こんばんは。
今、私は札幌に向かうバスの中にいます。
何十年か振りで漫画家残酷物語を読みました。
残念ながら私の蔵書の不備で文庫版全四巻の内、三巻のみしかありませんでした。
サンコミックス版全三巻の内二巻しか、これまたありませんでした。
お許し下さい。
それでも充分に作品世界は理解できると思います。
正直、私自身も全作品が好きという訳ではありません。
今でも理解出来ない作品があります。
でも、この時代にこうした作品を表現したというのは凄い事です。
実は去年オリジナルの大きさで新装版全三巻が発行されました。
私はスルーしました。
私にとっては遠い日々の思い出だなと思ったからです。
それに、この作品の初出誌貸本の東京トップ社の刑事(でか)を持っているからです。
ほぼリアルタイムに作品に遭遇しています。
新装版の帯には漫画界の太宰治とありました。
実際に私もこの作品を縁に太宰治に関心を示しました。
作品の中に太宰治の引用が具体的にあり、作品自体も太宰治や他の文学作品の影響がうかがい知れます。
引用は人間失格です。
太宰治の代表作のひとつで主人公が漫画家です。
この作品も今の今まで忘れていました。
近年、この人間失格は文庫版で新装で発行されました。
それは、こうした地味な作品にもかかわらず若者を中心に異例のヒットをしました。
その表紙のイラストを書いたのが、バクマンの作者でもあるところの、
小畑 健です。
戦後間もない頃に発表されたおよそ難解で古臭いイメージの小説の表紙を飾るのには斬新過ぎるかもしれません。
しかし、作者も編集者も時代を越えて人の悩みには変わらぬものがあると感じたからでの装丁にしたのでしょう。
バクマンも遥か時代の彼方を意識して語られているのでしょう。
そしてその中間地点にある、漫画家残酷物語もその時代の道標として生まれるべくして生まれたのでしょう。
もうすぐバスは札幌駅に着きます。