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アーバンライフの愉しみ

北海道札幌近郊の暮らしの様子をお伝えしています。

あなたはどんな本を~宮本輝著「本をつんだ小船」

2014年02月14日 | 読書三昧

宮本輝氏が青春時代(14-18歳)に読み、共に生きた32冊の名作を紹介したエッセイ集です。



ここには、

 ・ジョセフ・コンラッド 「青春」
 ・ファーブル 「昆虫記」
 ・宇野千代 「おはん」
 ・水上勉 「飢餓海峡」
 ・チェーホフ 「恋について」
 ・カミュ 「異邦人」
 ・井上靖 「あすなろ物語」
 ・ドストエフスキー 「貧しき人々」
 ・老舎 「茶館」
 ・泉鏡花 「高野聖」
 ・ドルトン・トランボ 「ジョニーは戦場へ行った」
 ・中野重治 「雨の降る品川駅」
 ・フォースター 「インドヘの道」
 ・ツルゲーネフ 「はつ恋」
 ・深沢七郎 「檜山節考」
 ・ゴーゴリ 「外套」
 ・樋口一葉 「にごりえ」
 ・北杜夫 「どくとるマンボウ航海記」
 ・サマセット・モーム 「雨」
 ・島崎藤村 「夜明け前」

などの名作が含まれています。

同氏はこれらの名作を、苦しく暗い生活から逃げるように、ただやみくもに読みふけったと記しています。後に、著名な作家となる同氏の青春時代をほろにがい思い出と共に克明に記録する感動の書です。

同氏はまた、この本のなかで、

”私は本を読むのが好きだった。勉強も嫌い、スポーツも嫌い。兄妹もなく、友だちもあまりいない。父は借金取りから逃げて家に帰ってこない。母は希望を喪って昼間から酒にびたり、目を離すと市電のレールの上を歩いていたりする。当時は、そんな生活だったのである。

そんな私という小舟には、古今東西の本が積まれていた。私は何も持ていなかったが、読みたい本がたくさんあった。それらは、図書館で借りたり、少ない小遣いをためて古本屋で買ったりしたのだった。

私は、いかなる本を読んで、よるべない時代をすごしたのだろう。それを書き留めておくことも悪くはない。それで、いわば少年時代の読書録なるものに私は〈本をつんだ小舟〉と題して、そのときどきの自分にまつわる光景とともに、幾つかの小説のことを書きしるすことにしよう。”

と述べ、このエッセイを編む目的を記しています。

同じような青春時代、自分はいったいどのような本を読んでいたのかと今振り返ってみると、何も思い出せないのは恥ずかしいかぎりです。人生で最も多感だった時代に、思い出に残るような名作を何ひとつ読んでいなかったことに愕然とさせられます。

一方、同氏は、「木曽路はすべて山の中である。・・・」の名文で始まる「夜明け前」を手にしたときのエピソードにも触れています。

”しかし、私は、読んでも読んでも、少しも先に進んでいるようには思えない膨大な量の長編小説に辟易し、高校を卒業するまで3度挑戦したが、そのたびに挫折した”と。

小生も、同様の経験をたびたびしていますが、著名な作家になるような人でさえ、いわゆる名作と言われる長編の読了には、それなりに苦労していることを知り親近感を持った次第です。

「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」「源氏物語」「夜明け前」などなど、これにめげず再挑戦したいと考えています。(お勧め度:★★★)

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小さく生んで~特定秘密情報保護法

2014年02月14日 | ドラミング
昨年12月に成立した同法案の施行に向けて、政権内では種々の検討がなされているようだが、要は、戦前の治安維持法のように、「小さく生んで大きく育てる」ようなことにさせてはならない。

このところの国会論戦など聴いていると、政権側は、戦前のようなことは決してない、つまり、この法律が一般市民及ぼす影響などあり得ないとの答弁を繰り返しているが、過去に例がある以上、そのまま素直に信じることはできない。何せ、孫子らの将来がかかっているのだ。

関連する評論が12日付けの新聞(朝日)に掲載されていたので、ご参考までにお目にかけたい。少し長いが、是非、ご一読願いたい。


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