風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

美容院 ヒイばあちゃん

2018-07-25 20:53:33 | 歳月

                                 

 

 いつもの美容院へ行った。

まだ学校を出たばかりのオニイチャンが、洗髪をしてくれた。

席に移る前に、お手洗いは大丈夫ですか、と訊かれた。

「ええ、大丈夫」

カットとパーマはベテラン美容師が担当してくれたあと

さっきのオニイチャンが洗髪をしてくれた。そしてまた

「お手洗い大丈夫ですか」と訊かれた。

「せっかくだから、行っておこうかしら」

 トイレを借りた。

 それからカラ―のあと、再度シャンプーである。

そして、またまた、お手洗いは大丈夫ですか、ときた。

ははん、きっと彼には私くらいの齢の祖母がいるのだ、と察して、

「おばあちゃんはおいくつ?」と訊いてみた。

「63歳です」という。

「えっ、そうなんだ」

ちょっとショックである。ことわっておくが、ノンバアチャンは80歳である。

「じゃあ、ヒイおばあちゃんは?」

 彼はちょっと思案したあと、たしか、80何歳かでしたという。

 そうかあ、わたしはヒイおばあちゃんなんだ、とあらためて納得した。

年寄りだ、年寄りだと口で言うわりには実際の自覚が足りなかった。

なるほど、ヒイばあちゃんなら、トイレの心配はしてくれて当たり前なのだ。

   ありがとう。


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