机の上

我、机の上に散らかった日々雑多な趣味(イラスト・劇画・CG・模型・HP・生活)の更新記録です。

黒インク

2009-07-23 20:48:00 | 日々是茶飲み話
時々、死ぬ準備をしなきゃと考える事がある。いつ頃からなのか忘れたが、多分物心がついた頃からだと思う。

最近は特に考える様になた。
わずかばかりだが蔵書やコレクションの雑貨やギター等がある。
家人が邪魔くさがり時々小言を言う時などは特にである。
確かに死んだ人の物など残った家族が処分をするのは大変だ。
自分にとっては大切な物でも家族にとってはガラクタかもしれない。
息子はギブソンのギター335など弾かないのだから売ってしまえと言う。
しかし売るとなると二束三文だし、また買うとなると高額だ。などと考えるは生に対する未練かもしれない。
物はともかく死ぬ前にやっておきたい事がある。実は拙作の時代劇画「用心棒」も死ぬ前にせめて一作でもというおもいで書き上げた。

でもこれはオリジナルではない。
自身のオリジナル作品をせめて一作でもという気持ちで今は、死ぬ準備をしている。

テーマが「黒インク」としたのに文章があらぬ方向いってしまった。まぁ関係無くもないか。

写真はいまひとつ、仕事で死ぬ準備をしているところである。


マンガ五十年

2009-07-20 17:30:00 | 楽描き
新聞に「マンガ五十年」と題された記事の連載が開始された時に当然、劇画の事も語られるだろうと思った。

そうなれば当然この方の登場となるであろうと予測もした。

劇画魂④は平田弘史先生の登場である。

貸本誌に好きな作家は何人かいるがこの方は別格である。絵といい作風といい独特で少年漫画とはかけ離れていた。
どちらかというと時代小説の挿絵の様なおもむきであり、リアルなタッチは模写などできる訳もなく、先生の作品は少年には大きな頂きであり娯楽作品とは言い難く時代劇の辞典と言わんばかりの筋立てに史実に衣裳に小道具にと勉強の書として崇めていた。
当時の貸本誌の作品の巻末の後記などの内容も大変に気骨があり、さぞかし恐い人なのだろうなあ、と思っていた。

先生の作品とめぐりあったのは中学生頃だったと思う。当時、先生はメジャーな少年誌に活躍されていた。貸本時代も終わりを告げ貸本屋から古本屋に鞍替えする店も多くその時期沢山の貸本誌と巡り会う事ができた。
その中で先生の新しい作品と古い作品とを同時に見る事ができた感動は忘れられない出来事だ。
もう記憶が曖昧で確かではないので恐縮だが少年キングに「座頭市」が掲載されていてなかなかの傑作であった。貸本誌では「オタニ伝」が好きで何度も読んでいた。残念ながら今は両誌とも手元にはない。記憶も曖昧で作品のコメントもできない。

自前のHPを開設している。作るに当たっては当然、冠詞を付けなければならない。IDというものだ。GEKIGAとつけた。つけてから少々後悔した。変更はできない。ある日、自分と同じ様なアドレスと関連のHPは無いものかとネットで検索してみた。

一番最初に平田弘史先生のHPが飛び込んで来た。内容は多岐にわたりご自分の作品紹介はもとよりプライベートの事、なかでも映写機への情熱は並々ならぬものがありいっぺんに気に入ってしまった。
自分のHPに早速リンクしてその趣旨をメールで連絡した。

よもや先生から返信がくるとは思ってもみなかったのでメールを頂戴した時は狂喜した。
作品を拝見しました。相互リンクしました。と、返事の内容。

あれから五年、季節の節目にお出しするメールにもきちんと返事を下さる。先生ありがとうございます。作品を書く上で励みになります。

話を新聞記事に戻そう。17才で父を亡くして一家の大黒柱になり家業の配管の仕事をする。

ある日、中学の先輩に偶然出会い漫画は儲かるぞとばかり処女作「愛憎必殺剣」を書く。21才の時である。貧乏で漫画など見た事もなく道具まで借りて一晩で小品を書き上げ即デビューとは天才だ。
その後「血だるま剣法」を書き社会問題となり一時業界から干される状態となる。

差別の事をテーマにした事と残酷な描写が原因の様だ。

「回収されたのはごく一部だし焼かれたという事実もないよ 俺は差別はいかん、無くしたいという気持ちで作品を書いたんだ」
とは先生の弁。

世間では劇画ブームが前夜の頃である。白土三平、さいとう・たかを、平田弘史と騒がれ出した矢先の挫折である。

当時人気絶頂であった白土三平氏から「カムイ伝」の下絵の手伝いの依頼も断り貧乏でも人の家来にならぬとのサムライ振りを示す。
今、先生の作品は多数復刻されて若い人達にも読まれている様だ。

たがそれ以上に先生の作品は海外で人気がある。
時代を越えて国境を越えて先生の描かれる時代劇画、武士道や名も無き庶民の生き様は永遠に普遍的なテーマなのだ。

この新聞記事は週刊漫画誌サンデー、マガジンの創刊五十周年から始まってマンガの昔、今そしてこれからを語って行くようだ。