風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

露出狂

2010-06-07 16:15:54 | 時事
 七十も過ぎれば、若いころは話さなかったことも、たいがいのことは喋れる。

 私が男のジッパーの中の物を初めて見たのは、通学途中の路上だった。
すれ違いざまに卑猥な笑いを浮かべながら見せられて、仰天した。

 いまなら、すぐさま携帯電話で通報され、まだそのあたりを歩いているところを、露出猥褻罪とかなんとかで、逮捕、収監されるところだろう。

 あのころの少女は、ただ、ぎゃっと叫んで逃げ、一目散に家を目指して走ったが、ことの顛末は親にも告げなかった。
 それを報告すること事体が、すでにエッチな感じがして、話題にすら出来ないのである。
おそらく、私だけではなかったろうと思う。

 満員電車の中で、あきらかに息を荒らげて体を押し付けてくる輩など、珍しくもなかった。
親には言わないが、朝の女性社員の更衣室などで、話題になることはあった。

 私も、私も……、と濃厚な接触を話題にされると、それほど密着されなかった人間が、あまり魅力的でなく、触られた方が手柄のように、得意になるものもいた。

 もう、この齢だから言わせてもらうが、あれはそれなりの性教育になっていたなどと言ったら、女性の人権団体とか、教育機関などから、さぞかしお叱りを受けることになるのだろう。
 
 すみません。ばあさんの寝言です。

 しかし、いまのように、尻を触ったくらいで、すぐに痴漢と騒がれ、新聞に名前が出て、職を失うというようなのはどうだろうか。

 男たるもの、あらぬ疑いをかけられることを恐れるあまり、必要以上に緊張を強いられ、行儀よく振る舞う。
 これって、結婚しない男が増えた現実と結びつけるのは無理があるかしら。

 あるいは、イライラしたからと、群衆の中に車を暴走させたり、パチンコ屋でガソリンを撒いて多数の死者を出したりなどという事件など関係ないのかしらん。老婆のたわごとです。