
社会福祉法人聖テレジア会 聖ヨゼフ病院
(住所:神奈川県横須賀市緑が丘28)
(住所:神奈川県横須賀市緑が丘28)
私はカトリック横須賀三笠教会を訪ねた後、近くにあるカトリック系の聖ヨゼフ病院に寄った(通院目的ではない)。軍港の街・横須賀は旧海軍の施設が集中していたが、この聖ヨゼフ病院も戦前は「横須賀海仁会病院」という海軍軍人とその家族のための医療機関だった。1939年に設立され、120床の規模を誇っていたという。湾曲した特徴的な建物は、当時のものと思われる。敗戦とともに、海軍の威信も地に落ちて、この病院も売却されることになった。
「もはや病院は医療活動もできず、安い間貸し屋になって、浮浪者のたまり場だったという。いよいよ病院に買い手が現れ取り引きされる寸前、それを差し止めた人がいた。横須賀に進駐していた連合軍の米海軍、デッカー司令官だった。目的は一般市民の病院にするためである。司令官は接収後、病院の運営、指導を誰に頼むか、あちらこちら探した挙げ句、ブルトン司教を知り、聖母訪問会に託すことにしたのだった」(「マリアとともに急ぎ山道を」より)。
大森教会の記事で触れたが、アルベルト・ブルトン司教は邦人女子修道会の聖母訪問会を創立し、日本各地に社会福祉事業を興していた。ベントン・W・デッカー司令官は、横須賀の復興と戦災者の救済に取り組んでいた。両者の「幸運な出会い」によって、聖ヨゼフ病院が誕生したと言えよう。別館の病院チャペルは、古いカトリック教会の面影が残っている。私は聖母像に小さな祈りを捧げた。「病人の快復 われらのために祈り給え」(聖マリアの連祷)。

現聖堂献堂:1952年

<聖ヨゼフ病院聖堂、脇祭壇の聖母像>
◆主な参考文献など:
「マリアとともに急ぎ山道を 聖母訪問会の歩み・1915年-2001年」 早船洋美編著(聖母訪問会・2002年)