3週間ほど前から我が家のパートナーLeon君の体調が頗る悪いんである。
心臓弁膜症から、心臓の中に血液が逆流して、肺までも浸食して水が溜まり、呼吸困難になっていたのを、利尿剤と血管を大きくして、心臓の負担を軽減する薬の投与で、何とか持ち直していたのだが、
こんな最中、仕事で家を空けることが多く、ペットハウスに一泊
はからずも東京に三泊四日の出張をすることとなり、病状の不安もあり、かかりつけの動物病院へ預けていた。
東京から帰ってくると、まず一目散に彼を迎えに行き、愛おしさと、ストレスが溜まり可哀想な彼をまっすぐに、頬擦りしながら我が家へと連れて帰ったのである。
帰宅途中の彼の喜びようは尋常ではなく、運転中の私の膝の上に乗って、顔中をペロペロと嘗め回すほどであった。
普段はいくら嬉しくとも、ここまでしない彼のことだから、余程に寂しかったのであろう。
ましてや、体が不調だったのだから・・・・。
帰り着いてすぐに彼の食事の支度にとりかかった。
朝と夕方にそれぞれササミ1本が彼の食卓。
毎週月曜日の武雄の旬鮮市場の特売で買っている大判のササミをボイルしていると・・・・・
「キャン!」と一声レオンの異常な鳴き声がしたので、慌てて彼の所へ駆けつけると、
そこにはびっこを引く彼が私を哀しそうに見上げていた。
何かに足をとられたのだろうかと・・・・その時は軽く思ったのだが・・・・。
実は左足が完全に麻痺していたのである。
彼はグータラな飼い主の私に対して、いつも精一杯の愛情を示す。
いつも私の姿を追っているし、見えない時など家中を捜してまわるんである。
その時も食事をさせて、風呂に入っていると、動かない後ろ足を引きずりながら、いつものようにバスルームの扉の外で私が出てくるのを黙って待ってくれていたのであった。
居間からバスルームまで小型犬の彼には結構な距離なのに、だ。
そしてその時は彼の左足の麻痺には、まったく気付かずにいたダメ飼い主の私であったのだ。
その夜も、金曜日もまったく元気が無く、とうとうヨロヨロとしか歩けぬままの状態が続き、今朝も元気が無く、食欲も無かったので、これは・・・・とばかりに動物病院に連れて行った。
土曜日は業界の大切なコンペが控えていたのだが、彼の現状からのんびりゴルフなどやっている場合では無かったんである。
結果は・・・・
「椎間板ヘルニアから来る左足の麻痺」という診断
レントゲンとエコーでの所見である。
それまで元気にピンピンして走り回っていても、この症状は突然に犬を襲うのだという。
ついでに前立腺も調べて貰ったのだが、こちらは異状なしだとのこと。
心臓弁膜症に肺水腫、椎間板ヘルニアに前立腺肥大
どこかで聞いた病名ばかり・・・・・。
何のことはない。犬も私達人間も臓器や骨について何一つも変らないんである。
そして深夜、幼いわが子を背負って病院に駆け込んだあの想いとも一つも変らないんである。
出来れば代わってあげたい位の気持ち・・・・。
病院の待合室でレントゲン撮影をしている彼のことを案じつつ、ヨロヨロと足を引きずりながら歩く愛犬レオンが昨夜、風呂場まで来たことを思い出していた。
今朝は居間からトイレまで、私を探してフラフラになりながらやってきた。
その時もトイレで泣いた私だったのだが、
そんなにまでして・・・・・誰も居ない待合室だから良かったのだが・・・・、
私は、レオンへの想いが駆け巡り、実は涙が止まらなかったんである。
人は簡単に人を裏切るのだが、犬には教えられることばかりなんである。