奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その939)

2019-03-21 08:15:00 | 奈良・不比等
北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「地形からみた歴史~古代景観を復原する(日下雅義著・講談社学術文庫2012刊/1991版の文庫化)」を読んだ。日下雅義(くさかまさよし1934生れ)氏は、立命館大学大学院(文学研究科)修士課程修了で、現在は立命館大学名誉教授である。-----
「地形からみた歴史」は、21年後に再刊されていて、この種の学際的な研究及び研究者が少ないことを物語っている。その意味では貴重な本であるようだ。-----
大阪平野のなりたちを弥生時代から歴史時代にかけて対象とし、日本の古代史の舞台の古代景観を復原している。“難波の堀江”とか、“住吉津”とか“草香江(くさかえ)”とか、古代史に登場する場所を地図上に明確に位置付けていて分かり易い。-----
日下雅義氏のご専門は歴史地理学だと思われるが、それに留まらず自然地理学や、文献史学にも精通されているかのようであり、考古学者の森浩一(1928~2013)氏からの助言でこの本を上梓したのだそうである。地学や地質学なども齧っておられるようだ。面倒なフィールドワークからその土地の古代景観を復原すると言う根気のいる仕事をなさって来られたことに敬意を表したいと思わせる本に仕上がっている。-----
頭のよい研究者はこのような地道な研究成果を踏み台にして論を進めるのであると思った。日下雅義氏は講談社の“学術文庫”のシリーズの1冊になったことで満足されているようだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする