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第3回FFハイキング

2014年06月10日 | Inbound Exchange

今なお残る天平の香り ー 山の辺の道(北コース)

 

6月度のハイキングは、6月8日(日曜日)に山の辺の道、北コースを辿った。梅雨入り宣言直後で雨が懸念されたが幸いメンバーの日頃の行いが良いためか、ハイキング日和に恵まれて、総勢20名で心地よい汗をかいた。ボランティアガイドの会「朱雀」にガイドさんを一人お願いした。

 

興福寺北円堂から五重塔の前を通って春日大社参道にいたる道は参加メンバーの多くが何度も歩いている道だが、この参道に流鏑馬の出発点と終着点を記した小橋があるとはガイドさんの話を聞くまで気付かなかった。参道の終点近くの酒樽を積み重ねてある小屋が天平時代、高貴の方の牛車“駐車場”とは知らなかった。参道沿いの樹木に沙羅双樹があるのも初めて知った。


  目線の前に沙羅双樹

 

 

 


奈良は現代と天平時代が隣り合わせに存在している不思議な町である。車の行き交う通りから一歩わき道に入るとそこはもう天平の世界である。縁を切ったり、結び直したりするお寺(不空院)の向かいには、新薬師寺(天平19年)がひっそりと建っている。本尊の薬師如来の優しい眼差し。それを取り囲む十二神将。皆さん自分の干支の将像を確かめるのに忙しい。こうした国宝の諸像を待ち時間もなく何時でも拝観できるのは奈良でこそ出来ることである。

 

緑に囲まれた公園で昼食後、高円山麓の白毫寺に参る。五色椿や萩で有名だが庭園から見る新緑の奈良盆地の眺望は実にすばらしい。飛鳥、藤原、奈良、三時代の歴史の舞台を一望に収めることができる。本堂でのガイドさんの三途の川と閻魔さんの話も何故か身近に感じた。

  

  


 

白毫寺門前


 



その後東海自然歩道に沿って田植を終えたばかりの田園風景の中をひたすら歩く。崇道天皇陵で兄桓武天皇と弟早良親王の骨肉の争いの話を聞く。「崇道天皇」とは祟りを恐れての追尊とのこと。天皇家にも色々ごたごたがあったのだ。竹林の中を抜けて三門跡寺の一つ、円照寺に至る。拝観はできないが静寂そのものの佇まい。深い木立の門前を歩くこと数分、突然バスが行き交う県道に出て現代に戻る。全行程約9キロ、天平の香りを身近に感じながら昔ながらの日本の田園風景を満喫できたハイキングであった。

    201469日 藤田 欣吾 記