机の上

我、机の上に散らかった日々雑多な趣味(イラスト・劇画・CG・模型・HP・生活)の更新記録です。

トレンチコートの女

2018-07-11 18:19:00 | 日々是茶飲み話
 今年の夏は異常に寒い。今日も長袖のシャツにこれまた長袖のフリースを着ている。
先月は末日まで自室にて小型のストーブを焚いていた。気温は今月に入っても上がる事はない。

 職場が変わったせいか、体調もすぐれずに気持ちも落ち着かない。
新しい情報を頭の中に、入れなければならないのは気骨が折れる。
ネームも作画も途中でほおリ投げて、暗礁に乗り上げている。
何を途方に暮れていると自分に言い聞かせるが、今は新しい職場の環境に慣れる事が先だとばかりに全てを投げ出している。

 仕方がないので、たまった絵の整理をすることにした。
昔に描いたものを眺めていると時間を忘れる。
よくこんな下手な絵を描いていたものだとばかりにエイッとゴミ箱にいれる。

 下の絵はその中の一枚。
多分ファッション雑誌か何かを見て描いたのだろうが、わきの表記を見ると1985年3月とある。
粗めの水彩画用の画用紙に鉛筆で描かれていて、この時期は他にも鉛筆で裸婦のポーズ集を沢山描いている。

 デッサン練習用の美術写真集を参考に描いているのだが、今見ると下手なので一緒に捨てようと思ったがよく見るとどこか懐かしい。




 忘れてしまっているが、当時仕事で現場に来ていた女史を模して描いたのかもしれない。
彼女は黒いトレンチコート風のものを身にまとってこの絵のように颯爽と現れた。

 親は教育者で上品な家庭に育った長身の美人だった。
当時携わっていた仕事の依頼主の助手及び弟子との紹介を受けた。
現場では終始かいがいしく皆のためにお茶を入れたりして動き回っていた。
 
 依頼主は美術家(画家)で市の要請で公共施設の壁画の制作に携わっていた。
我々は孫請けの立場で働いていたわけで当然彼女とは距離があった。
 
 それでも時間がたつと世間話をする間柄になり、彼女の個展にも足を運ぶようになったし依頼主の個展の手伝いで一緒になることもあった。

 どこか天然で浮世離れしていて三か国語をあやつるとサラッと言っていた。
旅行好きらしく外国から絵葉書をもらったことがある。

 そういう事からか、彼女はやがて遠いスペインに嫁ぎ、その後どうしているのかわからない。