風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

ピロリ菌

2010-06-22 22:12:51 | 健康
 正確には、ヘリコバクター・ピロリ菌という。
ピロリ、と聞けばどこか愛嬌もあるが、ヘリコバクターとは、なんとおどろおどろしい名前ではないか。

 胃炎、潰瘍、胃癌の犯人説がある。

 三年ほど前、風子ばあさんは、胃痛、食欲不振でげっそり痩せた。
ひそかに胃癌を疑った。
 医者ぎらいで、常々、いつ死んでもいい、などと言っているが、その場になれば大いに慌てる小心者である。

 厭々医者へ行き、胃カメラを飲んだ。
糜爛はたいしたことはないが、ピロリの退治をしましょうということになった。

 抗生物質を一週間飲むだけだから、治療といってもたいしたことではなかった。
はじめにいろいろ注意があって、めったにないことですが、これでもピロリが退治できないことがあります、と言われた。
 その確率は十パーセントと聞いて、それなら、まずは大丈夫、よもや、十パーセントには入るまいと楽観していた。

 一週間後、みごとに予想は外れて、十パーセントのくじに当たってしまった。
いい籤に当たることはないのに、こんなときだけと恨めしかったが、乗りかかった舟、もう一週間、別の抗生剤で試した。

 今度はうまくいった。

 一年後、医者は、定期健診で胃カメラの検査をしましょうと言った。
えっ? ピロリをやっつけたら、胃癌にならないとおっしゃったでしょう、と言ったら、ならないわけではない、なりにくいんです。
 念のためですという。

 しかし、ばあさん、すこぶる調子がいいのに、胃カメラなどごめんこうむりたい。
すると、では、心電図と肺のレントゲンだけでも……と言われた。
 考えておきます、と言って以来、逃げるにしかずで、風子ばあさん、この医院への足は遠のいている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする