monologue
夜明けに向けて
 



2014年3月22日(土)、将棋のプロ棋士とコンピューター将棋ソフトの5対5の対抗戦、第3回電王戦の第2局が、大相撲で有名な両国国技館で開催された。いつも土俵のある場所に対局場が設営され、制作者の磯崎元洋氏が中学2年の時に、屋根裏部屋でゲーム制作会議を開いた事に由来する「やねうら王」がオーソドックス四間飛車で佐藤紳哉六段(36)の居飛車穴熊に95手で勝った。ニコニコ動画の視聴者数:349048。

定刻10時にロボットアーム「電王手くん」によって指された「やねうら王」の注目の初手が1六歩の端歩突きだったので思わず「坂田三吉、端歩を突いた」という文句を思い出した。相手の研究を外すためか驚かせるためかと思ったが結局その端歩が終盤で居飛車穴熊を攻めるのに有効だったのだ。長い一進一退の攻防の果てに時間がなくなり最後、一分将棋の中どうしても、かけられた必至をふりほどくことができないと悟り、佐藤六段が投了を告げた時、ロボットアーム「電王手くん」がお辞儀のような動作をした時、なにか胸がジンとした。

局後、佐藤六段は「相手が強かったというより、ぼくが弱いので負けた。」と普通のコメントをしたが佐藤紳哉六段のキャラクターを知る将棋ファンには拍子抜けするものだった。佐藤紳哉六段といえばエンターティナーで、NHK杯の豊島将之七段との対局前インタビューで、若くして後退した髪を鬘(かつら)で隠し「豊島?強いよね。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。でもさ、俺は負けないよ。」と答えて 、視聴者を爆笑させインタビューの伝説となった。そしてそれは橋本崇載八段のインタビューに継承されている。橋本八段はどれほどあのソックリインタビューの稽古をしたのだろうか。
fumio

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