奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その779)

2018-10-12 08:15:00 | 奈良・不比等
「靖国史観~幕末維新という深淵(小島毅著・ちくま新書2007刊)」を読んだ。小島毅(こじまつよし1962生れ)氏は東大(文学部)卒で、同大学院修士課程を修了している。現在は東大教授である。専攻は中国思想史とのこと。-----
「靖国史観」は、“国体・英霊・維新”と云ったキーワードを中国世界に語源を探って、懇切丁寧な由来を素人に分かるように説明してくれている。江戸時代の儒学者のお勉強の様子であるとか、歴史的に江戸時代も始まりと終わりごろでは異なることなどきめ細かな解説を加えてくれている。その上で、靖国史観ってなんだろうねと読者に問い返す趣向となっており、親切この上ない。-----
東大の文学部で10年間(1935~1945)に亘り皇国史観を吹聴していた平泉澄(ひらいずみきよし1895~1984)教授のことも飾らずに解説している。福井の平泉寺・白山神社の世襲神主であれば皇国史観も然も有りなんと思われた。-----
結局日本古来の古式ゆかしい歴史的な伝統などある筈もなく、調べると全て中国の典籍に辿り着くと云う始めから結果の知れたようなことなのだが、それを小島毅氏は一つ一つ紐解いてくれるのだ。-----
奈良県など記紀万葉の世界を観光に役立てようとするならば、県ならびに市町村の職員は必読の書としてリストアップして置くのが良いと思った。お年を召したボランティアガイドの方は頭が固くて無理だろうから若い方こそ読んで知識を深めておいて貰いたいものである。
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