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20210617 今さらながらトムラウシ山遭難事故のこと。

2021-06-17 20:09:46 | 社会
この絵のように山に雲がかかっている時、
麓が晴れや曇りでも山の中では雨が降っている
という単純なことを私は最近知った。

20210617

最近、
とくに山登りをしたくなったわけではないが、
山の中に入る機会が幾度かあり、だからなのか、
なんとなくそんな関係の記事を少し読んでいたら、
2009年7月に北海道のトムラウシ山で
深刻な遭難事故があったことを今さらに知った。

大きな事故だから当時ニュースで見たはずなのだが、
私はもともと山に興味が全くないため、
記憶からすぐになくなってしまったのだろう。
山好きなら誰でも知っているという
トムラウシ山という名称すら今日まで知らなかった。

しかし今回その事故の顛末をWikipediaでじっくりと読んで、
なかなか深く考えさせられた。
キーワードは、
杜撰と油断、迂闊と経験、運と人任せ、想像力と判断力、
というところか。

ガイド3人とツアー客15人、
計18人の夏山登山で8人が亡くなったという。
客はほとんどが60代。亡くなったのは女性6人、男性2人。
死因は寒冷前線の通過による雨と強風による低体温症だった。
夏であったが、体感温度はマイナス20度にも達したという。

2泊3日で45kmほどを縦走するツアー企画であった。
2泊予定は山中にある避難小屋(けっこう大きい)と呼ばれる無人の建物。
よく知らないが、登山者はテント以外にそこをよく使うらしい。

1日目は晴れていて、ほぼ予定通り。

2日目は朝から大雨で、しかしなんとか予定通り。
ところがようやく着いた2泊目の小屋には他のツアー客もいて、
スペースに余裕がなく濡れた衣類を乾かすことが出来なかった。
また雨漏りがひどく、よく眠れない人もいた。

3日目事故当日、雨風強かったが、ツアーガイドが出発を決行。
ひどいところでは風速20メートル以上、
最低体感温度マイナス20度の中を皆四つん這いになって進むが、
沼の水が溢れて川になってしまった場所を渡る時にさらに濡れて、
しかも渡る手間で時間がかかり、
その地点から低体温症になる人が出始めて、
一部を介抱の間、他の客たちは1,2時間強風の中で待たされて、
さらに低体温症におちいる人が続出した。
客の一人がこれは遭難だと叫ぶが、すぐには救援要請をしなかった。

その後、動けなくなる人、奇声を発するひと、仮死状態になる人、
それを助ける人、見捨てる人、狂ってしまう人、
極限に置かれた人たちが見事にそしてそれぞれ象徴的に、
まるで脚本があるかのように動き展開していく。

しかし個人の誰が悪かった、何が悪かった、ということよりも、
この事故を防げたポイントは3日間の中でいくつかあって、
ではその大元はどこかというと、
やはりツアーを企画した会社が
なるべく限界まで中止を望まない体質だったことだろう。
その無言の圧力がガイドに重くのしかかっていたように思えた。
安全よりも利益優先の企画会社だったことが悲劇を生んだ。
「悪天候により中止」
これだけで全ての人が救われたのだ。
同じ日の他のツアーは3日目に中止をしているとのこと。

Wikipediaの他にも関連動画などが残っているが、
全貌がわかるのはWikipediaだろう。
トムラウシ山遭難事故Wikipediaリンク
読み易くはないが、なかなか面白い。

再現ドラマYoutubeリンク
けっして笑ってはいけません。

登山や低体温症ということに限定せず、
この事故は多くの洞察を与えてくれるように思える。
真の強いリーダーシップがないままに
団体が進むこと、動くこと、止まらないこと、
この危険性を認識した時には遅いということ、
そして自分ならどうしたか、
など、深く考えさせてくれる。

以上でした。
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