ひまわり博士のウンチク

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樺美智子『人しれず微笑まん』

2009年06月16日 | 本と雑誌
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 あれからもう、49年が経った。
 1960年6月15日、安保条約阻止の全学連デモ隊と機動隊が衝突。当時21歳の大学生だった樺美智子さんは、国会構内で機動隊の特殊警棒によって殴打され、盾で押し倒され、土足で踏みつけられてほとんど即死で亡くなった。
 多数の目撃者がいる中での機動隊の悪意に満ちた犯罪は、現在にいたるまで誰にも裁かれていない。
 
 ここ数年、かつての全共闘の闘士たちが、高齢にもかかわらず、再び戦争への道を歩もうとしている日本の将来に危機感を持ち、活動を再開した。
 14日に行われた「憲法9条改定を許さない6・14全国集会」にも、旧ML同盟を中心に集まった同志たちが、参加者の動員に尽力を惜しまなかった。
 
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 『人しれず微笑まん』(三一書房)は同年10月に発売された樺美智子さんの遺稿集である。
 小中学校の頃の日記から、高校生時代の書簡、学生時代のレポートなどが集められている。
 
 高校のころの詩にこんなのがある。
 
 
 「最後に」
 
 だれかが私を笑っている
 こっちでも向こうでも
 私をあざ笑っている
 でもかまわないさ
 私は自分の道を行く
 
 笑っている連中もやはり
 各々の道を行くだろう
 よく云うじゃないか
 「最後に笑うものが
 最も良く笑うものだ」と
 
 でも私は
 いつまでも笑わないだろう
 いつまでも笑えないだろう
 それでいいのだ
 
 ただ許されるものなら
 最後に
 人知れず ほほえみたいものだ

 
 
 本書のタイトルはここからとったものと思われる。
 この頃からすでに、彼女の一途な強さが感じられる作品である。
 しかしその強さ故に、彼女は死を早めてしまったと言えるかもしれない。
 
 生きていれば今年11月には72歳になる。そして、活動を再開した元全共闘のメンバーとともに活動しているかもしれない。
 
 この本の最後には、世界から送られて来た追悼の言葉が掲載されている。そのどれもが、彼女の平和への願いを成就させることを約束している。
 しかし、あれから49年が経った現在、アメリカとそれに追随する日本は、平和とはまったく反対の方向に歩もうとしている。
 自衛隊の海外派兵や憲法9条を抹殺しようとする動きは、その一部でしかない。
 
 
 勉強することのできる者は、やはり、勉強しなくてはいけないんだ。時間をつくり出して??と思います。解放闘争には不可欠??むしろ、正しい理論こそが今、最も欠けているんだ??と思います。
 
 
 昨今のおバカブームは、人に勉強させないための策謀かもしれない??と思うのは、考え過ぎだろうか。
 
 『人しれず微笑まん』は現在絶版で古書でしか入手できない。定価350円の新書判に、古書店で1000円から3000円もの値段がつけられている。復刊を望みたいところだが、むずかしいだろう。
 
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