常に批判者としての眼を失わずに、
ものごとを縦・横・斜め時には裏側からも見るように、
本質的にはシニカルに生きてはきたつもりなんである。
若いころには学生運動にも参加した。
機動隊の兄ちゃんの逞しさも、体力も、
痩せた学生のフランスデモの苦しさもよくしっている。
それは幸いにも、これまで自分が想定したよりは長く生きて来られたことで、
人の有り難さに触れることにより、
「世の中案外捨てたものじゃない」
っていう肯定的で、プラス思考的な確信に変わりつつあるのが、素直に嬉しい。
幼き頃の麦畑は格好の遊び場であった。
麦の背丈を見るにつけ、
そこで、「かくれんぼ」が出来たということは、
あれくらいの身長だったのだろうか・・・と想いを遠い昔に馳せる。
そしてそこには、まだ母親が存在するのである。
あぁ、何人たりとも癒すことの出来ない、私の胸の痛みの原点が
確かに存在するのである。
そして麦畑で捕捉して貰いたいのは・・・
まだ若かった僕の母親なのだ 。