奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その776)

2018-10-09 08:15:00 | 奈良・不比等
「悪と全体主義~ハンナアーレントから考える(仲正昌樹著・NHK出版新書2018刊)」を読んだ。仲正昌樹(なかまさまさき1963生れ)氏は、東大(総合文化研究科)博士課程修了(学術博士)、現在は金沢大学教授である。専門は法哲学、政治思想、ドイツ文学とのこと。「悪と全体主義」では、ハンナアーレントの2著作“全体主義の起原(1951)”と“エルサレムのアイヒマン(1963)”を読み解いて、疑似宗教的世界観に呑み込まれない思考法を探っている。-----
ナポレオン戦争から国民国家が誕生し、一定の国に属さないユダヤ人は差別の対象として孤立してしまった。ドイツのホロコーストでフランス革命の人権宣言も役立たずのまま、悲惨な結果を来してしまった。何故なのだろうかとハンナアーレントが戦後、著作で世に問うているのだが、一般人には理解が伴わないので、仲正昌樹氏という日本の知識人が解釈してくれている親切な新書である。-----
民主主義として意見の一致を見なくても、価値の多様性が大事だから、それを無理やり一本化してしまうと全体主義の悪に陥って仕舞うのだと云う。複数の意見があることが社会にとって好ましいのであると。それを認める度量も必要なのだが。法律的にもそれは必要だというハンナアーレントの主張を書きだしてくれている。
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