80ばあちゃんの戯言

聞いてほしくて

尖閣諸島問題(5)

2012-10-18 18:41:36 | 戦争体験
NHK テレビ”日中国交はこうして始まった”

よりの抜粋


第三回首脳会談。

日中間で話合わないことにしていた尖閣諸島問題

について発言があったことが明らかになりました。

最近公開された外務省の記録です。

田中総理

 ”尖閣諸島について、どう思うか?

 私のところに、いろいろ言ってくる人がいる。”

周恩来首相

 "尖閣諸島問題について、今回は話したくない。

 全く、これを話すのはよくない。石油が出るから

 これが問題になった。石油が出なければ、台湾も

 米国も問題にしない。”

大平外相の秘書、森田一さん

 ”中国は問題にしない。日本も問題にしないと

 思っていたのに、角さんが急に言い出したから、

 日本にとって驚きで、大平も予測していなかった。

 竹入メモにあったように日本側にはないし、中国

 側にもないと言うことで通すのだと思っていたら、

 田中さんが急に言い出した。”

当時、外務省中国課課長橋本恕さんは

 ”なぜ田中さんがあの時に言い出したのか、それ

  は確かにおかしい。疑問がないなら、そこで

  きっぱり否定すれば何ちゅうことはなかったの

  に、もしこういうことが出てきたとすれば、

  何かあったのかと、私でさえ思うんだから、どう

  考えても解らないのは、国交正常化交渉まさに、

  72年、四泊五日で非常に限られた日数の中で

  出ている。何で突如として持ち出されたかと

  当時も、今も、疑問なんです。”

  当時周恩来さんの通訳を務めた王効賢さん

  "確かに、そういう話はありました。

  中国では尖閣諸島とは言わないで、

  ”釣魚島等島嶼”と言うのです。

  中国は国交正常化の時は尖閣はやりとりは

  なかった。ただ、田中さんが、ちょっと

  言いかけたら、周恩来先生が、今回はその

  話はしないことにしますとおっしゃった。”

 
  中国側は、このときの周恩来の発言は尖閣の

  問題を一時棚上げにしたものだとしています。

  しかし日本政府は尖閣諸島は日本固有の領土

  であり、領有権の問題は存在しないと一貫して

  言っています。

  1972年9月29日(昭和47年)両国の

  首脳は日中共同に調印、日本と中国は国交正常

  化にいたりました。

  日中共同声明です。

  日本側は

  "日本は過去において、中国に重大な損害を

  与えたことについての責任を痛感し、深く反省

  する。

  中国は日本に対して、戦争賠償の請求を放棄

  する。

  高碕との出会いから17年、周恩来は日中国交

  正常化への道を求め続けてきました。

  そしてLT貿易から生まれた人と人の繋がりを

  生かした大平正芳、二人が日中の未来について

  残した言葉です。

  周恩来

  ”小異を残して大同に就く”

  大平正芳 (著書 旦暮芥考より)
  
  ”われわれの持つ可能性は、最大限にアジアの

  ために絞り出さねばならない。 それこそは単に

  我々のアジアに対する過去の贖罪にとどまらず、

  これからのアジア平和と安定に不可欠の礎である。

  それこそが、日本自体の生存と安全に通ずる大道

  であるからだ。”

 鎌倉千秋アナウンサー

 ”今夜は日中国交正常化にいたるまでの道程を見て

 おりますけれども、改めてLT貿易時代10年に 

 亘って培ってきた人脈、これがあったからこそ、

 その後、短期間で国交正常化が可能になったという

 ことが解りますね。”

 五十嵐公利(元、NHK解説委員長)

 "そうですね。米中和解こそ、頭越しにやられたん

 ですが、正常化という点ではアメリカよりも早く

 実現したというわけですよね、ただ、そのプロセス

 が、一気呵成という言葉が出てきたんですが、

 ちょっと早すぎたんですね。ひとつは戦争責任から

 の歴史認識問題、もうひとつは尖閣の領土問題、

 この二つは非常に複雑に絡んで、今に至っていると

 思うわけですけども・・・。”

鎌倉千秋アナウンサー

 "実は私、中国で一年ほど勉強していたんですが、

 今、中国の若い世代、日本文化が好きだという若者

 がどんどん増えているんですが、その同じ若者が

 尖閣の話、歴史認識の話になると、態度が急変する

 と言うことを何度も目の当たりにしてきました。

 改めて、日中国交正常化までの長い困難な道程から

 汲み取れることって何なんでしょうか?”

 五十嵐公利さん

 ”私、あの、領土問題がないと、話し合いをしない

 言うだけではなくて、最低限、対話の窓口を開けて

 置くのが大事だと思うんですね。ただ、この際、

 心配なのは、日中間のパイプが、非常に細くなって

 いるんですね。日中間の国交正常化に携わった人達

 は、いざと言う時に腹を割って話し合えるようにと、

 日中間のパイプの強化を言い残していたんですが、

 こうした警告が生かされることがなかったんですね。

 それから、あの、領土問題は外交の中で、一番扱いが

 難しい問題と言われているんですね。それが、今、

 尖閣だけではなくて、竹島、北方領土と、同時発生的

 に持ち上がっているわけですね。外交と国内政治は

 コインの表裏といわれていますから、こういう困難な

 時代の外交を支えるためにも、国内政治を如何に立て

 直すか、そして、安定させるかということが今、待っ

 たなしの課題になっていると思うんですね。そう言っ

 た観点から、高碕あるいは古井といった政治家をみて、

 いくつか印象深い点があるんですね。

 一つには、どうしても関係正常化が必要だと強い信念

 を持ち続けたことです。 その信念を持ち続けるため

 に政治の壁に果敢に挑戦したこと、それから、当時、

 非常に鋭く対立していた米国と中国が何時か和解する

 だろうと予見していた、そういう意味の先見性と気骨

 に富んだ政治家であったと思いますね。”

 鎌倉千秋アナウンサー

 ”当時の大平外相の命をかけてでも国交を結ぶんだと

 言う、あの強い姿勢は、とても印象深いですね。”

 五十嵐さん

 ”やっぱり、今の世代は、この難局を乗り越える

 ために最大の知恵と努力を傾けたいと、そういう風

 に思いますね。”

 鎌倉さん

 ”今のこの状況だからこそ、改めて、お互いのこと

 をよく理解して、正面から向き合う。そういった姿勢

 が求められているんですね。”

五十嵐さん

 ”そうですね。”
 

 (完)

 

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