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新国立劇場の「コジ・ファン・トゥッテ」

2024-05-31 11:29:46 | オペラ
5月30日(木)の夜に新国立劇場でモーツァルトのオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」を見る。4回公演の初日だが、客席は7割程度しか埋まっていなかった。6時半開演で、途中に30分の休憩があり、終演は10時ごろ。

今回の「コジ」は10年ぐらい前に上演された版の再演で、森の中のキャンプ地での出来事に読み替えしている。退屈はしないが、一度見ればもういいや、という感じの演出。ドン・アルフォンソは、キャンプ場の経営者で、デスピーナはそこの従業員という設定。若干の無理がないわけではないが、うまく読み替えがしてある。最後の終わり方は、恋人が愛を確かめ合うのではなく、決裂して別れるという形になっている。

演出はあまり気にせずに歌の方はどうかというと、歌手が揃ってなかなか楽しめた。主要な出演者は二組の恋人たちと、ドン・アルフォンソ、デスピーナの6人で、来日組が4人で、日本人が2人となっている。日本人はバリトン役の大西宇宙、デスピーナ役の九鳩香奈枝が二人とも、来日組に負けない立派な歌唱で満足のいくものだった。

来日組の女性二人は、どちらもしっかりとした歌唱で、安定感もあり安心して聴けた。テノールのセレーナ・ガンベローニは、背も高くとても美しい声で聞きほれた。ただし、高い声域になると発声が変わり、くぐもり声になるのが少し気になった。ドン・アルフォンソ役のフィリッポ・モラーチェは、他の人に比べると、歌唱が弱い印象だった。

オーケストラは、東京フィルハーモニーで、指揮は飯森範親。指揮は平凡で、モーツァルトの面白さが十分に出ていない印象だった。

この作品は台本が見事に書かれており、言葉だけで十分に内容や心理が伝わるので、このように凝った演出となると、演出が却って邪魔するような印象を持った。もっとシンプルな演出の方が作品を純粋に楽しめるのではなかろうか。

それでも、歌を聴いて満足。帰りがけにパブでビールを飲みながら軽い食事。ローストビーフ、フィッシュアンドチップス、サラダなど。

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