ひまわり博士のウンチク

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重信房子 讃

2014年07月06日 | 映画
Revolution1
 
 テアトル新宿で、7月5日土曜日から公開のシェーン・オサリバン監督作品『革命の子どもたち』を観た。
 この映画は1968年、世界的に巻き起こった学生による革命運動のうねりの中で、女性革命家として名を馳せた重信房子とウルリケ・マインホフのエピソードをそれぞれの娘たちが自身の体験をまじえながら語る。
 
Revolution2
 
 重信房子は1971年、パレスチナで日本赤軍を結成する。このとき彼女はすでに学生運動によって逮捕歴があり、パスポートが取得できない。そのために、逮捕歴のない同志奥平剛士と偽装結婚をすることで奥平房子となって出国する。パレスチナではパレスチナ人民解放戦線(PFLP)と連携し、ハイジャックや外国公館を襲撃するなど、民間人も巻き込んだ多数の事件を繰り返した。
 国際指名手配されながらも活動を続けていたが、日本に不法入国して大阪市内のマンションに潜伏していたところを逮捕される。懲役20年が確定し、現在八王子医療刑務所に服役してガンの治療中。現在68歳。
 
Revolution3
 
 重信房子とパレスチナ人活動家とのあいだに生まれた重信メイは、現在41歳でベイルート在住。素性が知れると自身も暗殺のターゲットになることから、16歳まで父親がだれかを知らされず、28年間無国籍ですごした。
 「私は28歳まで存在しないことになっていました」
 ベイルート・アメリカン大学卒業後、大学院に進学、2001年に日本国籍を取得した。同志社大学で博士号を取得した後、塾の講師やニュースキャスターとしてテレビにも出演する。著書は多数あり女優として映画にも出演している。
 「日本ではパレスチナがイスラエルを攻撃して、その報復でイスラエルからパレスチナが爆撃されるように報道される。しかし事実にはその前がある。戦闘はたいていイスラエルがパレスチナを攻撃するところから始まるのだ。歴史は、どこで区切るか、どこから見て行くかでまったく違ってくる」
 
 重信メイは母親譲りの美形で、その上聡明である。重信房子の娘という経歴がなければ人気キャスターになっていたに違いない。ただし、日本語はあまり上手ではない。
 
 ドイツの女性革命家ウルリケ・マインホフの娘であるベティーナ・ロールはいう。
 「テルアビブ事件でイスラエル政府は、国連の検証を拒んだ。報道ではパレスチナ側のテロリストによる銃の乱射で多数の民間人が犠牲になったというが、事実は銃の乱射がだれによってなされたものなのか不明だ。イスラエルは、国連に知られたくない何かを隠している」
 
 淡々としたなかで、40年以上前の熱さが伝わってくる映画だ。今の学生に聞くと、「今は就職難だから、学生運動なんかやって不利になったら困るから」という。しかし、当時も就職は大変だったし、学生運動をやっている学生よりも自衛隊出身者のほうが就職に有利だったりもした。しかし、学生運動をやっている学生たちは、世の中の変化を自分自身に直接関わることととらえていた。なぜなら、世界の中に自分も含まれるからだ。今の学生は自分のことしか考えない。頭の上にミサイルが落ちて来てから大騒ぎしても遅いのだが。
 
 ほかに、元若松プロの足立正生さんや、9条改憲阻止の会の塩見孝也さんも出演している。


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