【リオデジャネイロ=佐々木正明】視覚障害者と健常者が協力してゴールを目指すブラインドサッカーの国際大会が4日、ブラジルのリオデジャネイロで行われ、日本代表は中国代表に1-0で勝利した。日本は、アジア地区のライバルの中国を初めて下すという「歴史的勝利」の快挙を成し遂げた。
リオで1日から行われてきた国際大会の第4戦。日本は2敗1分けで7位決定戦へとまわり、中国と対戦した。前半に日本のエース、川村怜(りょう)選手が1点を決めると、後半の中国の猛攻をチーム全員で防ぎきった。
リオの国際大会 2020東京大会に大きな弾み
試合終了後、チーム全員が歓喜に沸き立ち、現地のブラジル人サポーターからは何度も「ジャポン」コールが起こった。
中国との過去の対戦成績は8敗3分け。これまでことごとく、中国の大きな壁にはねのけられてきており、昨年9月のアジア選手権でも敗戦、今年9月開催のリオデジャネイロ・パラリンピックの出場権を逃すという悔しさを味わった。
今回のリオでの国際大会で日本は第1戦で、中国と同様、リオパラリンピック出場国のイラン代表に対し、初めてゴールを決めるという「歴史的1点」をもぎ取っている
アジア選手権終了後、新たに就任した高田敏志新監督の元で、攻撃的サッカーを目指して始動した新チームは、アジアのライバルに互角以上の戦いを見せ、2020年の東京パラリンピックに向け、大きな弾みがつく結果となった。
高田監督は「中国にはこれまでことごとく痛い目にあってきただけに、今日の試合は7位決定戦だったが、われわれにとっては全てをかけた戦いだった。1対1の局面でも相手に勝ち、リスクを背負ってでも前に出るサッカーの確立を目指している。これまでブラインドサッカーにかかわってきた人たちの思いもわれわれは背負っているので、今日の勝利は本当にうれしい」と話した。
ブラインドサッカーは視覚障害者らが楽しめるよう考案されたスポーツ。フットサルと同じコートを使用し、1チーム5人で対戦する。GKは目が見える人が務め、それ以外の選手は障害の程度による差をなくすため、アイマスクを着用。ボールは転がると「カシャカシャ」という音がし、この音とGKやコート外の味方の指示を頼りにプレーする。パスを極力減らし、ボールを持った選手が足に吸い付くようなドリブルで相手ゴールに迫るのが攻め方の定石となる。
リオデジャネイロで4日、行われたブラインドサッカー国際大会で試合終了後、現地の観客らと記念撮影する日本代表の選手やスタッフら。日本代表は中国代表を初めて下す「歴史的勝利」を成し遂げた
2016.6.5 産経ニュース