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ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

感謝の思い、全国の球児に 障害者が修繕「エコボール」

2016年06月22日 14時08分47秒 | 障害者の自立

 高校野球が本格化する季節がやってきた。甲子園出場を目指し、グラウンドで汗を流す球児らが感謝の気持ちを込めて使うボールがある。糸が切れていたり、革が破れていたりする硬式球を障害者の人らが直して再利用する「エコボール」。障害者の就労支援にもつながり、この取り組みが全国に広がっている。

 東京都北区の私立桜丘中学・高校のグラウンド。練習の最後に、ボールをきれいに並べる野球部員の姿があった。縦10列、横10列で計100球。すべてのボールがそろったところで、この日の練習が終わった。

 「道具のありがたみを知ってもらいたくて」

 そう話すのは、野球部の中野優監督(26)だ。1人1台タブレット型端末iPadが配布される中高一貫校で、公立校に比べると予算にも恵まれている。新しいデザインのスパイクが出ると、まだ使えるのに、すぐに買い替える部員も少なくない。「どうしたら物を大事にするだろうか」。そこで、思いついたのがエコボールだった。

 今年1月からエコボール50球を使い始めたことをきっかけに、ボールの管理を始めた。以前は練習中になくなっても放っておいたボールをすべて探すのに数十分かかることもある。2年の林知宙(りんちひろ)君(16)は「1球の大切さがわかった。今までは穴があいたら格好悪くて買い替えていたユニホームも、布をあてて長く使っている。物を大事にしようと思えるようになった」。

 エコボールは京都府宇治市のNPO法人「就労ネットうじ みっくすはあつ」が2009年9月に始めた。施設に知り合いがいたプロ野球横浜(現DeNA)の元投手、大門和彦さん(51)のアイデアがきっかけだった。大門さんのつてを使い、東宇治高校野球部から借りた硬式球を、専用の赤い糸でほつれた部分を縫い直す。硬いボールの革に針を通すのが難しく、最初は1球を直すのに1日がかりだったという。

 約1カ月かけて20球を返すと、思わぬ反応が返ってきた。みっくすはあつの管理者小畑治さん(47)は「障害者がボールを修理する姿を見て、今までは道具を雑に扱っていた部員たちの態度が変わったと、当時の監督に感謝された。エコボールで人間力も育てることができると感じた」。

 補修費用は、専門業者に依頼すれば1球200円以上かかるが、エコボールは1球50円。使い方によってそれぞれだが、直すことでボールの寿命は約3倍に延びるという。予算が限られている公立校を中心に広まり、今では153の高校や大学、クラブチームが利用する。甲子園常連校の八戸学院光星高(青森)や、聖光学院高(福島)なども利用している。

 みっくすはあつでは、約10人が1日1~3時間をエコボールに費やす。作業は分担制で、ボールを磨く係、ほつれた部分を切る係、糸で縫う係などがいる。障害の程度や向き不向きで、どの工程を担当するかを決めており、自分の担当分の作業をこなす。工賃は時給169円。他の作業所にも紹介し、15道府県18事業所で行われている。昨年は全事業所で計1万8451球を修繕した。

 埼玉県鴻巣市の障害福祉サービス事業所「夢工房翔裕園」は、13年2月からエコボールを始めた。全国選抜高校野球で優勝経験がある浦和学院高校も、利用する学校の一つ。年3回、約200球を依頼しており、ティーバッティングやマシン打撃用のボールとして再利用している。

 夢工房では、多い時で年間5千球ほど手がける。エコボール以外にも、NPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーションの支援のもと、プロ野球中日の吉見一起投手(31)と協力し、全国から使えなくなったボールを集めて再生し、全国の少年野球チームに寄付する「アゲインボールプロジェクト」を発足させた。施設長の百合川祐司さん(44)は言う。「施設で行う他の生産活動などに比べて、地域社会と関わる機会も増え、利用者にとっても良い。いずれはプロ野球界に広がってくれれば、うれしい」

写真・図版 

慣れた手つきでボールを縫う=埼玉県鴻巣市

2016年6月20日  朝日新聞


障害者用トイレの入り口に段差

2016年06月22日 14時00分25秒 | 障害者の自立

 今春、日田市中城町の市道沿いに完成した公衆トイレ(障害者用併設)と歩道の間に9センチの段差があり、車椅子利用者らに不便な状況が生じている。トイレの整備後も、入り口前の歩道部分の舗装が終わっていないためだ。市によると、トイレ設置と市道工事は担当部署が異なり、計画段階からの連携ができていなかった。応急処置として砂利のスロープで段差解消を図っているが、現状がしばらく続くという。

 トイレを設置したのは市観光課。観光地の豆田町に接する地区にあり、観光客へのもてなし対策として設置した。一方、道路工事は市都市整備課が担当。水道管の埋設工事などを予定しており、歩道は砂利道の状態になっている。
 近くに住む車椅子利用者で脳性まひ患者の江藤博さん(46)はトイレができたことを歓迎。ただ、利便性の悪さに落胆している。「高齢者も歩きにくいと思う。計画段階で福祉担当者などと意見調整する機会があればよかったのに…」と話す。
 市によると、今年4月のトイレ完成後、歩道との間に段差があることに観光課が気付いた。段差への対応を都市整備課に要請。同課は注意を呼び掛ける掲示板を設置したが、舗装は半年後になるという。段差が長期間生じることについて両課は事前に協議していなかった。
 財津俊一都市整備課長は「砂利道で通れるので大丈夫と思っていたが結果的に配慮不足だった。仮舗装を検討したい」としている。
 大分大学福祉健康科学部の広野俊輔講師(障害者福祉論)は「今回のトイレの現状は、バリアフリー新法で求められている基準を満たしていない」と指摘。「市は計画段階から障害者の意見を聞くなどし、公共性の高い建物の利便性を高めてほしい」と話している。

※この記事は、6月20日大分合同新聞夕刊11ページに掲載されています。


高齢者の買い物、住民が支援…介護報酬で優遇

2016年06月22日 13時57分43秒 | 障害者の自立

「地域住民参加」促す

 塩崎恭久厚生労働相は20日、ゴミ出しや買い物など高齢者らの日常生活に関し、地域住民による支援を制度化する方針を明らかにした。支援体制をつくった社会福祉法人などに対し介護報酬の優遇措置を講じるとともに関連法改正を検討する。併せて、障害者らも含めて地域で支え合う必要性を指摘し、介護施設での障害者受け入れを認める意向も表明した。三重県四日市市内の介護施設などを視察後、記者団に語った。

  政府は、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられる「地域包括ケアシステム」の構築を目指し、医療と介護の連携を進めている。しかし、人口減少や独居高齢者の増加などを背景に、ゴミ出しや買い物などの日常生活に不自由する高齢者が増える一方で、介護保険では支援が行き届かないという問題があった。

 四日市市では、地域住民らが社会福祉法人と連携し、高齢者や障害者らの日常生活支援をしている。塩崎氏は「厚労省の考え方と相通ずるものがある」と述べ、制度化して後押しする考えを示した。

 塩崎氏は「高齢者、障害者、子どもといった縦割りの福祉サービスを横断的に提供できるようにすべきではないか」とも述べ、住民主体で地域づくりをする「地域共生社会」を目指す考えを示した。その方策として、現在は例外的に認めている介護施設での障害者受け入れを「共生型サービス」として制度化し、介護保険と障害福祉サービスの報酬をそろえる考えを示した。同省は月内にも検討を始め、2017年度の介護保険法改正や18年度の介護と障害福祉サービスの報酬改定への反映を目指す。

毎日新聞  2016年6月20日


栗原類、発達障害の本発売へ

2016年06月22日 13時53分12秒 | 障害者の自立

 モデルでタレントの栗原類(21)が21日、自身のブログを更新。発達障害だった自分がいかに世の中と向き合ったかを記した『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』(KADOKAWA)を10月13日ごろに発売することを告知した。

 栗原は昨年5月25日にNHK総合『あさイチ』に出演した際に「アメリカに引っ越したばかりだったから言語的な問題もあったんですが、担任の先生が、行動的な場面もおかしいと思ったので診察を受けてはどうですかと親に言って、ADD(注意欠陥障害)であることがわかったんです」と明かしている。

 また放送後に更新したブログでは「僕の行動に関して今まで面白いとバラエティで笑ってくれた方々、僕が発達障害者だと知ったから”笑っちゃいけない”とは思わないでください」と呼びかけ「僕が発達障害者であっても、そうでなくても僕は僕だし 僕の個性が人を笑わせられるほど面白いのであれば それはコメディ俳優を目指している僕にとっては本望です」と心境をつづっていた。

2016年6月21日  朝日新聞


2020年東京オリパラが「AI/IoT×障害=?」の答えとなる理由

2016年06月22日 13時47分10秒 | 障害者の自立

IoT/AIによる「障害者のソーシャル・インクルージョンの実現」を目的に設立された「スマート・インクルージョン研究会」代表の竹村和浩氏による連載第5回。今回は、同研究会発足のきっかけと当プロジェクトの意義について語っていただきます。

2020年東京オリパラが「AI/IoT×障害=?」の答えとなる理由

記事のポイント

  「AI/IoT×障害者とのインクルージョン」を探る本連載第5回では、スマート・インクルージョン研究会代表の竹村和浩さんに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックがAI/IoT、ソーシャルインクルージョンに与えうる意味についてお話いただいています。

●存在が世界を与える
●この子らを世の光に
●ロンドン・オリンピック成功のカギとは?
●東京に障害者視点のスマートシティーを!
●東京オリパラは千載一遇のチャンス

前回までの記事はコチラ

  【第1回】障害があってもなくても誰もが同じ地平で生きていく―インクルーシヴ社会を理解する
http://biblion.jp/articles/DQ7lr

 【第2回】分離からインクルージョンへ! 障害のある子もない子も同じ場で学ぶ教育とは?
http://biblion.jp/articles/tJ5k2

 【第3回】障害を持って生まれた娘が教えてくれた、インクルージョンの大切さ
http://biblion.jp/articles/PFWEl

 【第4回】“子供より先に死ねない親たち”の思い
http://biblion.jp/articles/H9trE

存在が世界を与える

  私には障害(ダウン症)のある娘がいます。
 娘は今年、高校に入学しましたが、障害のある娘を授かってから長い年月を経た今、心から「その通りだ」と実感している言葉があります。それは、ドイツの哲学者・ハイデッガーが残した「存在が世界を与える」という言葉です。

 障害を持つ人たちの中で、とりわけ知的障害を持つ人たちが社会で経済生産性を持つことは非常に難しいことです。計算ができなかったり、判断力が弱かったり、あるいは、読み書きすらできないケースもあります。それぞれに軽重はありますが、ここで重要なのは、「経済生産性だけが、人の価値を決めるものではない」ということです。無論、経済生産性は必要なことですが、「それだけが、世の中の生存の基準であってはならない」のです。

 仏教の中にも、同じような言葉があります。
 「この世の中に存在するもので、不必要なものは何一つない」、という言葉です。
 この考え方も、ハイデッガー同様「どのような存在であっても、それぞれが世の中で果たすべき大切な役割がある」ということを教えてくれています。
 とりわけ、障害をもってこの世に生まれてくる子供たちは、とても大きな役割をもって生まれてきていると、ここにきて、私は強く感じるようになりました。
 どのような役割か? それは、「私たちの社会のあるべき姿を指し示す」、という役割です。

 今、日本も世界も、決してすべてが豊かで充足された社会ではありません。であるから、その厳しい世の中を生きられない人を排除するのではなく、様々な障害を抱えた人たちも暮らしやすい社会を目指すべきだと思うのです。

この子らを世の光に

  1946年、日本で初めての重度精神薄弱(知的障害)児童のための施設「近江学園」を創設し、その運営に一生を捧げた糸賀一雄氏の言葉に、つぎのような言葉があります。
 *注:精神薄弱は差別用語として現在は使われず「知的障害」という言葉が使われています。

 「この子らを世の光に」

 「この子らに」ではなく、「この子らを」世の光に、という言葉は、まさに多くの障害を持つ子を授かった親たちが、そしてそれに関わる人たちが心から実感していることではないかと思います。無論、そう感じていない人もいるでしょう。しかし、少なくとも私自身は「娘が家族の一員としていてくれるだけで、“存在”してくれるだけでありがたい。たとえ、経済的な生産性が弱かったとしても、その存在が、私たち家族を家族足らしめてくれている」と感じています。
 また、知的障害を持つ子供は、その存在自体がその子たちだけでなく、その周りの人たちの心を変える力があり、もっと言えば、「周囲の人たちを救う力」をも持っていると思うのです。

 とはいえ、知的障害者を取り囲む社会の壁は未だ大きく、上記のような障害を持つ子供、人たちの存在価値を皆に理解してもらい、障害者にとって理想の社会を実現するには、まだまだ多くの課題が残されているのが現実です。
 今私は、その課題に取り組み解決するために「スマート・インクルージョン研究会」という団体を立ち上げ活動しているのですが、この活動を開始しようと思った、あるきっかけがありました。それは2012年に開催された「ロンドン・オリンピック」です。

ロンドン・オリンピック成功のカギとは?

  戦後ロンドンでオリンピックが開催されるのは、この大会が2回目でしたが、当初ロンドンっ子たちは「オリンピックよりも、もっと他のことにお金を使うべきだ」、と冷ややかな反応だったといいます。しかし大会が終わってみると、結果的に大成功。そしてその成功の鍵が「パラリンピック(身体障害者の大会)」にあったことは、日本では意外と知られていません。

 ロンドン市はオリンピックよりも、その後に開催されるパラリンピックに大々的なPRをして力を入れると発表し実行しました。その結果、チャリティーやフィランソロピー(企業による社会貢献活動)に関心の高いロンドン市民の心をつかみ、選手村の周囲の商店街は、こぞってバリアフリー化に力を入れたといいます。
 またスーパーマーケットなどでは、すべての商品棚を低く設定し直しました。パラリンピックに参加する車椅子の選手たちが、車椅子に座ったまま野菜などの商品を手に取れるように、というバリアフリーによる合理的配慮を施したのです。

 こうした取り組みを世界中のマスメディアが取り上げ、「ロンドンオリパラは素晴らしい!」と世界に喧伝されました。またテレビCMでもオリパラの選手が多く取り上げられ、スポンサーも、オリンピック選手よりむしろパラリンピックの選手に多くついたそうです。
 このようにロンドンは、まさに障害者の視点に立った合理的配慮によって、オリパラの成功を勝ち取ったといっても過言ではないのです。
2020年が大きな転換点となりえる

2020年が大きな転換点となりえる

 東京に障害者視点のスマートシティーを!

  そしてその翌年の2013年、東京へのオリンピック招致が決定しました。
 東京オリンピック開催が決まったとき、日本の素晴らしいプレゼン(私は英語の企業研修に関わるものとして、そのプレゼンの完成度にも胸をときめかせました)の中で、私が暮らす東京中央区にある晴海地区が、東京オリンピック・パラリンピック選手村の建設予定地であることを初めて知りました。そしてその時、ふと頭に浮かんだのが、先に述べたロンドン・オリンピックの成功でした。日本でもいつかロンドンのような取り組みができないだろうか、と考えていた私は、その時こう思ったのです。

 「東京オリパラ選手村を、“障害者の視点からのスマートシティー”のモデルハウス(ショーケース)にできないだろうか?」

 つまり、「2020年に東京オリパラが終わった後、選手村跡地をIT、ICTの技術で、障害者の視点からのスマート・ハウス、スマート・コミュニティーのモデル地区にしよう」という発想です。

 私はこの構想を実現すべく、その日から精力的に活動を開始し、実際にこのプロジェクトを推進するために、先ごろようやく「スマート・インクルージョン研究会」を発足したのです。
 ちなみに、もともと理系の高校(工業高校)に通っていた私は、テクノロジーも大きな興味の対象でした。また、父が一級建築士であったこともあり、建築にも深い関心がありました(フランク・ロイド・ライトの有機的建築設計が好きでした)。そのため、「スマートシティーを作りたい!」という考えも、私にとってはごく自然な発想だったのです。

スマートインクルージョン研究会 

スマートインクルージョン研究会障害は、本人にあるのではなく社会にこそ存在する。ITの力で障害をスマートに取り除き、障害を持つ人であっても、社会に含まれる(include)社会の実現を目指す、スマート・インクルージョン研究会さんのサイトです。

東京オリパラは千載一遇のチャンス

  今私が推進しているこのプロジェクトには、大きく2つの狙いがあります。それは、

 1.スマート化技術の国内統合が可能になる
 2.インクルージョンという言葉が日本全体に広まる好機となる

 ということです。

 1.の「スマート化技術の国内統合が可能になる」とは、つまり、スマート化(社会の自動化)こそが、世界の次世代成長産業の本命であり、おそらく日本が経済成長するラストチャンスである。しかも、障害者の最大の悩みである、親亡きあとを託せるのは、この社会の自動化の力が大きな助けとなる。という考えです。

 2.の「インクルージョンという言葉が日本全体に広まる好機となる」。これは、障害者の視点からの技術開発が、日本のIoT/AI技術の質の向上に大きく役立つということ。また、東京だけでなく、日本中、世界中が注目するオリパラというイベントの選手村が(障害者の視点からという意味で)「インクルージョン」という言葉を使用してくれれば、一気に、「インクルージョン」という言葉が日本中に広まる契機となる、という考えです。

 1980年に、障害の定義についての大きな転換がなされました。それは「障害は、その人本人にあるのではなく、“障害のある人を受け入れられない社会の仕組み”にある」、というものです。いわゆる、impairment (医療モデル)から、disability(社会モデル)への180度の障害の定義の転換です。
 一昨年日本も批准した、UNCRPD:国連障害者人権条約(United Nations Convention of the Rights of the People with Disabilities.)は、まさにこの考え方に、基づいて作られました。
 ここには、すべての障害のある人たちのインクルーシブ教育へのアクセスが謳われており、“社会の側にある障壁”を如何にして取り除いていくか、その規範が書かれてあるのです。

 社会の側にある障害、障壁をなくし、障害を持つ人々が心から安心して暮せる安全な街・社会。その基盤となるのが「スマート・インクルージョン」であり、それを実現し世界にアピールする千載一遇のチャンスが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックである。そうした確信を持って、私は日々活動しているのです。

2016年6月20日  財経新聞