輝夫妻は江東区長さんと並んで記念撮影のあと、お行儀よく席について江東区長さんや芭蕉記念館の人(たぶん)の挨拶と説明を拝聴といった様子。手元に置かれた資料に目を通し、ときどき話し手に向かい顔を上げた瞬間ごとにわれわれ取材陣からはフラッシュの嵐。


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 そのあと今度は李登輝さんがスピーチ。温顔をたたえつつも刹那に走らせる視線の鋭さに、哲人の風貌を帯びつつも百戦錬磨の剛腕政治家である一面を実感することができました。


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 でも李登輝さんといえばやはりこの笑顔。周囲の心を自然にホクホクと温かくするような不思議な魅力の持ち主であることを、間近で接して体感することができました。ちょっとプレてしまったのはSPに小突かれつつ撮影したからです。すみません。


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 芭蕉記念館は小ぶりな庭園を抜けると地味な裏口があって、ここから出ると隅田川の遊歩道。外に出て李登輝さんの笑顔が一段と晴れやかになったようにみえます。思えば中学時代以来の念願だった「奥の細道」をたどる旅が70年近くを経てようやく実現したのです。感無量だったことでしょう。こちらはホクホクさせられっ放し。


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 一方、芭蕉庵跡地のお向かいでは町内会?のオバサンたちがお茶や茶菓子を準備してあり、報道陣にも振る舞ってくれました。芭蕉の句があしらわれた手ぬぐい?は李登輝さんが来日すると聞いて、張り切って急きょ染め上げたものだそうです。記念写真を撮らせてもらったのですが、前列の人の肩にごく自然に手を置いているあたりに普段から親しく近所付き合いをしている温かさを感じます。

 そういえばここは隅田川を渡ったところですから下町です。下れば深川、上れば両国。お相撲さんが歩いているのもたまに見かけることができます。李登輝さんは最後にここに立ち寄ってその情緒にふれ、地元の人たちと交流したあと、いまは稲荷になっている芭蕉庵跡地に立ち寄って当地を後にしました。


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 芭蕉庵跡地に行く前に李登輝さんが立ち寄ったのは松尾芭蕉像のある場所です。一段高く隅田川を見下ろす場所にあります。ここでさっそく自作の俳句を披露。

 深川に 芭蕉を慕ひ来 夏の夢

 台湾からの取材陣に向かってその意味を解説しているようでした(北京語ではなくミン南話なので聴き取れなかったのです)。


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 さっそく芭蕉像を前にコメント、ということになったのですが、ここでちょっとしたトラブル発生。先着していた日本報道陣及び海外通信社の間で代表取材的な段取りで効率的に仕事を進めるべく話がまとまっていたのですが、李登輝さんが来るなりその足元に台湾のテレビクルーが殺到するように割り込んできて各々がマイクをかざして好き勝手にインタビュー。しかもミン南話ですからこちらはチンプンカンプン。ここ日本だぜ?李登輝さんが逆に気を遣って私たちに日本語で要旨を説明する有様でした。

 台湾報道陣については前日もトラブルがあったようで、この日も取材準備中に「連中は好き勝手にやってしまうから日本側取材陣との意思や行動の統一がとれなくて困る」といった日本側関係者の立ち話を耳にしました。やったもん勝ちの香港でもこういう経験をしたことがありません。私は初めて台湾・台湾人に対して反感を抱きました。まあ単に台湾プレスに一瞬サツイを覚えた、てな程度ですけどね(笑)。


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 李登輝さんはノッてくると身振り手振りをどんどん交えていくようです。「自然と融け合った日本文化は世界でも独特で素晴らしい」みたいな話だったのですが、これはいつも話していることなので正直、退屈でした。新聞報道にあるように、靖国神社の話がチラリと出たくらいです。ただし「参拝する」という言葉は聞かれませんでした。


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 ちなみに台湾報道陣が割り込んだために陣形が崩れてこんな情況でした。李登輝さんの左隣に立っているのはSPか秘書。馬英九ではありません(笑)。


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 最後に李登輝さんは江東区長さんから杖を贈られてセレモニーを終えました。杖は旅に出る人にその前途の幸なることを祈って贈られる習わしがあるそうです。李登輝さんも御満悦の様子。最後に微妙なカメラ目線を頂きました(笑)。


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 私も撤収、針路反転帰途に就け、であります。李登輝さんはしばしばこの方角に目をやって色々眺めていましたが、私はこの清洲橋を渡って拙宅へと引き揚げました。

 ちなみにこの芭蕉像はあなどれません。昼間は隅田川に対し斜に構えているのですが、夜になるとライトアップされるばかりか、芭蕉像がクルリと動いて隅田川に正対します。水上バスや屋形船などの往来が頻繁なので観光客へのサービスだそうです。


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 最後になりましたが、李登輝さんの旅程やセレモニーなどの手配で御多忙をきわめるなか、突然の取材申請にも快諾して下さった「日本李登輝友の会」理事・片木裕一様(事務局次長)に心より御礼申し上げます。

 正に得難い素晴らしい機会を頂き本当にありがとうございました。とりあえずブログで速報する形になりましたが、後日、李登輝さんが日程を全て消化した時点で香港などの新聞にも書く予定です。




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