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ヘニング・マンケル『炎の秘密』

2010年04月11日 | 本と雑誌
Honoo

炎の秘密
ヘニング・マンケル
オスターグレン晴子 訳
講談社 刊
 
 ヘニング・マンケルは、スウェーデンの推理小説作家である。脚本や児童小説も手がけ、子供から大人まで幅広い人気がある。
 劇団を支援する縁で、アフリカ東岸の小国モザンビークに在住。
 
 『炎の秘密』はモザンビークで実際にあった出来事をもとに作られた。
 もともとは豊かな国だったモザンビークは、20年に渡る戦争のために貧困の極にあった。12歳の少女ソフィアは父を爆撃で亡くし、母と姉の三人で暮らしていた。母親のお腹の中には、三人目の赤ん坊がいた。
 
 ある日、盗賊団が村を襲い、ソフィの家族以外皆殺しにされてしまう。
 何日もかけて受け入れてくれる村を見つけたが、その村はいたるところに地雷が埋められていた。
 「けっして小道から離れてはいけないよ、たとえ一メートルでも。絶対、今ある道以外のところを通ってはいけない。いいね、約束だよ」
 
 ソフィアは姉のマリアに喜んでもらおうと、くすねたシーツでドレスを作りマリアに渡した。そして、マリアとソフィアはいっそう仲良しになった。
 ある日のこと、二人は母が働く畑に走って出かけた。雨で土が濡れていて、ソフィアはすべって何歩か道の外に出てしまった。
 
 「ソフィアはまず左足で跳んだ。
 それから道に戻ろうと、右足をおろした。
 そのとき、地面が爆発して細かい細かいかけらになって飛び散った」
 
 地雷に触れたソフィアは両足を失い、マリアは命を失った。
 ソフィアは町の病院で義足を作ってもらい、何ヵ月もかけてリハビリをし、ようやく松葉杖を使って歩けるようになって家に戻る。
 しかし、そこには「新しい父」がいて、ソフィアの居場所はなくなっていた。
 
 長い戦争で疲弊した国は、子供たちを守る力さえない。戦争でなんの抵抗も出来ず、最も重大な犠牲を強いられるのはいつも、老人と女性、そして子供たちだ。
 最悪の環境にありながらも、ソフィアは裁縫の技術を身につけ、自立への道を歩み始める。しかし、両足を失った少女の未来はけっして明るくはない。
 それでもソフィアは、必死に生きて行こうとする。
 
 重いテーマだが、中学生以上なら読みこなせるであろう平易な文章で書かれている。対人地雷が、戦闘員よりも非戦闘員に多くの犠牲者をもたらしていることを知ってもらえたらと思う。
 
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・『全国お郷ことば・憲法9条』『原爆詩集 八月』
『ひまわりの種は誰が食べた?』
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