風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

水害

2018-07-07 11:12:42 | 昭和つれづれ

     河口近くに住むので、昨日の大雨を心配する電話やメールが届いた。

    なんと2年もご無沙汰の弟から電話があった。

  べつに喧嘩をしているわけではない。無口で無愛想なだけである。  

    ああ、よかった、川が近いから心配したよ、じゃあね、

     とそれだけのそっけない短い電話だったが、嬉しかった。 

       

   「水害」

 昭和22年の東京大水害に小学三年生で遭遇している。

いまのように事前の情報は得られないので、道路が冠水し始めてからの下校である。

家族の迎えなどもなく、足首まで流れる水の中を歩いて帰った。

キャサリン台風による荒川堤防の決壊である。

母に連れられ取るものも取りあえず埼玉の伯母の家に避難した。

水はその後、家の中まで浸水し、父は畳を上げて屋根に上がったとは後で聞く話である。

役所にはボートで通ったというのはほんとかどうか。

親子というのは聞いとけばよかった話というのも聞かずに生涯がすんでしまうものである。

確かなのは、水に浸かったところまで線を引いたように変色したままの箪笥や食器棚を

次の引っ越し先でも使っていたことである。

物のない時代に買い替えることなど不可能で、洗って干して使い続けたのである。

コメント
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