先日の事。
まだ夏休み中だった所為か、
家族連れが目立った半田屋。
私の視界に入る窓際の奥のテーブルで、
一家族が食事をしていた。
中高生と思しき男子が席を立ち、外へ。
暫くすると、
その男子は窓の外から中を伺っている。
コンコンと窓を叩いた位にして。
テーブルでは、
お婆ちゃんが食事をしていた。
隣に座っているのが息子だろうか。
その向かいに嫁が座っている。
他の二人も食事は終えているのだが、
お婆ちゃんが未だ終わらないのだな。
飽きた孫が外でうろうろしていると。
嫁と思しき女性が何か言った様だった。
お婆ちゃんは少し顔を上げたが、
また食べ始めた。
嫁の口調が強くなった。
たしなめる様な息子。
お婆ちゃんは、アー、アー、としか言えない様だった。
嫁に向かって、声を発するが、また食べる方に夢中だ。
嫁が席を立った。
隣に座る息子は、
何か言いながら手助けをしている。
それでも時間は気になる様だ。
もう終わってもいいんじゃない?みたいな事を言っているのだろうか。
お婆ちゃんは、アー、アーと。
トレーを片付けようとする息子。
抵抗するように声を発するお婆ちゃん。
息子の表情は、
険しくも悲しそうに見えた。
片付けに行ってしまった息子を目で追い、
虚ろな表情になる。
息子が戻ってきて、席を立たせようとする。
何かに抵抗する様に声を発するお婆ちゃん。
何とか立たせた。
歩くのもようやくの様だ。
摺り足の要領でゆっくりと歩く。
普段は施設に居るのだが、
たまに外出をしている、という感じだろうか。
年を取り、痴呆を向かえ、言葉も無くし、
それでも本能といえる食欲はある。
その分、元気そうだ。
しかしながら、
家族のお荷物になってしまったのだろう。
さて、
私は、
あの傍に寄り添った息子の様になれるだろうか。
歳も近そうだな。
なれるだろうか、
ではなく、
やらなければならないんだけども。