7月もはや上旬を過ぎようとしています。
先週ですが4日(水)~6日(金)まで、高校1年からの友人が窯元をやっている「季風窯」という陶芸の窯焚きの応援に行ってきました。私にとっては、全く初の体験でした。
窯焚きの話しは3年ほど前、窯元の友人の退職慰労会を旭川でやった時に、まぁ冗談半分だったと思いますが、一度やってみないか?と言われていたので、何時でもいいぞと答えていました。
ただ、それから一度も誘いは来ていませんでしたが。慣れた関係者で、人手が足りていたということのようです。
※「季風窯」について概略を紹介します。
私の40数年来の友人、大久保窯元ですが、就職、結婚して札幌市内に居を構えた時には、すでに陶芸を始めていたようです。家の中にかなり大き目の「壷らしきもの」が幾つも飾ってあったように記憶しています。
20数年前に、北広島市内に自前の窯を持ったと聞きました。(道都大学第1キャンパス前から5分ほど、札幌北広島ゴルフ倶楽部【北広島温泉・ホテルクラッセ】の裏手)
その時は大型のガス窯で窯の名を「季風窯」としていました。そして約10年前に既存の建物を拡張して、現在の「穴窯」を設けています。なお、下記の「Yahoo百科事典」の解説のように、一般的に「穴窯」は斜面のある土地を利用して設けるようですが、季風窯は平地に作られています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
「穴窯」とは![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
この窯焚きの作業では、通常火入れから窯焚き終了まで24時間通して1週間ほどかけるそうです。今回の火入れは6月30日(土)で、終了が7月8日(日)の午前1時過ぎとのことなので、日数として9日間かけているようです。
この窯元のスタイルは、釉薬(うわぐすり)を使わず、粘土の中の金属類を解け出させたり、窯の中に置いた作品に薪の灰が当たって解けて付着したりする、自然な風合いの仕上がりを意図した作風です。窯の中でそのような「化学反応」を起こさせるために、窯の温度は最高で1300度!!くらいまで上げる必要があるそうです。
そのために延々と薪を燃やし続けるんですね。24時間体制なので、窯焚きは相当の人数の関係者(主に窯元の生徒さん)が交代でやらないと出来ません。今回は、実人数7人ほどで終わらせたようです。私はその内で4日~6時間、5日~7時間、6日(金)2時間で計15時間ほど従事しました。ただ、一番きついと思われたのは窯元で、毎日午後11時前から翌日の午後2時位まで、10数時間窯と付き合っているのですから・・・
これだけの時間をかける窯焚きなので、窯の温度を下げて窯出しが出来るまで、約1週間かかるそうです。ということは、7月16日か17日辺りになるようです。
その「季風窯」の建物です。私にとっても初の訪問です。窯名のプレートが掛けてある壁の裏側に、以前に使っていたガス窯がまだありました。屋根の上に見えている煙突はその排気用です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/07/55ac8ed9b4fd57d260c42103ea03f7f7.jpg)
現在の窯で使う薪(割る前のもの)の山積み、これで一部分です。長年付き合いのある森林組合から購入しているそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/91/394f9da03be1528c928070a145c75f47.jpg)
こちらは、窯場の裏手側で排気のための煙突です。高さは3m半ば位かなと思います。建物の造作は、元JR社員の技術部門で働いていた生徒さんがやってくれたそうです。堂々たる雰囲気です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/7c/8f337569dc44cf6f8b81267373b190b4.jpg)
窯の建屋の横を流れている沢です。水量は多くはありませんが、疲れた身体を癒すのにいい雰囲気です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/46/bef37d393ac0ae63c7a159878556bd40.jpg)
さて、その窯の本体の前側から見た左側面です。一番奥の高さが私の目線より高いのでおそらく1m70cmを超えるくらいかと見えました。
そして左側窓の壁に沿って沢山積んであるのが、今回使う薪(細いもの)です。これは4日の午前ですが、6日の朝にはほとんど無くなっていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/f1/1040928a727378d07f3915c101e5cc69.jpg)
こちらは窯の右の側面です。手前の角に立てかけてある太めの薪は、先ほどの細身の薪を投入して直ぐに1本併せて投入するものです。(今回の樹種はカラマツとのこと。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/f2/ea4989525673235649b150703aabbb42.jpg)
窯の温度管理は、左側面の上部にセンサーを入れてあり、その温度がこの表示器に出ます。4日の午前10時過ぎで「1,090度」でした。7分の投入間隔はこのタイマーを使っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/a4/c826b6d8f786f1e9aa80103719c8a865.jpg)
さて、ここからが私の窯焚きの様子です。(4日午前)
初めは、窯元がやり方を何回かやって見せてくれて、その後、見よう見まねでやってみました。窯の投入口の蓋を開けると、熱風が吹き出してきます。
窯元から事前に、着る物は化繊類は厳禁と言われていた(確かに、直ぐに引火し易い!!)ので、上は薄手のデニム地の長袖、下はジーンズです。靴もゴム長靴を用意してましたが、履いていった革のシューズがオッケーでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/df/d952a04ee724f371b70d9deefa385d5a.jpg)
細身の薪を両手で一掴み(数本程度?)して、まず一気に投入します。出来るだけ窯の奥に入れないと、投入口で燃え上がってマズいことになります。
これが、コツというか慣れるのに顔が熱くて難儀しましたぁ!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/30/a163879ffb4c3bd27ff7c29924f4aadb.jpg)
そして太目の薪を1本投入しますが、初めの内は中々奥まで入りきらないので・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/b3/b7c39f9a9945590028874c4e7aaf1887.jpg)
この長~い火かき棒で押し込んでやります。
窯の蓋を閉じてタイマーをオンして、1セットが終わりました。この間1ないし2分までかからないのですが、一気に汗が噴き出して来ます。ほとんど1セット毎に水とか麦茶などを飲んで水分補給をしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/cf/5ff781f6c1ac0b09aa100ef09e39dc89.jpg)
こんな風にして、3日間が過ぎました。7月5日(木)の午後1時半位に、窯元が「後を頼むとね。」いって自宅に帰ってから、午後6時半位まで約5時間ほど一人で「窯」に向き合っていましたが・・・タイマーの残り時間を見ながら、温度表示の下がりと上がりをチェック、更に薪を手元に運ん置くなどしていると、時間は直ぐに経過してしまいました。
なかなか出来ない体験をさせてもらって、達成感はありました。(4日の初日、一人の時に温度が50度ほど下がってしまった時は、熱いところで一瞬、冷や汗が出たように思いましたが。)
次の2つの作品は、以前に窯元がここで焼いたものです。
※「大壷」(高48cm 径45cm)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/71/a19ac9688fc5213cacaa07563defa6a2.jpg)
※「花入」(高30cm 径11cm)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/3f/90fc28a8c221a6870cbd6a11bf57434f.jpg)
今回はどんな作品が出来上がるのかと思うとなかなか楽しみです。
手伝いに行く前は全く考えていなかったのですが、都合が付けば窯出しの様子も拝見させて(手伝いかも?)もらうべく、連絡をくれる様に話してあります。
【追記】
窯焚きを一人でやっている時に、熱風に曝されたせいか、ふとこんな事を思い浮べました。
火葬場の釜の温度ってのは、こんなに熱いものなのかな??それで一寸調べてみたら、800度以上1000度未満くらいの温度らしいです。う~ん、熱い熱い温度ではありますが、ご遺体は温度を感じないだろう??から、どんなものでしょう。
こんなように思いが出て来るというのは、やはり年齢的なものかも・・・しれません。