16年世界選手権2位の鹿沼由理恵(35=楽天ソシオビジネス)は、予選を3分34秒892の6位で決勝進出を逃した。

 得意とする後半の粘りがなかった。田中まい(26)とペアを組む鹿沼は2000メートル過ぎから失速し、英国ペアに迫られた。英国ペアはパラリンピック新記録の3分27秒46でゴール。鹿沼は「最後粘りが出せなかったことが悔しい。気持ちで負けていた」と目を赤くした。

 先天性弱視の鹿沼はクロスカントリースキーで10年バンクーバー・パラリンピックに出場し、4種目で入賞した。その後の練習で左肩の靱帯(じんたい)を痛め、競技転向を余儀なくされた。タンデムの存在を知り、自ら日本パラサイクリング連盟に電話して始めた。13年に田中とペアを結成。15年、16年の世界選手権で準優勝するなど世界の舞台で活躍し、リオ大会でのメダルが期待された。

 田中はプロ競輪選手として“二足のわらじ”で挑んだが、本業の競輪で結果が出ず、鹿沼と距離を置いた時期があった。昨年9月、鹿沼が田中へ「リオで一緒に表彰台に上がってくれませんか」とお願いした。田中は5月から競輪を休み、タンデムに専念してきた。レース後、田中は「鹿沼さんの期待に応えられず、すごく悔しいの一言。3000メートルは(メダルを)狙っていたので…」と肩を落とした。

 タンデム個人追い抜きは、前席に健常者(パイロット)、後席に障害者(ストーカー)が乗り、タイムを争う。パイロットがハンドルとブレーキを担当し、ストーカーがパワーを自転車に送る。トラックの反対側からスタートし、相手を追い抜くか、タイムで上回れば勝利する。

鹿沼由理恵メダル獲得ならず「粘りが出せなかった」 

息を合わせて駆ける鹿沼(左)田中組

2016年9月12日   日刊スポーツ