いつもの美容院へ行った。
まだ学校を出たばかりのオニイチャンが、洗髪をしてくれた。
席に移る前に、お手洗いは大丈夫ですか、と訊かれた。
「ええ、大丈夫」
カットとパーマはベテラン美容師が担当してくれたあと
さっきのオニイチャンが洗髪をしてくれた。そしてまた
「お手洗い大丈夫ですか」と訊かれた。
「せっかくだから、行っておこうかしら」
トイレを借りた。
それからカラ―のあと、再度シャンプーである。
そして、またまた、お手洗いは大丈夫ですか、ときた。
ははん、きっと彼には私くらいの齢の祖母がいるのだ、と察して、
「おばあちゃんはおいくつ?」と訊いてみた。
「63歳です」という。
「えっ、そうなんだ」
ちょっとショックである。ことわっておくが、ノンバアチャンは80歳である。
「じゃあ、ヒイおばあちゃんは?」
彼はちょっと思案したあと、たしか、80何歳かでしたという。
そうかあ、わたしはヒイおばあちゃんなんだ、とあらためて納得した。
年寄りだ、年寄りだと口で言うわりには実際の自覚が足りなかった。
なるほど、ヒイばあちゃんなら、トイレの心配はしてくれて当たり前なのだ。
ありがとう。