Fさんの日々の記録と山歩き

 山歩きが生き甲斐の団塊世代オッサン、ある事無い事日々感ずるままに綴っていこうと思います。

「百名山の人深田久弥伝」という本を読んで

2020年10月23日 | 読書

 深田久弥氏と言えば山岳紀行の著者として、我々中高年登山者には馴染みの深い作家です。代表作の「日本百名山」をバイブルと言うか目標として、山を目指す人も多いのではないだろうか。かくいう私も大いに影響を受けたその中の一人で、三百名山登頂もこれが切っ掛けとなったような気がします。

 そんな深田久弥氏の生涯を綴った「百名山の人、深田久弥伝」という本を図書館で見つけた。作者はノンフィクション作家の田澤拓也さんで、読んでみたら中々面白い内容なので、チョットご紹介してみたくなりました。

 深田久弥氏が急逝したのは山梨県の茅ケ岳山中で、昭和46年3月の事だった。この本の第1章はその終焉の場面から始まります。その当時20歳過ぎだった私はちょうど山に興味を抱き始めた頃で、テレビや新聞で彼の死を報じた事は薄っすらと記憶にあります。

 深田久弥氏の山岳紀行に関する本しか読んだ事のない私は、彼の事を「浮世離れした愚直で一本気な山男」とイメージしていた。しかし本に描かれた彼の人生は、中々波乱万丈なものでした。

 献身的な妻の協力を得て作家として順調に歩みながら、愛人問題が発覚して夫婦の仲は修羅場と化す。そんな妻から逃れるように軍へ招集されて中支戦線へと向かう。帰国して終戦後は愛人だった女性を妻とし、戦後の厳しい経済状況の中、念願だったヒマラヤ遠征の夢が叶う。

 そんな荒波のような人生で、終生変わらなかったのは山へ対する強い憧れと思入れだった。そんな一途な思いを書き綴ったのが、山岳紀行として不朽の名作「日本百名山」でした。

 読み終えて、山の魅力に憑りつかれ山に殉じた男、深田久弥という人物のバイタリティー溢れる強靭な生き様が深く心に残りました。

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