気象衛星ひまわり8号の運用開始から1カ月半。これまでよりも鮮明な台風の画像が送られてくるなど、期待以上の活躍を見せてくれているようです。
個人的な実感としては、最近の天気予報ははずれやすくなっているように思うんですよね。確実に雨という予報だったのに実際は晴れていたり、快晴のはずだったのに突然雨が降ってきたり。ゲリラ豪雨や台風の進路予測はまだまだ難しいのかもしれませんが……。
(天気予報はあてにはならぬ。あてになるのはイカの塩辛)
……気象庁の人に怒られるかな。
今週は、皆さんにお知らせがあります。
川崎市に、まったく新しい発想のフリースペースができました。その名もGDP! 早速、GDPの特色と面白さをお伝えしていきたいと思います。
1.GDPってどんなところ?
GDPはNPO法人「療育ねっとわーく川崎」が母体となって運営する、障害当事者向けフリースペースです。GDPは(Grand Design Produce)の略で、自分のライフスタイルを自由にデザインしようよ、という意味になります。
開館は平日の10時~16時。土日祝日はお休みです。
2.利用資格は?
川崎市内在住で障害者手帳をお持ちの方であればどなたでもご利用になれます。年齢や障害の種別は問いません。
3.GDPでは何ができるの?
基本的にはすべて自由。特に決まった作業や仕事はありません。月ごとにイベント(昼食会、映画鑑賞会など)が用意されていますが、強制参加ではないので、自分の好きな日に好きな時間だけ利用することができます。
落ち着いた空間で読書をするのもよし、メンバー同士でわいわい盛り上がるのもよし。徹底した当事者主義が貫かれているところがGDPの大きな特色です。
なお、各種イベントへの参加には正式なメンバー登録が必要となります。
4.イベントの種類
- 昼食会 : 基本的に週1回。メンバーでメニューを話し合い、実際に調理をして食べます。材料費は自己負担です。
- 映画鑑賞会 : 月2回程度。室内にあるテレビでDVDを上映します。観る映画はメンバー同士の話し合いで決めます。
- しゃべりBAR : 週1回程度。メンバーと支援員がお互いの垣根を越え、ざっくばらんに本音をぶつけ合う(しゃべり場)です。BARとありますが、お酒は出ません。
この他にもぶどう狩りやパソコン教室、行政への陳情など、活動のバリエーションはさまざまです。メンバーの話し合いによって、これからもイベントは増やしていく方向、とのことです。
5.登録までの流れ
メンバー登録までの流れは以下の通りです。
面接 → 見学利用 → 正式登録
初回訪問時は担当支援員との面接を行い、障害や生活履歴などを伝えます。その際にGDPで何をやりたいかということについても詳しく話し合うことになります。
面接後、これからもGDPに参加したいと感じたら、次のステップ(見学利用)に進みます。他のメンバーに混じってGDPの雰囲気を体感するのが見学利用の目的です。
数回の見学利用を終え、本格的にGDPを利用したいと思ったら、いよいよ正式登録というかたちになります。登録に費用はかかりません。GDPの利用についても、昼食会の材料費以外は原則として無料です。
正式登録をせず、見学利用のかたちのまま訪問をつづけることも可能です。各種定期イベントへの参加資格の有無以外に、正式メンバーと見学利用者との差はありません。
大ざっぱな説明でしたが、GDPの雰囲気はおわかりいただけたでしょうか。僕はまだメンバーになって2カ月あまりなのですが、GDPに行くと同じような境遇の先輩方とゆっくりお話しできるので、とてもリラックスした気分になります。
GDPが何よりも大切にしているのは(当事者主権)という考え方です。誰かから押しつけられたプログラムではなく。自分のライフスタイルは自分で決める。だからこそ、GDPはすべてが自由なのです。いつ行くかも自由なら、いつ帰るかも自由。何時から何時までは必ずいなければいけない、ということもありません。
GDPについての説明でもうひとつ抜かしてはいけないのが、(相互扶助)というキーワードです。
自分の人生は自分で決めるといっても、何の拠り所もなければ不安ですよね。GDPには、自立生活の先輩がたくさんいます。自立にむけた具体的なプロセスも、わかりやすいかたちにして整理してくれることでしょう。あるいは、日常生活のヒントが見つかるかもしれません。
たくさんの情報と知識を得て、自分は確かに社会とつながっているんだと自信を持てる状態を(エンパワーメント)と言います。そして、エンパワーメントされた個人が今度はまた別の障害当事者の支えとなって働いていく。そのサポートをするのがGDPの役割です。
セカンドプレイス、という考え方があります。自宅で家族と接しているだけでは、人間関係が閉鎖的になりがちです。そうではなくて、自宅以外に心の拠り所となる場所(セカンドプレイス)をつくり、人生をより豊かなものにしよう。それが基本となる趣旨です。
残念なことに、障害者は長らく、セカンドプレイスをつくりづらい環境に置かれていました。両親の前では子ども、教師の前では生徒、ヘルパーの前では被介護者。固定的な関係だけでは、どうしても息が詰まってしまいます。
人生を楽しんでいる人は、居場所をたくさん持っています。サラリーマンのお父さんにとっては仕事帰りの居酒屋かもしれない。若いOLさんにとってはオシャレなバーかもしれない。その場所にいると自然に心が軽くなって、明日からまた頑張れる。心の居場所の大切さに、健常者も障害者も関係ありません。
GDPは、誰にでも開かれたセカンドプレイスです。ためらうことなく、一歩踏み入れてみてください。
皆さんの訪問を、いつでもお待ちしています。
2015年8月17日 立石芳樹 (たていし・よしき)