monologue
夜明けに向けて
 




第3回電王戦が15日(土)、東京・有明コロシアムで開幕して竹内章氏が作成したコンピュータ将棋ソフト「習甦(シュウソ)」が菅井竜也五段に98手で勝利した。
「習甦」の名前の由来は分解すると「羽」「白」「更」「生」で、「羽」「生」三冠から「白」星を「更」にとのことらしい。
 昨年の第2回電王戦は、将棋ソフト側が3勝1敗1分けで勝利したのだが。2013年3月23日、「習甦」は、阿部光瑠四段と対局して後手番で一手損角代わりの戦型で、終盤に攻めが切れ113手で投了してソフト側で唯一の敗北を喫していた。
菅井五段は、順位戦C級1組に在籍して今期は8勝2敗で佐々木慎六段と並んだが順位が下位なので惜しくも昇級を逃した注目の若手棋士。

 対局場はテニスや格闘技の競技場である有明コロシアムで観客がいないガランとしたアリーナの中央に「デンソーウェーブ」が開発したロボットアームと菅井五段が向かい合って対局していた。習甦の開発者の竹内章氏は和服で時折盤の前に座った。ロボットアームが駒をうまく操れるかどうかが観戦者の興味を惹いたが敵陣に駒を成り込む動きも齟齬なくうまくできたので感心した。

今回から対局に使用されるソフトはあらかじめ棋士に貸し出されることになっていたので 菅井五段は感想で「研究で200局ほど指したが、唯一指したことのない後手7二飛車型になったので動揺した」と語っていた。中飛車に対する7二飛車という戦型は想定していなかったので普段よりかなり構想に時間を使ったようだ。「習甦」の指しまわしは昨年より進化して厚かった。決してあせって戦わずじっくり相手のミスを待ち差を拡げる戦法で終盤勝ちが見えた途端に一気に押し切った。
菅井五段が最後、敗けを自分に言い聞かせ水を飲み、ややあって投了の意志を示すとロボットアームは一礼するような動きを見せた。日本中の将棋ファンの注目する中でどのような思いがかれ菅井五段の胸を去来したのだろう。投了前の重い時間は将棋ファンにとっても重かった。
fumio

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