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オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

文楽「菅原伝授手習鑑」

2023-09-13 14:09:13 | 文楽
9月12日(火)の昼に国立小劇場で「菅原伝授手習鑑」を見る。5月と9月の2か月間で初段から五段目までの通しの公演。普段はかからない珍しい場面も上演されるとあって、場内はほぼ満席だった。10時45分から2時20分までの回は「賀の祝」を中心とした三段目があり、最後に四段目の頭の「天拝山」が付く。3時から6時15分の回は最初に「寿式三番叟」があり、「寺子屋」を中心とする四段目と五段目が上演された。

以前に国立大劇場で歌舞伎版の通しを3か月に分けて上演したことがあり、一応通しで見ているが、文楽での完全通しは初めて見た。50年ぶりの上演という段もいくつかあった。

研修生も集まらずに、今後の跡継ぎが心配になるが、太夫の若手がこのところ力を付けてきて、なかなか充実した公演だった。最初の「車曳き」では籐太夫、小住太夫、碩太夫が若手ながら立派に語った。特に一番若い碩太夫が頼もしい。「桜丸切腹」の千歳太夫は落ち着いた語り口でよかったが、その前の咲寿太夫、芳穂太夫は力不足。久々に出た「天拝山」は籐太夫だが、教えてくれる人がいなかったのか、練習不足の印象。

「寿式三番叟」は咲太夫が休演なので、代わりに翁を呂太夫が語り、千歳は錣太夫、三番叟は千歳太夫と穴埋めに入った織大夫。これも珍しい「北嵯峨」は希太夫だが少し弱い。寺入りの亘太夫も軽量級。寺子屋では前半を「切」として呂太夫が語り、後半を「後」として呂勢太夫が語った。どう見ても呂勢が頑張った感じ。呂勢はこのところ調子を崩していたが、三味線の清治の指導を受けたのか、今回はとても良い出来だった。清治の三味線が光る。

最後の五段目「大内天変」は、小住太夫が立派に語った。このところ小住太夫はとてもよくなった。三味線の寛太郎も素晴らしい演奏。昔は幼さが残るような印象だったが、もう立派な大人。

充実した舞台を見て、上機嫌になり、帰りはイタリア・レストランで軽く食事。スプマンテとキャンティを飲み、イチジクとマスカルポーネの生ハム包み、浅利のワイン蒸し、クロスティーニ、サマー・トリュフのリゾットなどを食べた。サマー・トリュフは香りが今一つ。それでも久々の黒トリュフで大満足。

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