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森英樹著「大事なことは憲法が教えてくれる~日本国憲法の底力」

2016年02月21日 | 読書三昧

憲法学者で名古屋大名誉教授の森さんが、戦後70年を契機に国民の中に生まれた「憲法の日常化」に応えようと著わした今日的憲法解説書の決定版。


このような状況を生み出したのは、皮肉にも安倍さんのおかげとも言えそうだが、彼が目指す国の方向は、憲法とは真逆であると言う。

侵略戦争を重ね「大東亜共栄圏」を目指したアジア太平洋戦争だけで、外国人2000万人以上を殺戮し、日本人320万人以上が殺された日々を反省して、二度と戦争をしない、そのために一切の軍事力を捨て、交戦権も認めないとの誓いから、今の憲法は出発しているのだ。

また、主権は国民にあり、国政は国民の厳粛な付託によるものであって、憲法に反するいかなる法律、条約も効力を持たないという立憲主義の立場を明確にしている。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)


蛇足:改めて、前文だけでもしっかり読んでみようと思い再録しました。


日本国憲法

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

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