珈琲の味

珈琲が少しずつ冷めて行くのが好きだ。

最初は熱くちょっとずつ温くそして冷たくなる。

砂糖も牛乳も入れないから苦いが口によっては甘く感じる。

この頃は珈琲の一杯が人生だと感じる。

若い時は熱く、歳を重ねるにつれて温くなってゆく。

冷たい味も勿論好きだ。

好きだが自身が冷めて行くのは嫌だ。

握りしめる珈琲の器、それぞれの味わいが励ましてくれてきたが。

この頃は随分と口にはしていない。

自身の人生の苦味ばかりを味わう日々だ。

器の隅にへばり付く黒き残り少なき者よ。

カスよ。