アーバンライフの愉しみ

北海道札幌近郊の暮らしの様子をお伝えしています。

熱望するのはファシズム~船戸与一著「満州国演義 6~大地の牙」

2014年02月24日 | この一冊
"国難に直面したとき、人々が熱望するのはファシズム。大戦前夜の満州を描く入魂の書き下ろし750枚"とのキャッチが踊る船戸氏の「満州国演義」第6巻425頁の力作だ。



物語~敷島太郎(長男)は、新京政府(満州国)の国務院外務局政務処長としてめまぐるしく変転する国内外の情勢に翻弄され、次郎(次男)は匪賊家業を捨て、今は徐州攻防戦や武漢攻略戦を傍観しながら無聊をかこつ。関東軍の憲兵大尉三郎(三男)は、反日武装闘争を推進する抗日連軍との死闘を繰り広げていた・・・。

この第6巻は、日中戦争が南京大虐殺(第5巻)を経て徐州・武漢攻防戦と泥沼化する中、モンゴルとの国境において、ソ連の近代的機甲部隊に火炎瓶で対抗しようとした関東軍が完膚なきまでに叩きのめされたノモンハン事件までが詳述され、日中戦争の何たるかを理解する上で、格好の読物となっている。

昨今、尖閣諸島をめぐり日中関係が悪化しているが、こうした日中間の不幸な歴史を正しく理解することなしに、真の日中友好はありえないと思った。
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南京大虐殺~船戸与一著「満州国演義 5~灰燼の暦」

2014年02月23日 | この一冊
満州国演義第 5 巻として書き下ろされた「灰燼の暦」、850枚(468頁)の大作です。



昭和11年の二・二六事件から盧溝橋事件、第二次上海事変を経て、同12年12月の南京陥落までの約2年間、満州、北支及び、上海・南京において発生した武力衝突を縦糸に、敷島四兄弟の生き様を横糸に編まれた日中戦争前期の壮大な物語。

物語~長男の敷島太郎は、奉天領事館参事官から満州国国務院外交部政務司長へと転出し無為の日を送り、次男の次郎は、特務機関から金で雇われ抗日分子の掃討を繰り返し、憲兵大尉の(三男)三郎は、満州全土を諜報活動に駆け回ります。一方、天津の漢語新聞の記者となった(四男)四郎は、満州や北支の紛争地で事実に即した記事を草稿しますが、軍部に不利な記述は、すべて上部によって削除され悩みます。

この間、重大事件が頻発し、その説明に多くを割かざるを得ず、加えて四兄弟の役割が相対的に小さくなった結果、物語それ自体が気薄になり、面白さが半減しています。

ただ、「ゴルゴ13」の作者でもある著者の劇画的描写は、南京大虐殺の取り扱いにおいて威力を発揮し、この歴史的大事件を活写して余りあります。
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言わばクーデターだ~慶大小林教授:首相の憲法解釈

2014年02月23日 | ドラミング
昨今の集団的自衛権論議。

種々の論評をお伝えしていますが、近着の赤旗日曜版では、慶大教授で憲法学者の小林節氏が、「安倍首相の憲法解釈は、言わば、現行憲法に対する権力の側からのクーデターだ」と厳しく指摘、「退陣させる以外にない」と述べています。以下、ご紹介します。



談話の後段は、こちらのございます。
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音楽ABC~道なかば

2014年02月22日 | 音楽ABC
このコーナーも折り返し点を過ぎましたが、お楽しみいただいていますか。
コメが少なく視界不良ですが、先ずは完走をめざします。

終了後、全部をまとめるのは大変なので、道なかばながらダイジェスト版を作りました。
それぞれにユニークな曲をお楽しみいただければと思います。

A」 for Andante Cantabile ・ チャイコフスキーの「弦楽四重奏曲第1番」第2楽章のメロディ。ソチ五輪でも頑張った浅田真央さんの優美なスケーテイングでどうぞ。



B」 for Bolero (ボレロ)・ フランスの作曲家ラヴェルが作った管弦楽曲の傑作。お勧めは、これ

C」for Chopin's pot-au-feu ・ 美味しいポトフを食べて眠くなったら、ショパンの「子守唄」をどうぞ。

D」 for Divertimento (ディヴェルティメント) ・ 王侯貴族の晩餐伴奏音楽。極めつけはモーツアルトのディヴェルティメントK.334



E」 for Elephants in Carnival of the Animals ・ サン=サーンスの「動物の謝肉祭」の中の曲でコントラバスで演奏されるワルツ

F」 for From the New World (新世界交響曲) ・ ドヴォルザークの交響曲第9番だが、ケルテスがウイーンフィルを指揮した伝説的名演が名高い。

G」 for Glockenspiel (グロッケンシュピール) ・ 独特の音を出す打楽器だが、モーツアルトの歌劇「魔笛」に使われている。

H」 for Hilary Hahn (ヒラリー ・ ハーン) ・ 米国生まれの美人ヴァイオリニスト。彼女の演奏で、モーツアルトのソナタをどうぞ。

I 」 for Intermezzo (インターメッツオ) ・ オペラの間奏曲のこと。マスカーニが書いたカヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲が名高い。

J」 for James Horner (ジェームズ ・ ホーナー) ・ 映画「タイタニック」を担当した作曲家。セリーヌ・デュオンが歌う主題歌はミリオンセラーとなった。

K」 for Karl Bohm (カール ・ ベーム) ・ オーストリアの指揮者(故人)。モーツアルトの交響曲第40番をこちらでどうぞ。

L」 for La traviata (ラ ・ トラヴィアータ) ・ オペラ「椿姫」。冒頭に歌われる「乾杯の歌」が有名。オペラの雰囲気とともにどうぞ。



M」 for Moonlight Sonata (月光ソナタ) ・ ベートーヴェンのピアノソナタ第14番「月光」。南米チリ出身のピアニスト、クラウディオ・アラウ(故人)が弾く「月光」をどうぞ。

以下、引き続き、後半もお楽しみ下さい。楽曲は、いずれも YOUTUBE から借用しています。
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これは美味しい~牛肉とキムチの甘辛チゲ

2014年02月21日 | 田舎暮らし
アサシン雑学版の「華のある食卓」シリーズ。
今回ご紹介するのは、朝鮮料理家ジョン・キョンファさんお勧めの「牛肉とキムチの甘辛チゲ」。



こちらに、大判があります)

昨夜、拙宅でトライしてみたらとても美味しかったので、ご紹介します。

材料は、薄切りの牛肉とキムチに豆腐と野菜(玉ねぎ、長なぎ、エノキなど)にコチュジャンなど。作り方は、材料を全部並べて火を通すだけ。



簡単に作れてとても美味しい!!
寒い冬の夜にはお勧め甘辛チゲです。
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新着ドーナツ~ガベッタ & グリモー「DUO」

2014年02月21日 | 音楽三昧

先に、ご紹介したソル・ガベッタ嬢のチェロと、これに人気・実力ナンバーワンのエレーヌ・グリモー嬢のピアノがからむデュオリサイタル。

パッケージの写真を見ただけで、もうドキドキしてしまいました。
その演奏のすばらしさ、音の良さを予感させます。



メニューは、ご覧の通り、シューマンの幻想小曲集、ブラームス、ドビュッシーとショスタコヴィッチのソナタ集です。



まだ、シューマンとブラームスを聴いただけですが、このドーナツにおけるガベッタ嬢は、しなやか且つ、艶やかで魅力あふれる演奏をしています。

従来、彼女の演奏は、どちらかと言えば力強さが特徴のように思っていましたが、勿論、曲の成り立ちにもよるのでしょうが、このドーナツにおけるしなやかな演奏にはとても感心しました。グリモー嬢のピアノは、左奥に定位し、右手前のチェロをしっかりと支えています。「お値段以上」のドーナツに大満足です。

B0017523-02 GH 輸入盤 ¥1,955
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戦後69年の重み~軽んじる首相答弁

2014年02月21日 | ドラミング
昨今の国会における集団的自衛権論議。
戦後69年、日本は国際社会に対し、現憲法下では「保持するも行使不可」と説明して来たわけだが、安倍首相は、時の政権の責任で(閣議決定すれば)自由に変えて良いとの答弁を繰り返している。

果たしてこれで良いのか。
19日の新聞(朝日)に次のような投書が掲載されたので、ご紹介しよう。


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船戸与一著「満州国演義1~4」を読む

2014年02月20日 | この一冊
船戸与一著「満州国演義1~4」を読んだ。
中国大陸と日本を舞台に、圧倒的なスケールと迫力で描かれる昭和の激動史。各巻400頁、計1,600頁を越える大作で、町の図書室から借り読了まで3ヶ月ほどかかった。



この本は、昭和の史実(ノンフィクション)を縦糸に、東京麻布の名家・敷島家の4人の兄弟の物語(フィクション)を横糸に織りあげられた良質の絨毯のように、その重厚な手触りと魅力に酔わされる。

第1巻「風の払暁」は、昭和3~4年を扱い、関東軍による軍閥・張作霖の爆殺(満州某重大事件)と後継者・張学良の国民政府への帰順を中心に、満州国建国への序章が描かれる。

第2巻「事変の夜」は、昭和5~6年を扱い、ロンドン海軍軍縮会議や浜口首相(の東京駅頭での)狙撃事件等を背景に、柳条湖満鉄線路爆破、廃帝溥儀の天津脱出等、関東軍の謀略・暴走事件が続く。

第3巻「群狼の舞」は、昭和7~8年を扱い、上海事変、リットン調査団の派遣、溥儀を執政とした満州国創立と関東軍の華北侵入など、本格的な中国侵略が準備されて行く。

第4巻「炎の回廊」は、昭和9~11年を扱い、蒋介石国民革命軍による毛沢東の工農紅軍の封じ込めと敗走(長征)、満州における抗日ゲリラの頻発と掃討作戦が描かれる。内地にあっては、天皇機関説排撃運動、永田軍務局長刺殺(相沢事件)から二・二六事件へと軍部の圧力が強まる。

上記は、主として史実を中心とした流れだが、これに敷島4兄弟と彼らを陰に陽に繋ぐ関東軍特務機関の間垣徳三が登場する。

・長男・太郎:外交官で、奉天総領事館参事官の要職にある。関東軍の独断専行に悩むが、満州国の建国を男のロマンと感じるなど、次第に時流に流されて行く。

・次男・次郎:やくざとの抗争で片目を失い、中国に渡り東北部を根城とする馬賊の長となる。母国の大陸侵略には無関心で、満州各地を颯爽と疾駆する。

・三男・三郎:奉天独立守備隊(後に憲兵隊)所属の将校。張作霖爆殺や数々の謀略と満州国建国のための地ならしに奔走する。

・四男・四郎:無政府主義シンパの演劇集団に属していたが、義理の母との情交をネタに特高に脅され、特務機関の手配で上海に渡る。特務機関の手先と自身の信条との乖離に悩む。

昭和の史実と四兄弟の物語は示唆に富み、昭和の歴史を振り返る意味でも、また、良質のエンターテイメントを楽しむ意味でも、魅力たっぷりの著作に仕上がっている。また、この物語は完結しておらず、今後も長く書き続けられるもの思う。次巻が待たれる。(2008.12.11掲載)

蛇足:その後、

 第5巻「灰燼の暦」
 第6巻「大地の牙」
 第7巻「雷の波濤」

と刊行され、昨年(2013年)12月、第8巻「南冥の雫」が出た。次巻にて完結予定という。
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この人ではもうダメでしょう~NHK籾井会長

2014年02月20日 | ドラミング
昨日、参院総務委員会で、昨今のNHK問題に対する集中審議が行われた。

午後の審議で、質問に立った吉良よし子氏(共産党)と、片山虎之助氏(維新の会)の質疑を聴いたが、籾井会長の答弁は要領を得ず、もう「この人では、NHKはもたないな」との感を強くした。

また、この質疑においてNHKは、昨日までに本件に対する意見が17,900件寄せられ、内、60%にあたる11,000件は、「不見識だ」と批判する内容だったことを明らかにした。

一方、昨日の新聞(朝日)は、12日のNHK経営委員会における同氏の発言が不穏当であったと報じている。


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ニセコは今日も雪です。

2014年02月19日 | 田舎暮らし
関東地方内陸部の大雪で、人々の暮らしや農業に大きな被害が出ているようで心が痛みます。

当地(ニセコ)は今朝も雪で、累積降雪量は約8m、積雪は2mを超えています。
幸い、除雪体制が整っていることと、家の造りが豪雪仕様になっていることから、日常生活に支障はありません。

除雪された雪を積んで、道路脇は背丈の倍近くある大きな壁ができています。



冬季不在の別荘も、たくさん雪を積んでいます。





これは拙宅の今朝の様子ですが、屋根にほとんど雪がありません。



常時、人が住んでいることと、豪雪対策を施した屋根の構造になっているためです。
つまり、屋根の頂上に、対流で温風を吹きだす「棟換気」が取り付けられていて、(頂上部の)雪が融けて積もらず、屋根全体の雪は重さに耐えきれず滑り落ちてしまうからです。

屋内は、これがあるので「Tシャツ短パン・ビール」の暖かさです。
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