NHK テレビ演芸図鑑よりの抜粋
落語の後の春風亭小朝さんと、教育評論家尾木直樹さんと
感性アナリストで随筆家の黒川伊保子さんのお話が面白かったので、
ご披露させていただきます。
小朝さんの提案
”お母さんからこんな話を聞いた。あんな話を聞いたというその
授業の間は美しい言葉しか言わないで、もしわからない言葉が
あったら先生が "小春日和”とはこういうことだよとか説明して
あげる。そうすると、みんな頭の中にいい言葉だけが入って、
しかも日本にはこんないい言葉があったのかと言うことも勉強に
なる。そういう授業が月に一遍でもあればかなり変わると思う。
尾木さん
"是は国語のカリキュラムに入れたいですね。”
小朝さん
"6年間やったらすごいことですよ。”
黒川さん
”すてきです。”
尾木さん
"その時の子供さんたちの表情は素敵だと思いますよ。先生方も
味わうと言うことが大事だと思います。”
小朝さん
”僕等仕事がら、使ったりするんですけれども、掌(たなごころ)
って言葉いいですよね。何か温かい気がするんです”。
黒川さん
"いいですよ。温かいですよ。口の中で息が回るんです。た・な・
ご・こ・ろってふわっとします。”
小朝さん
”黒川さんは言葉が脳に与える影響をいろんな角度から調べて
いらっしゃる言葉のプロでございますけれども、、、。”
黒川さん
”私はこういう風に言葉の研究をやっているので、親御さんや学校の
先生方に請われて講演したりするんですけれども、私がいつでも
言わせていただいてるのは、脳の機能、言葉の機能が完成するのは
8歳お誕生日ごろで小学校の低学年は言葉の機能を完成させる
大事な時なのです。このとき1,2年の先生は美しい日本語をしゃ
べって欲しいのです。それは24の瞳の大石先生のように
"太郎さん鋏を取ってください。”というような美しく穏やかな
日本語をしゃべって欲しいのです。”
小朝さん
"とってっていうんじゃなくてですね。”
黒川さん
”緑 取ってというのは高学年になってからにして欲しい。
其れがパブリックランゲージを育てる一つなんですよ。
もう一つあるんですよ。これは学校から帰ってきますよね。
小学校二年まではまだ因果関係が確立していないんですよね。
すごーくしっかりしているお子さんでも、まだ、勘違いすることが
あるんですよ。子供が、”先生こんなことを言った”と言っても、
そういう文脈じゃなかったかもしれないんですよ。例え、たまさか、
ひどい言葉を使ったとしても、親がその言葉を徹底的に良くとって
あげることですよ。つまり徹底的にポジティブにとるように訓練して
あげるんですよ。 そうすると、社会に出た時に,例えば、部長に
叱られた時に部長俺に期待しているんだなと思って、そうすれば
翌日も会社にいけるのに、親が悪口を言うと、”ア、あれだけ言う
って言うことはもっと思っているんだなとか、結局は、無邪気に
一歩出られる大人になれないんですよ。だから、言語機能がとりそ
ろう直前に親が先生の悪口を言わないで欲しい。”
小朝さん
”先生の悪口だけじゃなくってね。多分家庭で親が相当他人の悪口
を言っているんだと思いますよ。”
黒川さん
"後、テレビに出ている人。”
尾木さん
"テレビの影響も大きい”
小朝さん
”子供にあんまりいい影響を与えないと思うんですよ。8歳までに
完成するとしたら、其れまでに、民話とか童話とか、、、。”
黒川さん
"本当にそうです。本の読み聞かせはものすごくいいんです。後まあ
おばあちゃんが昔話を聞かせてあげるとか・・・。”
小朝さん
"でも、そういうことをしてあげないで、うまくいかないからって
先生が悪いって言われたら、先生もたまらないですね。”
黒川さん
"先生の悪口言って、、、。”
尾木さん
”しかも外注教育ばっかりでしょ。 あそこの幼稚園へ行ったら
こんなことをやってくれるとか、あそこのスイミングへ行けば、
とか、すべてそうですけれども部分的なパーツに分けてみんな
外注でお金を払ってとか、其れは違いますよね。お母さんが
下手でも、自分のために自分に向かって一生懸命やってくれる
とか、笑顔でね。”
黒川さん
"膝に置いてね、こういう風にやって読んでもらうとか感性教育
は計り知れないです。”
小朝さん
"教育家として、学校へあげるまでにやっといて欲しいことあり
ますか?”
尾木さん
"やっぱりね。お母さんが愛情たっぷり注いで、この世の中に
生まれたけれども、何か安心して頼っていける人がいるんだと
言う安心感。
今ね、小学校一年生に入ってきて落ち着かない子がいるので、
其れを小1プロブレムと言うんですが、其れはやっぱりね、
子供達へのお母さんの愛情が不足していて、親の前でいい子
なのよ。内弁慶と言う言葉があるんですが、家の中で暴れて
いて外で何か自分を表現できないんです。今、まるっきり
逆です。
黒川さん
”信頼していないんですよね。”
尾木さん
”そう、お母さんに愛されるために精一杯いい子を演じる訳。
本人は演じると思っていないかもしれないけれども、一生懸命
いい子をするわけ。”
黒川さん
"無意識ですよね。”
尾木さん
"だから疲れちゃってお母さんのいない学校では、地のまんまで
暴れて、学校の先生にお宅のお子さんは授業中にも歩き回るし、
トイレにも勝手てに行ってしまうといわれても、お母さんは全く
信じられないですね。家でいい子が外弁慶なんですよ。”
黒川さん
”母親がその何だろう、こどもがいい子だったら嬉しい、成績が
良かったら嬉しいという条件つきの愛情に、なっちゃっているん
ですよ。”
尾木さん
”条件付愛情ってわかりますけれども、あまりにも条件がつきすぎ
ちゃっているんですよ。”
小朝さん
”何かね、小さい時にこの人は絶対に裏切らないとか安心感があった
子供と、ない子供では違うと思うんですよ。”
尾木さん
”やっぱり子供にとって絶対的なのは信頼ですよ。人はお母さんで
あり、お父さんであり、或は、おじいさん、おばあさんでもいいん
ですが、そういう人がいると言う安心感。”
小朝さん
”僕が思うのはお子さんが欲しがっている愛情と親御さんが与えて
いる愛情とはちょっと違うんではないかと言う気がするんですね。
其れが一致すれば、かなりいい方へ行くような気がするんですよ。”
尾木さん
”其れって、難しいのよ。やっぱり親って言うのはこんな子になって
欲しいという願いがあるので、どうしても条件がついてしまいますし、
僕はやっぱり三世代の家族で、おじいちゃんおばあちゃんは自分の子
じゃないから無責任なのよ。其れがいいの。
そういう意味では無償の愛をそそげるご近所さんでもいいんですけれ
ども、そういうような多様な大人とつながっているということが、。”
小朝さん
"何か大変ですね。先生になるもんじゃないと思いません?これから。”
尾木さん
"いや、いや、なってくださいよ。”